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ここに居る4人とはフレンド登録をする事になった。
まあ(^o^)とは既に登録済みだが。
「そう言えば、セージって職業何だ?」
「今頃聞くのかよ。盗賊だよ」
「泥棒か」
「違うわ! シーフ! 罠関係や索敵とかすんの!」
「へ~。そうなのか」
「知らないのかよ……。そういうオッサンは何だよ?」
「オッサン言うな。俺は魔法剣士だ。言わなかったか?」
「聞いてねぇよ。魔法剣士か。ならレベル7で魔法が取得出来るようになるな」
「そうなのか?」
「本当に知らねぇな! そうだよ!」
「確か2種類あって、BPを消費して覚えるはずですよ?」
そうなのか。
今レベル4だから、7までにBPを貯めておかないとな。
あぁ、MPも増やしておかないとダメか。大変だな。
「しかし、魔法剣士なんて、また面倒なのを選んでるなぁ」
「面倒? 何が?」
「初心者向けじゃないんだよ。魔法と剣士、どちらも出来るがその分最初はツラいんだ。
中盤からは楽になるけどな」
「どういう事だ?」
「あ~、だからな? 項目はBPで上げるだろ?」
「そうだな」
「魔法使いならMPや賢さ、それに魔法を覚える事に使えば良い。
剣士なら、HPや体力や速さに振る。
だが、兼任職は全部に振る必要がある。なのに貰えるBPは一緒。
不利なのが判るだろ?」
「中盤から楽になるってのは?」
「ある程度まで魔法を覚えてしまえば、後は剣士のように振り分けられるからだよ。
だからオッサンは、最初は魔法使い寄りの方が良いぞ」
「なるほどな~。助言、サンキューな」
「べ、別に……。見てられないだけだからな!」
「セージは優しいですねぇ」
「さすがセージ」
「ツンデレだね♪」
「男のツンデレは勘弁してくれ。気持ち悪い」
「助言してやったのに、気持ち悪いとか言うな、オッサン!!」
「オッサン言うな!」
今日はそのまま皆でログアウトした。
肉食わないのかって?
折角金があるんだ。弁当に決まってるだろ?
まあ、そういう事をするからお金が貯まらないんだけど。
でもたまには贅沢しても良いじゃないか。
翌日。いつものように19時にログイン。
弁当を買おうと思ったが、後で食べる必要は無いので食堂で食べた。ポーチにも入らないしね。
うん、料理って良いよね! 美味い!!
弁当が買いたかったが、残り98ゴールドだから自重しよう。
また貯めてから買えば良いのだ。
今日の狙いは、昨日と同じでスライム。
昨日あれだけモグラを狩ったんだ。今日はスライムだらけに違いない。
えっ? フラグ? はははは、最先端技術のVRだぜ?
そんな古臭いネタなんかしないだろ。
そんな事を思いながら街道を歩いていつもの狩場に向かってると、前から女の子が走ってきた。
あっ、NPCだ。よく見ればウサギに追われている。
格好は似合わない無骨なヘルメットに胸当て、そして無理だろって誰もが思う程の大剣。
な~んか、知ってるぞ、これ。
あぁ、思い出した。これ、メロウクエストの4であったイベントだわ。
この娘は武器屋の娘さんで、冒険者に憧れてるんだよ。
で、店の物を勝手に持ち出して冒険しようとするんだけど、モンスターが強くて逃げ出した。
そこに主人公が通りかかり、近寄ると強制的にバトルになる。
バトルに勝利すると、これまた強制的に武器屋に移動になり、長いセリフ(説教)が始まる。
その後に感謝されて、その店の物なら1割引きで買えるようになるんだよ。
懐かしいなぁ。
昔の演出を持ってくるなんて、なかなかシャレた事をするじゃないか。
さて、じゃあ戦闘にならないように右の草原に隠れましょうかね。
左の草原だと、ウサギのテリトリーだから危ないしな。
えっ? 助けないのかって?
何で強制に従う必要があるんだよ。面倒だし、予定が狂うじゃないか、面倒だし。
大丈夫。近寄らなければバトルにならないから。
それにさ、近寄らないと無事に帰るんだよ、あの娘。
1割引きに惹かれて皆やるんだけどね。
確かに1割引きはデカいけど、強制は面倒。VRだから尚更そう思う。
ヒドい? 可哀想? いやいや、運営の罠だから。あれがガチムチのおっさんならそうは思わないだろ?
冒険初心者のガチムチのおっさんっていないだろうけど。
とにかく俺は強制イベントって事がイヤ。助けた後に去れるならやるけどさ。
さ、そんな事よりもスライムスライム。




