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宿に置いてある椅子に座って、シロにミルクをやったりする。

……全然声がかからない。

安すぎたのだろうか? それとも遠いのだろうか?

どちらにせよ、労力に見合う金額では無いのかもしれない。

30分は待ったので、後30分待ってもダメなら金額を上げるとしよう。


そのまま待つ事、25分。

とうとう1人の男が依頼書を手に取りこちらにやってきた!


「貴方がコラムさん?」

「そうです」

「僕はベータ。この依頼は本当?」

「本当ですよ。どうして?」

「いや、誰でも知ってる事を依頼するなんて、ウソだと思うでしょう?」

「誰でも知ってるってのは?」

「えっ?! だって、ネットの掲示板を見ればこの島の地図は載ってるから……」

「あぁ、そういう事ですか。俺は掲示板を見ないんですよ」

「ええっ?! 何でですか?!」

「だって、面白くないでしょう?」


どうやら掲示板を見ない事が理解出来ないようだ。

昔で言うなら、攻略本を読むようなものだと思う。

それでクリア出来ても、自分の力じゃないんだから達成感が無いだろう?

そう伝えても理解出来ない様子。

あるのが当たり前でゲームしてるとそうなるのかなぁ……。


「とにかく、依頼は本当です。道案内をお願いしたいんです」

「ま、まぁ、自分も今から行くつもりだったので、良いですけど……。

 本当に知らないんですか?」

「本当~~~に知りません」

「そ、そんな人も居るんですね……」


まだ信用してもらえない。

とにかく、依頼書にサインをして渡した。

不思議がりながらもサインをしてくれたので、依頼は受領された。


「じゃあ、案内をお願いします」

「は、はい。判りました。ついてきて下さい」



道中は、ベータ君と色々話をした。

どうやら俺のプレイスタイルが気になったらしい。

ベータ君はリアルでは高校生。このゲームが始まった時からプレイしているそうだ。

ずっと掲示板を読みながらプレイしてるので、俺のやり方は理解できないんだってさ。


「掲示板やWikiなんかを自分も参加して作っていくのが、面白いんですよ」

「へ~、そうなんだ」

「皆が知らない事を書き込めたりすると、優越感がありますよ」

「ふ~ん。そんなもんなんだね」

「……理解出来ませんか?」

「いや、そういう楽しみ方もあると思うよ?

 でも俺の場合、もしそういうのを見るなら、1回クリアしてからかなぁ。

 もう一度プレイする時にそういう情報を見ると、やらなかった事とかが知れて良いと思うんだ」

「は、はぁ……。じゃあこうやって人に聞くのもダメなんじゃないですか?」

「それはOKだよ。ゲーム内で聞き込みとしてNPCと話するだろ?

 それと同じ事だよ。問題無し!」

「……何か違うような」

「ま、俺はNPCの話も聞かないけどね! ははっ!」

「いや、それはダメでしょ?! 聞かないと先に進まない所もありますよ?!」

「その時はその時さ!」

「何で聞かないんですか?!」

「え~、だって、関係無い事を言われるとムカつくでしょ?

 それにたらい回しにされたりもするしさ。面倒じゃん」

「め、面倒……。それが醍醐味なんじゃないですか?」

「いやいや、自力で解決する方が楽でしょ」

「そっちの方が遠回りだと思うんですけど……」


そうかなぁ?

例えば、町の近くにダンジョンがあるとするじゃん。

町で話を聞いて回って、最後にダンジョンに行く事になるとするじゃん。

でも、近くにダンジョンがある時点で、ここに行く事になるんだろうなって推測出来る。

なら、先に入った方が早くない?


そう話しても理解出来ないようだった。

おかしいなぁ。



そうやって話をしながら歩いてたら、知らない町に到着した。

ここが防具を売ってる町か。


「はい、到着です。

 知らないと思うので先に言っておきますけど、ここから出ている船に乗れば大陸に行く事が出来ますよ」

「へ~、そうなんだ」

「まぁ、乗るには『勇者の証』が必要ですけどね」

「あっ、それは持ってるから大丈夫。それにまだ行かないしね」

「そうなんですか?」

「まだ、こっちでやる事があると思うから。あっ、依頼完了ね。これ、報酬」

「あ、はい。ありがとうございました」

「こちらこそ」


ベータ君とはフレンド登録をして別れた。

どうやら大陸に行くらしい。

さ、防具を買いに行きますかね!

次話は土曜日を予定しています。

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