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本当によく考えてみると、水って概念が無いのが不思議だ。

ポーションや毒消しで喉を潤せというのか? そんな金は無いぞ?

いや、始まりの町だから売ってないだけかも。

商人の、え~と、なんて名前だったかな……、とにかく商人に今度水筒があるか聞いてみよう。


満腹度も回復したので、狩りを続行する。

更にモグラを10匹狩った頃には夕方になった。

未だに皮が出ないんだけどな。

夜になると違うモンスターが出そうなので、諦めて町に戻る。


お金も93ゴールドまで貯まったが、無駄遣いはしたくないので買い物は無し。

このままログアウトしても良いけど、ここはやはり食事だろう。

モンスター肉を食ってログアウトすれば、気持ち悪いのも治るからね。


いざ、実食!

……うん、相変わらずマズい! 死んだ方がマシじゃないかと思えるくらいに!

噴水で水を飲み、2個目に取り掛かるかという所で、ログアウトしようとしていた男女4人組から声をかけられた。

ふむ、パーティーとかチームってやつかな?


「あの、ちょっと良いですか?」

「あ、はい。何でしょう?」

「手に持ってるのって、モンスター肉ですよね?」

「そうですけど?」

「もしかして、食べてるんですか?!」


その通りだと言うと、凄く驚かれた。

話を聞くと、掲示板にモンスター肉の情報がアップされてたそうだ。

食べきれば満腹度が回復する事やマズさについて書かれていたらしい。

多分商人がアップしたんだろうな。

それを読んでチャレンジした人が沢山居たらしいが、食べ切った者は少数だったらしい。

そして口を揃えて「二度と食わない!」と書き込んだそうな。

なのに目の前で2個目を食べようとしている俺に興味が出たらしい。


「美味しく食べる方法があるんですか?!」

「いや、そんなの無いよ? 水を飲むくらいかな?」

「水って飲めるんですか?!」

「えっ? 飲めるよ? 飲むと満腹度が1だけ回復するし」

「初めて知った!」

「そんなの掲示板になかったよな?」

「そう言えば、喉が渇いた事が無いよね?」

「これって、盲点じゃない?! 沢山回復する水もあるかも?!」


そう言われるとそうかもしれない。

でも、沢山回復する水ってポーションだと思うんだけどさ。

ところで、俺に声をかけておいて放置するのは止めてもらいたい。

食事しても良いですか?


「もう良いかな?」

「あっ、すみません! ……ところで、本当に美味しく食べる方法って無いんですか?」

「だから、水を飲むくらいだってば。後は慣れだよ」

「おい、お前、マネして見ろよ」

「何で俺が?!」

「お前、疑ってたじゃん。味とか効果とかさ。

 目の前に食べてる人が居るんだぞ? 一緒に食べてみたら良いじゃん」

「そうよ。口だけじゃ無いって所、見せなさいよ!」

「わ、判ったよ!」

「って事で、すみませんけど、こいつを横で食わせても良いですか?」

「良いけど、本当にマズいよ? 食ってから俺に文句言わないでよ?」

「言いませんし、言わせませんから!」


その男はしぶしぶ俺の横に座ってポーチからモンスター肉を取り出した。

検証って事のようで、俺にも1個くれた。同じ物を食べろって事のようだ。

1個得したので、ありがたく受け取る。


合図と共に同時に肉にかぶりつく。

……うん、やはりマズい。何度食べてもマズい。

ふと横の男を見ると、既に噴水に頭を突っ込んでいた。


男がやっと噴水から出てきた頃には、俺は食べ終わってた。

俺も水を飲まなきゃ!


「すげぇ……本当に食べたよ!」

「本当に何もしてないのね……」

「それにしてもお前は……。一口でギブアップかよ。回復したか?」

「食ってみろよ! 死ぬほどマズいぞ?! 回復?! 水飲んだからか1だけ回復したわ!!」

「やっぱり水でも回復するんだ~」

「ガブ飲みして1だけどな……」

「すみません、この情報を掲示板に書いても良いですか?」

「良いよ。俺、掲示板とか行かないから」

「ありがとうございます! じゃあ、これで失礼します。お邪魔しましたー!」


まだグッタリしている男を引きずって去っていった。

これで水を汲みに来る人が出てくるかもしれないね。




この後、一部の掲示板で俺が勇者扱いされる事を、まだ知らなかった。

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