42
宿に置いてある椅子に座って、シロにミルクをやったりする。
……全然声がかからない。
安すぎたのだろうか? それとも遠いのだろうか?
どちらにせよ、労力に見合う金額では無いのかもしれない。
30分は待ったので、後30分待ってもダメなら金額を上げるとしよう。
そのまま待つ事、25分。
とうとう1人の男が依頼書を手に取りこちらにやってきた!
「貴方がコラムさん?」
「そうです」
「僕はベータ。この依頼は本当?」
「本当ですよ。どうして?」
「いや、誰でも知ってる事を依頼するなんて、ウソだと思うでしょう?」
「誰でも知ってるってのは?」
「えっ?! だって、ネットの掲示板を見ればこの島の地図は載ってるから……」
「あぁ、そういう事ですか。俺は掲示板を見ないんですよ」
「ええっ?! 何でですか?!」
「だって、面白くないでしょう?」
どうやら掲示板を見ない事が理解出来ないようだ。
昔で言うなら、攻略本を読むようなものだと思う。
それでクリア出来ても、自分の力じゃないんだから達成感が無いだろう?
そう伝えても理解出来ない様子。
あるのが当たり前でゲームしてるとそうなるのかなぁ……。
「とにかく、依頼は本当です。道案内をお願いしたいんです」
「ま、まぁ、自分も今から行くつもりだったので、良いですけど……。
本当に知らないんですか?」
「本当~~~に知りません」
「そ、そんな人も居るんですね……」
まだ信用してもらえない。
とにかく、依頼書にサインをして渡した。
不思議がりながらもサインをしてくれたので、依頼は受領された。
「じゃあ、案内をお願いします」
「は、はい。判りました。ついてきて下さい」
道中は、ベータ君と色々話をした。
どうやら俺のプレイスタイルが気になったらしい。
ベータ君はリアルでは高校生。このゲームが始まった時からプレイしているそうだ。
ずっと掲示板を読みながらプレイしてるので、俺のやり方は理解できないんだってさ。
「掲示板やWikiなんかを自分も参加して作っていくのが、面白いんですよ」
「へ~、そうなんだ」
「皆が知らない事を書き込めたりすると、優越感がありますよ」
「ふ~ん。そんなもんなんだね」
「……理解出来ませんか?」
「いや、そういう楽しみ方もあると思うよ?
でも俺の場合、もしそういうのを見るなら、1回クリアしてからかなぁ。
もう一度プレイする時にそういう情報を見ると、やらなかった事とかが知れて良いと思うんだ」
「は、はぁ……。じゃあこうやって人に聞くのもダメなんじゃないですか?」
「それはOKだよ。ゲーム内で聞き込みとしてNPCと話するだろ?
それと同じ事だよ。問題無し!」
「……何か違うような」
「ま、俺はNPCの話も聞かないけどね! ははっ!」
「いや、それはダメでしょ?! 聞かないと先に進まない所もありますよ?!」
「その時はその時さ!」
「何で聞かないんですか?!」
「え~、だって、関係無い事を言われるとムカつくでしょ?
それにたらい回しにされたりもするしさ。面倒じゃん」
「め、面倒……。それが醍醐味なんじゃないですか?」
「いやいや、自力で解決する方が楽でしょ」
「そっちの方が遠回りだと思うんですけど……」
そうかなぁ?
例えば、町の近くにダンジョンがあるとするじゃん。
町で話を聞いて回って、最後にダンジョンに行く事になるとするじゃん。
でも、近くにダンジョンがある時点で、ここに行く事になるんだろうなって推測出来る。
なら、先に入った方が早くない?
そう話しても理解出来ないようだった。
おかしいなぁ。
そうやって話をしながら歩いてたら、知らない町に到着した。
ここが防具を売ってる町か。
「はい、到着です。
知らないと思うので先に言っておきますけど、ここから出ている船に乗れば大陸に行く事が出来ますよ」
「へ~、そうなんだ」
「まぁ、乗るには『勇者の証』が必要ですけどね」
「あっ、それは持ってるから大丈夫。それにまだ行かないしね」
「そうなんですか?」
「まだ、こっちでやる事があると思うから。あっ、依頼完了ね。これ、報酬」
「あ、はい。ありがとうございました」
「こちらこそ」
ベータ君とはフレンド登録をして別れた。
どうやら大陸に行くらしい。
さ、防具を買いに行きますかね!
次話は土曜日を予定しています。




