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チャレンジを始めて8回目でようやく証を発見する事が出来た。
4回辺りでセージ達も合流したらしいけど、気づかなかったわ。
「それを手にする者は勇者の卵とみなされる。それがあれば通る事が出来る場所もあろうぞ」
「うん、ユナさんに聞いたから知ってるけど。他の大陸に行くのに必要なんでしょ?」
「そうじゃけど! 説明するのもNPCの仕事なのじゃ! 年寄りの話を聞けよ!」
「帰りもダンジョンを進むの?」
「……はぁ。もうええわ。疲れた。ワシ帰る。ついでだからついて来い……」
お爺さんについて行くと、そこには虹色に渦巻く池のような物があった。
それにお爺さんは入っていく。
「ユナさん、これ何ですか?」
「多分、ワープゲート。どこかと繋がってるはずよ。初めて見たわ」
へ~、そうなんだ。
これを使ってお爺さんは仕事に来てたのか。
まぁ、そうだよな。ショートカットが無いと危険だもんな。
俺達もワープゲートに入る。
ウニャウニャと音が鳴り、気づくとどこかの部屋に居た。お爺さんの家か?
「そうじゃ。ここはワシの家じゃ。勝手口から出るが良い」
「ありがとうございます。お邪魔しました」
勝手口から出ると、そこは商人の町だった。
こりゃ便利だな。レベル上げにダンジョンに行く時には使わせてもらおうかな。
今日はその場で解散する事になった。
セージ達、全然役に立たなかったな。ユナさんにアピールしたかったんだろうけどさ。
また機会はあるだろ。俺の居ない所で頑張ってくれ。
良い時間になってたので、そのまま俺はログアウトした。
翌日。
ログインする前に、今日の方針を決めようと思う。
レベル上げは当然としてだ。他に何をするか……。
やはり他の町に行って、防具を買うのが正解かな?
武器は新しくしたけど、防具は初期装備のままだし。
敵が強くなるのは当たり前なので、1つ上の装備にはしたい。
1つ上の武器にしたら、500ゴールドから1500ゴールドに価格はなった。約3倍だ。
って事はこのゲームの特徴からして、防具も同じように3倍のはず。
胸当ても盾も3倍だとして、どちらも1500ゴールドくらいだろう。
今は6000ゴールド以上持っているので、余裕で購入出来るな。
問題は道を知らない事だ。
そこで思い出した。
最初に宿屋に行った時に、壁に紙が貼ってあった事を。
ちらっとしか見なかったんだけど、今までと同じならアレはクエストのはず。
クエスト。ラノベで言うなら、冒険者ギルドでの依頼って事。
あの中に、防具を売っている町まで行くNPCの護衛って仕事は無いだろうか?
もしあれば、護衛でお金を稼ぎつつ知らない町まで行く事が出来る。一石二鳥の作戦!
完璧じゃないか?! 俺、天才かな?
って事で早速ログインして、この町の宿屋を探す。
宿屋はすぐに見つかった。だってプレイヤーが結構居るんだもん。
やっぱり皆クエスト狙いなんだろうな。
人をかき分けて、クエストの貼っている壁まで進む。
え~と、どれどれ?
猫探し・薬草採取・毒消しが欲しい・鉄鉱石探し・等……。
う~ん、無いなぁ。そう都合良くある訳無いのか。
待てよ? 見てて閃いたんだけどさ。
逆に俺がここに依頼を出せば良いんじゃね? 筆記用具もあるしさ。
セージとやったみたいに契約すれば問題無いだろ?
決められたクエストより、自分で出す方が自由に出来るしな!
良し、出してみよう!
宿屋のテーブルを借りて、早速書き始めてみたのだが……。
まず、防具を売っている店のある町の名前が判らない。
そして、適正価格が判らない。
……ダメダメじゃないか。
いくら考えても解決策が出ないので、もうそのまま適当に書く事にした。
『防具を売っている町まで案内してくれる人を募集! 片道だけです。
依頼料:1000ゴールド 期日:今日中
依頼主:コラム(肩に猫(虎)が乗っています)』
誰か来てくれたら良いな……。
次は6日に投稿予定です。




