裏切り
「カイト君、今日もレベリングかい?」
城下街で、薬屋のオバチャンに声を掛けられた。俺は、無能だから、という理由で、よく、必要なものを普通の店で買っていた。そのおかげか、城下街の人たちに、俺を覚えてもらっていた。
「ああ、オバチャン!レベリング行ってくるよ!」
そう言って、俺は、街の外へと飛び出して行った。
「ていっ!」
「グぎゃあ!」
今の俺のレベルは5、ゴブリンは大体、3、4位らしいから、楽勝‥‥とまではいかないけど、なんとか倒せるレベルまで持っていくことが出来た。
「うしっ!そろそろお昼にするか。」
今日のお昼は、高城さん特製、激ウマサンドウィッチだ。高城さん‥‥アザっす。
モグモグ‥‥
うん、美味い。なんでこんなに美味しいんだろう?戦えて、更には料理までできるとか、高城さん高スペックすぎっす。
その時、俺は気付いてなかったんだ。この世界には調味料なんか無く、サンドウィッチなんか作れるはずもないってこと‥‥
うん?なんか体がだるくなってきたな‥‥ものすごく眠い‥‥どうしよう‥‥ここ、森のな、か、なの、に‥‥
そこで俺の意識は途切れた。
「うん?」
起きた時には、俺の体は森には無かった。
「ここは‥‥馬車の中か?」
「そうだよ。馬車の中だ。」
これのする方を見ると、高城さんがいた。
「あ、高城さん‥‥俺は‥‥」
「ああ、お前は寝ていたんだよ。森の中でな。」
「え?」
そうだ。俺は寝ていたんだった。何故かは分からないが。
「あの‥‥どうしてここに?」
「‥‥‥‥‥‥‥‥」
高城さんが黙り込む。何でだろうな?
そう思いつつ、俺の体を見ると‥‥
何故か、俺は、縛られた状態で馬車に転がされていた。
「っ!?高城さん!これはどうゆうことですか!」
「‥‥‥‥」
高城さんはまた、黙り込んでいる。
「よう、起きたか」
そう言って、やって来る一つの影‥‥不良だ。
「お前、まだ分かんねぇの?嵌められてんだよ、お前。」
「‥‥は?」
「お前、サンドウィッチ食っただろ?あのマヨネーズ、この世界では睡眠薬として知られている、劇薬だぜ?」
「‥‥え?」
嵌められた?いや、でも、あのサンドウィッチは高城さんが作ってくれて‥‥まさか‥‥
「あのサンドウィッチはなぁ‥‥高城の手作りの毒料理だった訳だ。つまりぃ‥‥お前を殺そうとしてんだよ、こいつはな。」
え?高城さんが‥‥俺を?殺す?何言ってるんだよ‥‥高城さんは無能な俺に優しく‥‥
「その顔はまだ分かってねぇな?つまりぃ~お前は、最初っからお払い箱だったわけだ。コレ見てみろよ。」
そう言って不良は懐から1枚の紙を取り出した
[勅命、偽勇者、カイト・サイトウをどんな方法でも良いから、殺害せよ。]
その紙には、そういう内容の文章と、刻印が押されていた。その日付は‥‥
俺が高城さんとあった日だ。つまり‥‥あの時から‥‥
「そう!つまりぃ~お前と高城の出会いは偶然じゃなくぅ~必然だったって訳だ。」
「っ!」
う、嘘だ‥‥嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ‥‥
高城さんが‥‥俺を?殺す?
「という訳でぇ」
という言葉とともに、馬車が止まった。
「お前はここで死ぬんだよ!」
その言葉とともに襲いかかるのは浮遊感。俺は縄で縛られたまま、洞窟の中‥‥その最深部にある、谷へと落ちていった。
安定の一番近い人からの裏切りですよね。テンプレですが、それも醍醐味でしょう(笑)