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最高のラブレター  作者: シャイニーパステルムーン
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第七章 偵察

オカルト作家、斉藤すみれは、自宅のデスクの椅子で、


携帯電話を掛けていた。


その相手は、出版社の編集長であった。


すみれ、「はい、そう申されても私はオカルト専門で、


恋愛経験もろくに有りませんし、


従いろくな作品は出来ないと思いますが」。


編集長の北野 賢治は、「君の発想はオカルト部門でも、


高く評価されている。


その感性を生かして、


君独自のオリジナルラブを発想してだね」と、言い掛けると、


すみれは、「お言葉ですが、オカルトは発想出来ますが、


恋愛と成ると感性は別です。


私にはその様な感性は、宿されていません」と、きっぱり断言した。


編集長、「それは幾つか作品を書いてくれてだね、


その中から作品を選んで我々が編集して行くから、


頼むよ斉藤訓」と、縋り口調で念を押された。


すみれはそれでも、「お恥ずかしいお話ですが、


この年になるまで恋愛と言える様な恋愛など、


して来ませんでした」と、反論すると、


編集長は、「オカルトはすでに幅広くは世の中には、


受け入れられ無く成ってしまっている。


本の売り上げも落ちているんだ。


その前までは映画化されたオカルトやホラー、魔術などを交えた、


恐怖感を与える作品が花形だったが、あの韓流ブームが到来してからは、


まったく息を潜めてしまった、オカルト小説やホラー映画なんだよ。


少し前にも 一時流行った魔術的映画を作り、


新作を出したがまったくうけずに終わった。


この頃ではアクションの中にも、恋愛を多く取り入れた作品が好まれる。


解ってくれると有り難いのだが」と、嘆いた。


するとすみれは素直に、「解りました。


私成りの努力はして見ます」と、応じると、


編集長は、「頼むよ、では来週本社で落ち合おう」と、言って電話を切った。


そして携帯電話を耳から離すと、大きくため息を付いたすみれ。


とても苦痛だった。


仕方なく小説の材料を探しに、外出するすみれであった。


実はすみれは小説の材料の為にマークしている人物が居た。


それは自分の住んでいるコーポの前の道を、よく通り過ぎるOLであった。


すみれはサングラスを掛け、そのOLがよく行くコンビニへと足を運んだ。


すみれはそのOLの行動をよく把握していた。


なので決まった時間にコンビニに行き、彼女を付けていた。


OLは籠を持ち、棚のサンドイッチを掴んで籠に入れた。


すみれは何食わぬ顔で、同じ様に置いて有った、サンドイッチを掴かんで籠に入れ、


OLがレジに着くとその後ろに着くすみれ。


決まってすみれは彼女を直ぐ追う為に、


一品だけ商品を籠に入れて、レジを素早く済ませていた。


その姿を怪しげに見詰める女性店長がいた。


すみれがレジを済ませ店から出て行くと、店内ではすでに有名になっており、


店長と店員が、すみれの噂話をしていたのであった。


そのOLは昼時でもあったので、会社近くのコンビニで、


昼食を買って会社に戻る所の様で、すみれも後を追っていたが、


OLが社内に入ると、すみれは会社の前で立ち止まった。




すると急に社内のガラス扉の向こうから、


慌しく男性が駆けて来るのが見えたすみれは、慌ててその場から立ち去り、


路上に止めてあった、大型トラックの影に隠れた。


男達は数人、社内から出て来て、


年配の男性社員が、「おい、どこに消えたんだ」と、辺りを見回していた。


その時、その場でしゃがみ込むすみれ。


様子を伺っていた。


後から先ほどのOLが、


社内から出て来て、「確かに付けられていたのです」と、声を大にして言い放った。


すると30前後の男性が、「清美ちゃんをストーカーしているのは女だろ、


レズだなきっと」と、確信した。


社員達は、ただ事では無い有様だった。


その時すみれは、トラックの陰に隠れていたが、


トラックを尻目に、脇道にそっと小走りに逃げて行った。


逃げる途中サングラスを外し、汗を掻きながら歩いていた。


すると背後から、「すみさーん」と、声を掛けられた。


振り向くとやはり、編集部の小野田 洋子が駆けて来た。


洋子はすみれの前で立ち止まり、「どうですか、その後の進み具合は」と、聞いて来たが、


すみれは、思わしくない顔付きで、「自信はないわよ。


今さっき編集長から電話が有ったけど、期待はして欲しく無いの」と、弱腰であった。


そして話ながら街を歩いていると、なにやら大きな建物を建ていた。


それを見詰めるすみれは、「あら、また何か出来る様ね」と、建物を見上げた。


洋子は、「そんな事はどうでもいいんです。


中途半端で良いので、作品を見せて下さいよ」と、せがんだ。


すみれは、「だからある程度完成したら、あなたに相談するから、


今は私をそっとして置いてよ」と、拒んだ。


するとすみれは、何気なく背後に気配を感じ、振り向くと誰も居なかった。


足元で急に、「ニャー」と、鳴く声が聞こえたので下を見ると、


この間、港に居た猫が、足元にすがり付いて来た。


猫が嫌いでは無いすみれは、何気なくしゃがみ猫をあやしていた。


それを見た洋子は、「すみれさん、本当に頼みますよ。


我々出版社も、危機を迎えているのですから」と、せがむと、


すみれは猫を抱いて立ち上がり、「私にだけ期待しても、埒が明かないでしょ、


それ寄りも、新人を発掘したらどうなの」と、問い掛けると、


洋子は、「だからこの間も、言ったでは有りませんか。


新人は皆、電子書籍に持って行かれました」と、嘆くと、


すみれは、何気なく空を使い、


やはりこの間と同様、「なら私もそうしようかな」と、脅かした。


洋子はその時、急に真顔に成り、「そんな事したら、ただでは済みませんよ」と、


逆にすみれを脅かす洋子。


それを見たすみれは、「何よ、どうするの」と、顔が強張った。


すると洋子も、急に顔が強張り、「呪ってやる、呪ってやるから」と、急に態度が一変した。


すみれは、「それは、ホラー小説で脅かす作用を齎す効果的セリフ。


あなたは、ホラー小悦を読み過ぎよ」と、呆れていた。


洋子は急に挙動を荒立て、「わあー」と、叫んで襲い掛かろうとしたので、


すみれは駆け出し、猫を抱えたまま逃げたのであった。



次の日、誰かと待ち合わせをしている様な、すみれであった。


いつものコンビニの駐車場の角で夕方、一人佇むすみれの姿があった。


すると不思議な事に昨日すみれが付けていた、OLがすみれに駆け寄って来た。


清美、「ごめんなさい待たせてしまって、残業で遅くなりました」と、陳謝した。


すみれは微笑んで、「ごめんさいね。


あなたには不快感を与えてしまって」と、すみれも深々と頭を下げた。


清美は微笑んで、「事情は今日お昼にここであなたから聞いたので、


今は何とも思っていませんから」と、手を振った。


そしてすみれは、「お礼はするわ、今は書いている小説を完成させたいから、


あなたに頼むわね」と、告げると清美は、「そんな有名人に頼られるなんて、


思っても見なかった事です。


こんなにも報酬を頂けるなんて、なんとお礼をして良いか」と、頭を下げた。


すみれ、「報酬だなんて金額では無いけど手付けという事で、


完成したら約束の金額を払うわね」と、微笑んだ。


清美は、「はい」と、答えてこの場から去って行ったのだった。


そしてすみれは自宅に戻り野良猫に餌を与えながら、


窓を開けて月を見詰めていた。


今日は満月で思いに更けていた。


すみれは満月を見詰めながら独り言で、「恋愛か、


あの子を見て何を思うか。


それは若さ故、先走る恋の行方に歯止めは利かぬ有様に、


留美菜は一人さ迷うとするならば、豊は留美菜に何を求めるだろうか。


肉体と心の拠所を求めようとする様に、二人の未来は永遠なのかな」と、呟いて。


テーブルの呑みかけのワインを取りに行き、


窓越しにワイングラスを掲げ、月をワイングラスに照らした。


そして微笑むとワイングラスを持ったまま、


デスクの椅子に座り、ノートパソコンを開けて電源を入れた。


パソコンが立ち上がると彼女はキーボードを打ち、文章を走らせたのであった。


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