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最高のラブレター  作者: シャイニーパステルムーン
9/25

第九章 相談

オカルト作家でありながら、編集部から恋愛小説を、


書かされる事になった斉藤すみれ。


今日はそのイメージする人物、


持田 清美が、すみれが住むコーポに出向いていた。


清美はテーブルの椅子に座りすみれは窓際の観葉植物に、


霧吹きで葉っぱに水を与えていた。


何気なくすみれは清美に振り向いて、「それで、彼はどう反応したの」と、尋ねると、


清美は俯き加減になった。


すみれは霧吹きで葉っぱに水を吹きながら、「頑固なんでしょ。


自分の意見を人に押し付けたがる。


いつの間にか、自分の気持ちなんて汲んでくれなくなる」と、悟ると、


清美は、「喧嘩になるんです。


その事でいつも」と、しょげてしまった。


すみれは微笑みながら、「やはり男は、女の尻に敷かれてる位が楽なのかもね。


頼りないとも思うけど、自分の我も強ければ相手も我が強いと、


いずれにしろ常に大喧嘩で、破局を迎えてしまう」。


清美、「何度喧嘩して別れて、また意気投合して付き合ってを、


繰り返して来たか」と、言ってため息を付いた。


それを聞いたすみれは、「若いのよお互いにね。


もう少し年齢を重ねれば、お互い解り合えると思うけど」と、語るすみれに、


清美は覚束ない顔付きで、「そうでしょうか。


今ではもうお互い恨み辛みだらけで、収集が付かなくなっていますが」と、嘆いた。


すみれ、「でも何故彼を捨てきれないの」と、問いかけると、


清美は俯きながら、「お互い我が強いから、


強い同士で波長が合う時が有るんです」と、呟いた。


それを聞いたすみれは、「そこよ、そこでしょ。


我の強い人は、周りにも自分の我を押し付けるから、敬遠されがちに成る。


従い相手にして貰えなくなる。


でも我の強い同士はそのれが同感出来るから、


意気投合する時がある」。


それを聞いた清美は顔を上げて、「そう、そうなんですよ。


会社でのトラブルもお互いに、分かち合える時があるのです。だから」。


すみれは口を挟み、「だから大喧嘩してもお互い捨て切れない訳ね」と、悟った。


清美はまた俯いて、「性格なんですよね直せないから」と、挫折した。


すみれはゆっくりと、清美の座っているテーブルに歩いて行き、


落ち込む清見の両肩に両手を置いて、「直すのよ、直す努力をするの。


あなたみたいな性格の人の悪い所は、明日にでも直ぐにその性格が、


変わらないと気が済まないの。


時間を掛けるの。


あなたはまだ若いのだから、十年二十年掛かっても良いの。


少しずつ直そうと努力すれば体が覚えるから、


突発的に自分の感情を、人にぶつけたりしない様に成れるわ」。


清美、「そうでしょうか」と、浮かぬ顔で呟いた。


すみれは微笑んで、「成れるわよ。


もっと人生経験を積んで、もっと挫折してみなさい。


そうすれば自分が利口に、立ち回れる様に成るから」と、案じて上げた。


清美はその言葉に少し笑みを浮かべて、「有難う御座います」と、一言礼を告げた。


そしてすみれは清美から離れて冷蔵庫に足を運び、


冷蔵庫の扉を開けて、中から皿の上に盛ったサンドイッチを出して来て、


テーブルに置いた。


すみれも清美の座っているテーブルを挿んで、


向かいの椅子を引いて腰掛けた。


すみれ、「あなたの大好きなサンドイッチ、沢山作ったから食べて。


それで飲み物は何がいい」と、問いかけると、


清美は微笑んで、「済みません、御馳走に成ります。


飲み物はすみれさんと同じでいいです」と、答えると、


すみれは食器棚の扉を開けて、中からティーポッドと二人分のティーカップを持って、


それを一度テーブルに置いて、下の食器棚の引き出しを開けると、


紫色の缶に入った紅茶を出して来た。


そしてその横の引き出しを開け中からスプーンを出し、


清美のティーカップのうけ皿と、自分のティーカップのうけ皿に置いて、


紅茶の缶を開けていた。


その時不意に清美は、「すみれさんはどんな恋を、して来たのですか」と、尋ねると、


すみれは微笑み、「恋なんて言える様な事、今まで有ったかな」と、首を傾げた。


清美、「すみれさんの、その穏やかな表情を見ていると、


素敵な恋をしていた様で成りません」と、悟ると、


すみれは、「そうね。オカルト作家の恋はやはり波乱万丈だったかな」と、答えた。


清美は興味深気に、「やはりサディスト、


マゾヒストの世界が有りましたか」と、勘繰ると、


ティーポットにお湯を入れながら、


すみれは大笑いで、「それはオカルト作家では無く、


SM作家の間違いでしょ」と、反論した。


清美も笑いながら、「そうですよね済みません」と、謝った。


すみれは清美のティーカップに紅茶を注ぎながら、「私の活動は恋とは無縁ね。


神秘的な自然現象を書いて来たから、


急に恋愛小説を書けと言われてもね」と、悩んだ。


そして二人は紅茶を飲みながら、


皿に盛られたサンドイッチを、食べたるのであった。




夜になりすみれは一人、自分の部屋で窓を開けて、海を見詰めていた。


するとそこへ、編集部の小野田 洋子が、歩いて来るのを捉えたすみれ。


独り言で、「なによこんな時間に」と、呟いた。


そして洋子も外からすみれを捕らえて、そそくさコーポの階段を上った。


すみれも窓から離れて、玄関に佇みノックされる前に玄関の扉を開けると、


そこに洋子が立っていた。


それを見たすみれは、「こんな時間に何の用なのよ」と、怒ると、


洋子は強い口調で、「それでどの位進んでるんですか、恋愛小説は」と、問いかけると、


すみれは、「どの位って言われても、どう答えて良いか分からないわよ」と、嘆いた。


そして何も言わずに靴を脱いで、勝手にすみれの部屋に上がり込む洋子であった。


すみれはあつかましいその行動に、いささか頭に来た様で、


洋子に、「ちょっと、こんな時間に現れて、


ずうずうしく人の部屋に勝手に入らないでよ」と、激怒した。


そして洋子は、すみれのデスクに置かれ、畳んであったノートパソコンを見つけると、


それを両手で持ち上げ脇に抱えた。


それを見たすみれは咄嗟に洋子に駆け寄り、


パソコンを取り返そうと、すみれは必死に洋子の脇に抱えられた、


ノートパソコンを両手で引き抜こうとしていたが、


洋子は巨体で力いっぱい脇を締めていたので、引き抜こうにも引き抜けなかった。


すみれは引き抜こうとしながら、「どう言うつもりなのよ」と、


必死にノートパソコンを取り返そうしていた。


洋子はもう片方の手で脇に抱えたパソコンを、


奪われまいと掴みながら、「すみれさんが、どの位が進んでいるか、


今ここで説明出来ないのなら、編集部で確認させて頂きます」と、告げた。


すみれは、「それを持って行かれたら、今晩小説書けないでしょ」と、訴えると、


洋子は、「続きは原稿用紙とペンで、書いて下さい」と、無理矢理ノートパソコンを奪い、


玄関先で急いで靴を履いて逃げて行った。


その姿を見て、呆然と部屋で佇むすみれであった。


だがすみれは、机の引き出しから、小さなUSBメモリースティックを取り出し、


笑いながら、「馬鹿ね。


データはここに収めてあるのよ」と、呟き、「しょうがないわね。


明日新しいノートパソコン買って来るか」と、呟いたのであった。




次の日。


近くの量販店で、最新のノートパソコンを購入して来たすみれは、


それを自分の机に置き電源を入れたまま、自分は窓際に椅子を置いて座り、


昨晩と同じく夜の海を見詰めていた。


一人ワイングラスを片手にして。


何気なくすみれは、海を見詰めながら、「今日あの女が来たら、


窓から水をぶっ掛けてやるから、覚えてなさい」と、激怒した。


すると今日歩いて来たのは、清美であった。


すみれはその姿を見て窓から、


「清美ちゃん今仕事を終えたの」と、歩いていた清美に話し掛けた。


清美は窓を見上げて、「そうです。


ちょっと遅くなってしまって」と、言って微笑んだ。


すみれも微笑み、「彼とお食事では無いのね」と、からかうと、


清美は持っていた、白いビニール袋を掲げて、「今日は一人で質素に、


サンドイッチです」と、答えた。


それを聞いたすみれは、「好きねえ」と、返した。


その時、清美は笑いながら頭を下げて、立ち去って行ったのであった。


そしてすみれは立ち上がり、ワイングラスを自分の机に置いて、


開いていたノートパソコンを見詰めていたが、


椅子を自分の机の前に戻し、座ってノートパソコンのキーボードを打ち始めた。


すみれは画面を見ながら、「最新のパソコンは画面も綺麗で、


キーボードも打ち易いわね」と、呟いて文章を走らせるのであった。


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