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第3話

俺は約束通り幼馴染の美夏と屋上で昼飯を食べていた。午後の授業なんてないのにね!まぁ、美夏が弁当を二人分持ってきていたのでそれを頂いている。いまの高校の大半は屋上へは行けないらしい。だけどこの装武高校の屋上は屋上庭園になっており、出入りが自由にできるのだ。

『私のお弁当・・・どうかな?』

と、恥ずかしげに聞いてくる。いかん、いかんぞ!いくら幼馴染といえど、上目遣いでそんなことをきいてきたら、K.O.ですよ!

『久しぶりに食べたけど、やっぱりうまいな。腕上げたんじゃないか?』

『えへへ〜、そうかな〜?嬉しいな〜。また作ってくるね!』

と、とてもご満悦のご様子。また食べられると思うとこっちまで嬉しくなるね!

それはそうと、今日気になったことを美夏に聞いてみる。

『なぁ、美夏。俺の隣の席の子誰だかしらないか?』

『えーと、未海ちゃんのこと?あの子可愛いよね。嫉妬しちゃいそう!』

『まぁ、一理あるな。けどお前も十分可愛いだろ。』

『えっ⁉ないない!そんなこと言ったの恭介が初めてだよ!』

美夏は顔を赤く染めながらあたふたしていた。忙しいやつだな。

『えー、こほん。なんで、未海ちゃんのことなんて聞いてきたの?』

美夏はわざとらしい咳払いの後こんなことを聞いてきた。平然と聞いているようだけど少し気になっているご様子。ふんっ、幼馴染にはそんなことお見通しだぜ。

『なんだ?俺に好きな人ができたとか思ってんのか?』

『そ、そんなんじゃないし!いきなり聞かれたら気にもなるでしょ!別に答えなくてもいいけど、できる限り極力話せるだけ話しなさい!』

『それもう強制じゃん。ただ、ずっとみられてる気がしたから気になっただけだよ。』

『みられてる・・・ね。まぁ、私もなるべく未海ちゃんに注意しながら授業受けるよ。って言っても今日はもう授業ないんだよね。明日から本格的に調べてみる!』

少し知った風なのが気になったがわざわざ聞こうとは思わなかった。

『ありがとう。でも悪いな、つき合わして。』

『お安いごようだよ!幼馴染なんだからなんでも相談してね!じゃあ私友達のとこ寄ってくから、先教室戻って帰る準備してて!』

『わかった。なるべく早く来いよ。』

『んー、ラジャー!』

と、言うやいなや美夏は手早く片付けを済まし出口に走っていった。俺もそれに続き歩いて教室へ戻ろうとベンチを立った。春には珍しい妙に冷えた風と共に。


教室に戻るとほとんどの人は家にかえっていた。そりゃ午後の授業がないんだから普通だよな。ちなみに、美夏は午後あると思っていたので、弁当を持ってきていた。しかも、二人分も。おかげでありがたい手作り弁当も食べられたわけで。しかし、帰っておらず、椅子に座ったまま微動だにしなかった。嫌な予感がする。俺はここに長居はしたくないと思い、いつもより手を早く動かし帰りの準備をしていた。

がちゃ。

不意に音がした。あいつが席を立った音だ。迷わずこちらに向かってくる。

『駿河恭夜、もうすぐ狙われることになる。だから、気をつけて。』

おいおい、まじかよ。こっちからこっちから声かけようとしてたのにあっちから話しかけてくれましたよ!これで最初に話しかけるのに必要なとてつもない勇気は必要なくなった!これであとは、・・って、え?狙われる?気をつけろ?なんのこっちゃ。

『どういう意味だよ。』

『あなたの母親と私の母親はここが母校。そして、パートナーだった。今も変わらず。』

『んなっ⁉ってことはお前、あの神木さんの娘かよ?』

(こくっ)

まじすかー。確かにこいつの母親、神木唯は、『私の可愛い愛娘と同じ学校いくんだから、私の娘に会えるかもね!』とは言っていた。だが、入学式の日に会うのは早すぎるだろ!

『お前が唯さんの娘なのは分かった。だけど俺らが狙われてる理由ってなんだよ。』

『私達の母親が、今のB.O.S.Sの世界王者グループの一員だからB.O.S.Sの世界ではこの学校の知名度は高いから、結構本気でB.O.S.Sのプロ目指してる人がここに入学してくる。それは世界でも同じ。世界中からこの学校に留学生として入学してくる。その中にはその国の精鋭も紛れてる。そいつらが毎年最初に行われる模擬戦中に、他国の強いプレイヤーを殺しているらしい。これ、私の母からの伝言。』

そうなんだよな。俺の母親、いつも家に引きこもってるくせに半年に一度開かれるB.O.S.Sの世界大会には必ず出場してるんだよな。しかも毎回優勝してるし。

『分かった。つまり、殺されないようにするればいいんだな?お前も気をつけろよ。』

未海はその言葉にうなずくとそのまま帰っていった。最初の模擬戦が殺し合いになるのか・・・ってめちゃくちゃ物騒じゃねぇか⁉

と、そんなことを考えていると美夏がぱたぱたと教室に入ってきた。

『お待たせ!ってさっき神木さんとすれちがったけど話してた?』

『まあな、けど大したことは話してないよ』

『そっか。気になるな〜。まぁとりあえず帰りますか。』

『おう!』

そして俺らは教室を後にした。


次の日、どこから広まったのか『この学校にB.O.S.Sの世界王者の子供が2人も入学した。』という噂が広まっていた。静かに学校生活をおくりたい俺には迷惑な話だ。ただ、幸いなことに名前までは知られていないらしい。見つかるまでは静かに暮らせそうだ。ちなみに学校では、まだB.O.S.Sはやらせてもらっていない。一年生全員分の個人ステータスを例のスカウターに入力し終わるまで出来ないらしい。


そして、桜も散り梅雨が近づいてきたある日、担任の小暮が朝のHRにこう告げた。

『みなさーん、昨日やっとB.O.S.Sのシステム整備が終了しました!なので今日からB.O.S.S.の授業も開始します!また、一ヶ月後くらいには成長を確かめるための模擬戦も行われますので5人のチームをくんでおいて下さい。他クラスと組むのも大丈夫らしいです。みなさん、怪我のないように頑張って下さいね!』

その言葉を聞いた俺のクラスメートは喜びをあらわにするものもいれば、眉をひそめるものもいた。少しでもこのスポーツをやったことがあるやつはだいたい眉をひそめるだろうな。だって、このスポーツやると必ず怪我人でますもん。

それはそうと、チームも決めておかないとな。一人目はまぁ美夏だろうな。こっち向いて親指たててるもん。もう一人は・・・まぁ俺の隣の席の人だろうな。後はそのうち集まるだろ。にしても殺し合いか。どうすれば何事もなく終わるかな。そんなことを考えながら、一時間目が始まるのをぼーっとしながら待った。


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