勇者
「・・・は?」
これがここにいる全員が言った、もしくは、思った言葉だっただろう。
うん、いきなり勇者なんか言われても、マジで実感がないんだが・・・
「いつ帰れるんだ!」
「なんで俺達なんだよ!」
「元の世界に帰して!」
などと、悲痛な声がそこかしこから聞こえてくる。
「お、落ち着いてください!まずは、皆様方を国王様の所にご案内させて頂きたいのですが、宜しいですか?」
さきほど来た女性が声を張り上げる。
「は、はい。」
その言葉に、1番しっかりしてそうな男性が震え声で答える。
「では、皆さん、付いてきてください。」
彼女について、廊下を歩く。廊下を見る限り、中世ヨーロッパ風の作りだ。
「ここが王の間です。」
そう言って、女性が扉を開けると、ベタな王室のような部屋だった。
王様みたいな人が、玉座に座っている。
全員が、王の間に入ったのを確認すると、王様が口を開いた。
「ようこそ、おいでなすった。勇者様方。我は、人間国国王、シェード・アルクマンじゃ。此度の召喚に応じてくれた事、誠に嬉しく思う。近年・・・ーー」
まあ、要約して、重要なところを言うと、
・この国は人間国[ヴィストリア]という。
・この世界は[フェーガルド]という。
・俺達は、この国に呼ばれた、勇者である。
・この世界には、魔物や魔王といったものが居り、それらは人間に害を成している。
・俺達は、それを食い止めるために、勇者として召喚された。
と言ったところだろうか。
「それで、勇者と言われたからには、なにか特別な力があるんだろうな?」
不良みたいな格好をした男性が、王様に聞く。
「もちろんじゃ。お主ら、《ステータス》、と念じてみよ。」
その言葉に従い、ステータスを念じると、
カイト・サイトウ
Lv.1
職業 錬金術師
固有魔法
[錬金魔法Lv.1]
と、表示される。
あちこちで、
「うおっ!?」
やら、
「これは・・・」
などと声が聞こえてくる。
オレは幼馴染みに声をかけた。
「おい、早苗、お前のステータスどんなだった?」
「うん?私のは、職業は、魔法使い、使える魔法は、精霊魔法と、黒魔術と、白魔術、それに、複合魔法だったよ?」
何?使える魔法がもう4種類あるのか?
そう疑問に思っていたら、国王が、また、口を開いた。
「お主らに表示されているのは、[ステータス]と言って、自身の能力が知ることの出来るものじゃ。勇者様方にもなると、たいてい、3、4この魔法は使えているはずじゃ。」
おぅ!俺は一つしか無いんですが・・・勇者補正はどこいったんだよ!
そう思っていると、国王が、とんでもない事を言い始めた。
「勇者は、全てのものが攻撃魔法を持っているはずじゃ。その力を使い、国のために頑張って欲しい。以上じゃ。」
・・・え?嘘でしょ?
俺の勇者生活は、前途多難なものになりそうだった。
錬金術って重要な役割ですよね?鋼の錬〇術師とか・・・