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第2話

 俺の家から学校までは自転車で10分とかからないところにある。でもそこまでの道のりが超ハード。なにせ坂しかないからな。上がっては下り、上がって上がって上がったところにある・・・ってあれ?どのくらい坂上がってるんだろう?頑張れ、俺。

 まぁみんなそこを通ってるから同じ思いしてるんだけどね。

 学校に着くと半分くらいはすでに教室で待機していた。でも大半の生徒は黙ってそわそわしている。話したいけど相手がよく分からないから声をかけづらい。うんうん、よくある光景だな。しかし、俺にとっては普通の光景だが、他の生徒には物珍しい光景が校庭には広がっていた。校庭の広さが東京ドーム2個分(学校パンフレット参照)ってのも驚きだが、そこで走り回っている先輩たちが異様な動きをするのである。

 考えてもみてほしい。走ったり止まったりするのはよくすることだろう。しかし、ボールを持ってもいないのに投球にモーションをしたり、いきなり苦しみだして倒れたりするのだ。しかも顔にはドラ〇ンボールで使われているスカウターらしきものを全員がつけている。

 そんな奇妙な光景をあいつ強そうだなとか推し量るように眺めていると、いつのまにか教室には全員がそろっていた。

 クラスメートの奴らも全員が校庭に広がっている光景を眺めていた。あいつらは興味本位だろうけどな。いや、ただ1人、俺の隣の席にいた。校庭の光景に興味を示さず、ひたすらにぼーっとしている少女が。

 俺はその少女にみとれてしまっていたらしい。ほんの少し固まったままだった。

少女はその視線にきずいたらしく、ふと顔をあげた。俺と目が合う。しばし停止。やばい視線がはずせない・・・と、そこへ担任の先生らしき人が入ってきた。女の先生だった。クラスの男子から歓声がとぶ。まぁ可愛いし、いいんじゃないか。そういうことに慣れているのか、照れた様子もなく教卓の前へ。

『えー、今日から1年2組を担当することになった小暮です。よろしくお願いしますね。早速ですけど、先ほど校庭で先輩たちが・・・』

 小暮先生の話はだいたい聞き流した。なんか知りたかったことを話していた気がするけど仕方がない。睡魔に勝てるのは修行僧くらいだもん。俺は5秒で睡魔に負けるちゃうもん。

 そのまま授業が始まるまで寝ていようとしたが、髪を思いっきり引っ張られた。こんな思いっきりやられるの俺じゃなきゃ絶叫してるぜ?でもこんなことする奴は幼馴染の美夏以外にはいない。

『よう、美夏。なんでそんなに不機嫌なんだ?』

こいつが俺の髪を引っ張るときはだいたい不機嫌な時だ。俺の周りには不機嫌なときに言葉でコミュニケーションをとろうとするやつはいないのかね?

『おっはよー、恭夜。あれー?また失礼なことかんがえてるでしょ?顔にででるよ!』

『ソンナコトナイデスヨ?』

『なんで片言?ってかさっきみつめあってたのって誰よ!?まさか、恭夜にかっ、かっ、彼女がいたの!?』

『んなわけあるかっ!気になってちょっと見ただけだよ。』

『ふーん。ちょっと・・・ね。幼馴染よりも先に気になるような子だったんだ。』

『あんときはお前校庭見たいがために窓際がっついてたじゃねーか。あえて無視してたんだよ。』

『無視することないじゃん!・・・声かけてくるの待ってたんだから・・・』

『ん?なんか言ったか?』

『なんでもない!』

ぐいっ。

あっ、また引っ張られた。しかもさっきよりも強く。この世の中って理不尽ですよね。気に障るようなこと言った覚えもないのに引っ張られる。なんてどうでもいいことを考えていると、美夏はこんなことを言ってきた。

『あっ、そいえばさーB.O.S.Sって面白いのかな?」

『B.O.S.S?』

『やっぱり聞いてなかったんでしょ?さっき先生が言ってたよ。高校になっても治らないの?その聞き流しスキル。』

『しかたないだろ。睡魔には従う主義なんだから。結局B.O.S.S.って何なんだ?』

と、聞いてはいるが、俺はどんなものか大体把握している。母さんがこの競技の世界王者だからな。たまに俺もやらせてもらってるしな。

『それはね、battle of shooting simulationの頭文字をとってつけたらしいよ。今日から私たちもその基礎訓練うけるんだって!その時は、ペア組んでもらえるかな?』

『よく話し聞いてたな。おう!いいぜ。』

『やった!じゃあその時はよろしくお願いします。』

この学校には日本でも数十校しかとりいれていない授業があるのだ。その授業はB.O.S.Sと言われている。しかもその授業は全授業の5割を占めているのである。つまり、ほぼ毎日のようにその授業を受けるのだ。


キーンコーンカーンコーン

と無機質な音が憂鬱な授業の開始を告げる。


『っと。そろそろ授業が始まるみたいだぞ。美夏も席に戻れよ。』

『そうだね!あっ、あとさ!お昼・・・一緒に駄目・・かな?』

『いいんじゃないか?じゃあ一緒に食べようぜ。』

『ほんと⁉絶対だよ!絶対だからね!』

念を何度もおした美夏はスキップしながら席に戻っていった。あんなに迫ってくると逆に怖くもなるんだか。

それはそうと授業に頭を切り替えることにした。しかし、初日はたいしたこともなく、先生の自己紹介や雑談などで午前の授業は全て終了。

ただ、俺には一つ気になることがあった。それは隣の女の子のことである。ちゃんと先生の話は聞いているらしく、時折笑ったりといたって普通の女の子だ。しかし、何度もこちらを見てくる。ほんとに何度も。だから俺はよそ見をすることなく、4時間ひたすら教師を見続けていたのである。


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