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「それで買い取りという話でしたが、手に持っているモグラの皮で良いですか?」
「そうです」
「何で手に持ってるのですか? そんなに慌てなくても大丈夫ですよ?」
「それはさっきの掲示板の話に繋がるんだよ! 色んな人が俺にモンスター肉をくれたんだ。
結果、ポーチが一杯になったから、手に持ってるんだよ!」
「あっ、そうなんですか。では買い取りましょう。
モグラの皮は30ゴールドで買い取っているので、15ゴールドをお渡しします。
代金の200ゴールドから15ゴールドは引いておきます」
「じゃあ、後185ゴールドだな」
「ええ。ついでにモンスター肉も買い取りましょうか? 1つ1ゴールドですけど」
「……いや、面白半分でも好意で貰った物だから、さすがに売らないわ」
「おや、そうですか」
「オッサン、変な所で律儀だな」
「オッサン言うな。大体、貰った物を売って金にしたら、金貰ってるのと同じじゃないか。
あっ、でも元々持ってたのを売るのは良いな。確か20は持ってたはず……」
「では20個を買い取りましょう。はい20ゴールドです」
やったぜ。
大分お金が増えてきた!
「あれっ? 半分の10ゴールドじゃ無いのか?」
「レアドロップを買い取るって契約ですので、これは含みません」
「そっちこそ律儀だな」
「商人は信用が大事ですので」
「そうか。しかし、これでやっと185ゴールドになったぜ!
弁当を2個買っても、まだ金が余る!!」
「オッサン、悲しい事言うなよ……」
「これは涙を誘うな……」
「商売したと言っても、何か罪悪感がありますね……」
「オジサン、貧乏だね♪」
「うるさい! 大体そう言うけど、お前達はいくら持ってるんだよ!」
「えっ? 買い物に行ってたから、今は減って1500ゴールドかな?」
くそっ! 約10倍かよ!
このブルジョア達め!!
「所で、何でココに居るんだ?」
「ん? どういう事だ? 剣士の、え~と、…………剣士の人」
「ザンだ。レベル低いって聞いたぞ?」
「低いからココだろ。街道に近いし」
「いや、イベントクエスト出てると思うが。あれは南門だったはず」
「あぁ、出てたな。お陰で街道右は人が少なくて良かったよ」
「参加しないのか?」
「だってさ、拘束されるだろ? 俺は自由にやりたいんだよ」
「拘束……。そう言っても1時間くらいだぞ?
それにレベルも上がるし収入も良い。損だと思うが」
「1時間も無理!」
「言うだけ無駄だって。オッサンはキャラデザやチュートリアルも拒否してんだぞ?」
「オッサン言うな。そもそも任意での参加だろ? なら拒否しても問題無いはずだ」
「それはそうだが……」
たとえ10分でもやりたくないな。
ラスボス倒すのに必要な行為って言うなら参加するけどさ。
「ところで、この辺で出るレアドロップって何があるんだ?
売る為に聞いておきたいんだが」
「そうですね。スライムから出るスライムの核ですね。買値は40ゴールドです」
「ウサギからウサギの角ってのも出るぞ」
「それは50ゴールドです」
「森で採取出来る薬草もあるよ♪」
「そうでしたね。それは200ゴールドです」
「薬草? 店で売ってるやつか?」
「いえ、別物です。森に生えている薬草は、ポーションの材料になるんですよ。
ここに居るミャオのような錬金術師が精製出来ます。
1つから5本作れるので、200ゴールドでも儲かるのですよ」
「まあ、森にはゴブリンが出るから、レベルが低い内は行けないがな」
美味い話は無いって事か。
しばらくはモグラとスライム狩りか。
レベルが上がったらウサギにチャレンジしよう。
「うん? ゴブリンは何を出すんだ?」
「ゴブリンにはレアドロップは無いって言われてるぞ。まだ誰も出した事が無い」
へ~。そんなのも居るんだね。
そういう話を聞くとフラグに思えるな。
俺が最初にレアドロップを出すとか。だとしても当分先の話だが。
「オッサンに聞きたい事が1つだけあるんだが」
「オッサン言うな。なんだよ?」
「それだよ! 何で俺がオッサンって言うと文句言うのに、ミャオがオジサンって言うのは文句言わないんだ?」
「女性がオジサンって言うのはセーフ。男はアウトだからだ」
「何だソレ?!」
「40代以降のルールだ」
「そんなのねぇだろ?!」
「あるんだよ。重要な事だ。お前も40代になれば判る」
「ただのスケベなオッサンってだけだろ!」
「エロオッサンですね」
「エロだな」
「エロいね、オジサン♪」
うるさいわ!




