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「何だ? ……その、推薦ってのは」
「まあまあ、まずは武闘会の仕組みについて説明するよ」
「別に必要無いんだが」
「まあ聞けよ。まずは立候補。これは申し込むだけだ。
一定数に到達したら締め切られる。大体500人くらいかな。
今回は初心者・中級者・剣士部門・魔法部門・パーティー部門の5種類がある。
それぞれで500人づつだ。ちなみに複数に同時には出られない」
「へ~」
「集まったら予選だ。前回は20人づつでバトルロワイヤルだった。
サービス開始すぐだったから初心者ばっかりだったからかもしれないが。
そこで残った1人が選ばれる。そうして上がってきた25人でトーナメントだ」
「へ~」
「パーティー部門は知らん。今回から始まったからな」
「そうなのか。ところで25人でトーナメントってどうするんだ?」
「前回の優勝者と準優勝者が居れば、そいつがシードになる」
「居なかったらどうするんだよ? もしくは両方居たらどうするんだ?」
「そこで推薦なんだよ。
100人くらいから推薦されるとな、武闘会に出場出来るんだよ。しかもシード枠で」
「優勝者と準優勝者のうち、1人だけ出てたら?」
「26人になるのにどうするんだって事だろ?
それはな、推薦者から票の多い2人が出る事になる。両方出てたら一番多く推薦された1人が出る」
「なるほどな。大体判った。
つまり、誰かを推薦するから、俺もそいつを推薦してくれって事か」
それくらいならしても良い。
世話にもなってるしな。
「違う違う」
「違うのか? もしかしてパーティー部門に出るから、入ってくれって言うのか?
間違いなく、戦力にならないぞ? 面倒だし」
「違うって」
「じゃあ、何だよ」
「オッサンを推薦するから」
「はぁ?! 何言ってんの?! バカなの?! 何言ってんの?!」
「オッサン出たら、面白そうだろ? 絶対に立候補しないだろうと思ってさ」
「する訳無いだろ!」
ん? 待て待て。よく考えたら、100人も推薦者が出る訳無いな。
万が一だが、セージにフレンドが50人居たとしても足りないだろ。
しかも俺は始めてからそんなに色んな人と触れ合ってない。
知名度は無茶苦茶低いはずだ。そんなのを誰が推薦する?
「ふっ、勝手にしろよ。どうせ集まらないだろうし」
「へっへっへ。そう言うと思ってたぜ。
オッサンって、一部で意外に有名なのを知らないだろ。
実はそこで推薦しようって話になってるんだよ。
この事は俺が考えたんじゃない。その掲示板を読んでた俺のダチが話を振ってきたんだ」
「なっ?!」
「引っかかったな、オッサン。じゃあ推薦させてもらうぜ」
「確信犯だね♪」
ちっ! ハメやがったな!
いや、まだだ。まだ大丈夫だ!
「そ、そんなに集まらないだろ」
「甘いな! オッサンが了承するならって前提で、現在147人が推薦するって事になってるぜ!」
「な、何でそんなに居るんだよ!」
「モンスター肉の事、水で満腹度が1増えるって発見した事、そして猫を頭に乗せてる事。
こういうので密かに知られてるんだよ!」
バカばっかりだな!
冒険しろよ! ラスボス退治に行けよ!
「お、俺が闘技場?に行かなければ……」
「残念だな、オッサン! 出場が決定した場合、自動的に転移されるのさ!!」
「チクショーーーー!」
運営め~! 便利だろ?って事だろうけど、親切の押し売りだ!
逃げられないじゃないか!
「ふふ、まあ俺達も鬼じゃない。
1人20ゴールドづつ寄付する事になってるんだ。
現在全部で2940ゴールドになるから、これで装備を整えれば良いじゃないか」
「そういう問題じゃない! ミャオ! ザン! お前達も何か言ってくれ!」
「ガンバ♪」
「良い経験になるだろう」
「お前らもそっち側かーーーーーっ!!」
こうなったら、147人では定数に足りない事を祈ろう。
ん? 2940ゴールドか? 迷惑料として貰っておくけど?
お金に罪は無いしね。
活動報告にも書きましたが、明日は出張の為に投稿はありません。
次話は土曜日になります。




