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最高のラブレター  作者: シャイニーパステルムーン
24/25

第二十四章 再開

清美は早速、豊と留美奈を連れて、


自分が働いている会社に、連れて行く事に成った。


何だか照れくさい豊と留美奈は、会社の社員に見せる顔が無かった。


道中清美は不意に二人に尋ねた、「久里浜の伝説の二人って、


もしかしたら留美菜と豊の事なのかな」と、問い掛けると、


豊が、「多分そうだよ」と、応えた。


清美、「南の島から二人は、愛を育んだこの町に帰って来たのね」と、微笑んだ。


すると清美は豊と腕を組んだ。


そして清美は、「素敵、久里浜伝説の主人公とこうして歩けるなんて、


あの時の留美奈の気持ちが伝わって来る」と、語ると、


豊は、「俺は君の方が何だか、三年前の続きをしている様な気がするけど、


良太君がまたかんしゃく起こさないか」と、尋ねると、


清美は、「豊さんこそ、留美菜さんがまた駄々を捏ねないか、


心配にならないのですか」と、逆に尋ねられた。


すると留美菜は、「負け組みは何も言えないのよね、良太君」と、


その後ろで俯いてとぼとぼ歩いている、良太に振り向いた留美菜。


良太はその事に対し、何も言えなかった。


嬉しそうな清美に、何だか微笑んだ豊と留美奈であった。


会社に着くと、早速豊と清美は腕を組んだまま社内に入ると、


社員達は驚いて声が出なかった。


すると清美は、「紹介します。


神崎 留美菜の続きをする事に成った、


松永 豊と持田 清美でーす」と、言い放った。


どう言う経緯でこの関係に成ったか、理解が出来ない社員達は、


ただ呆然としていた。


すると一人の男性社員が、「あ、あの、どう言う事ですか」と、豊に尋ねた。


後から留美菜が社内に入り、「お久しぶりです」と、頭を下げて、


留美菜、「あの時は、大変御迷惑をお掛けしました。


今、松永 豊は私の元へと戻りました」と、告げると、


さっぱりこの経緯が解らない社員達は、何が起きているのか把握出来なかった。


するとこの会社の上司らしき人が、「神崎の妹か」と、尋ねると、


清美は、「いや留美奈の主人公の、イメージキャラクターです」と、応えた。


更に混乱する社員達は、全員首を捻った。


すると急に何かに気づく清美は、


その上司を指差して、「あー、上司の市川って、川崎部長でしょ」と、叫んだ。


留美奈はクスクス笑っていた。


それを見て清美は、「大田君てもしかすると横山さんの事でしょ。


どうりで私に優しくしてくれると思った」と、嘆いた。


すると横山は顔を強張らせて、「はー」と、叫んだ。


そして清美は、「ならば、ふるかーは誰」と、考えると、


社内の角で仕事をしていた男性が、「お、俺の事か」と、自分を指差した。


清美はやはりその男性を指差して、「あー、下川さんだ」と、声を上げた。


清美は、「ちょっと留美菜さん小説に出てくる人物は、


全て私の会社の社員だったのね」と、問い掛けると、


また何かを思い出し、「仲買の生田 京子さんは、


小説に出てくる年増の幹谷 ちずる」と、気がついた。


すると同時に社員達は、「小説」と、言い放った。


横山、「神崎お前、作家に成ったのか」と、尋ねると、


留美菜は、「ええ、オカルト作家ですが、


編集部から命じられて、今回恋愛小説を書きました」と、告げると、


社員一同、呆れ顔に成った。


下川、「それで神崎、松永さんの浮気相手は持田だったのか」と、尋ねると、


清美は、「我がままな留美奈から今日奪いました」と、告げると、


更に理解不能な社員達であった。


するとそこへ、のこのこやって来て社内に入る良太であった。


それを見た社員達は、更に頭の中が混乱していた。


流石にこの場の空気を読んで、豊が簡単にこの経緯を説明したのであった。


社内は豊の話を聞き終えると、騒然と成った。


三年前にこの場所で留美菜と豊は噂の二人で、


破局を向かえて留美菜は会社を辞めてしまい、


安否の確認が出来ないままでいた、その二人がここに帰って来た事で、


社員達は驚いていた。


すると留美菜が、「お仕事中お邪魔をしてしまい、


申し訳ないのですが」と、言い掛けると、


清美が口を挿んで、「どうしても私は、この二人をここに連れて来たかったの。


留美菜は改めて大田じゃなく、横山さんにお礼を言って貰いたかったの。


あの小説を読んで私は、留美菜を支えてくれた人達に感謝して欲しかったの。


私も豊の気持ちが解るから、そして横山さんの愛情も伝わるから。


穏やかなすみれさんがまさか、留美菜だったなんて信じられないけど、


もう一度ここから豊との愛を育んで欲しいから、


私の願いを叶えて欲しいの。


留美菜も我がままで勝手だし、良太も我がままで勝手だし」と、咎めると、


豊は留美菜に、「おい留美菜、妹に言われたぞ。


妹の方が当時の留美奈寄りも、ずっとしっかりしてるな」と、問い掛けると、


社員全員苦笑いであった。


留美菜、「ごめんなさいあの時は、皆の優しさ溺れてしまってた。


気がつかない内に庇って貰う事の優越感に浸ると、


私は弱さを見せれば、構って貰える行為に甘えてしまっていた。


それは豊だけでは無く、男性社員にも同じ態度でいる事で、


私は子供の様に我がままに成っていたの。


元々本質的な自分を曝け出していただけで、


何も変わってはいなかった私でいた事を皆なに謝ります。


でもこうして今日、豊が私の元へと帰って来てくれた事で、


初めて豊と出会った頃から、やり直そうと思っているの。


今度は豊に反発せずに、彼の意見を受け入れ様と思っています。


横山君あの時はごめんなさい、今はあなたのあの時の愛情が伝わります。


そして社員の皆さん、心配させてごめんなさい。


勝手に豊との恋愛での挫折で会社を辞めてしまった事を、


深くお詫び申し上げます」そう言って、深々と頭を下げた。


同時に豊も頭を下げたのであった。


すると川崎部長が二人の前に来て、


留美菜の肩を一つ軽く叩いて、「良かったな、


距離を置いたから今の神埼が有るのだろ。


大分落ち着いた様だが、松永さんもこれで気が楽に成るだろう。


あのままではいずれ、酷い喧嘩の末破局になる事は目に見えていたよ。


松永さんの行動はやはり、未来の神崎を見据えていたと思う。


あの時神崎を、突き放す事は容易では無かったとは思うが、


心配で常に隠れて側で神崎を見ていたと思う。


だがあのままでは、松永さんも持て余してしまうだろうから。


これで良かったと思うよ」と、優しく微笑んだのであった。


そんな留美菜に清美も微笑んだのであった。


すると下川が清美を見て、「持田お前そろそろ、留美菜に松永さんを返した方が、


いいんじゃないか」と、注意すると、


清美は、「留美菜さんの小説に貢献してくれたから、


今日から一週間、豊を貸して貰える事になりました」と、自慢げに応えた。


すると社員全員、「はー」と、罵声を浴びせた。


突然後ろに居た良太が泣き出し、「清美の馬鹿野郎」と、かんしゃくを起こした。


それを見た豊が、「君ねえ、清美ちゃんに突き放されたら、


絶体絶命ではないのか」と、忠告すると、


良太は、「ならば清美の腕を放して下さいよ」と、泣きながら訴えた。


清美は良太に、「組んでいるのは私なの。


絶対一週間は貸して貰うんだから」と、反抗すると、


豊はその時、清美の腕を自ら外して、「俺のせいで自殺されても困るので、


公認の浮気はもう少し落ち着いてからにしよう」と、


自ら外した清美の腕を持って良太の腕に組ませた。


そして留美菜はそっと自ら豊と腕を組んだ。


それを見た横山は、「やっと二人共元さやに戻ったな。


それがお似合いだよ」と、告げると清美は面白く無い顔をしていた。


豊、「清美ちゃんちょっと良太君にお灸をすえる意味で、


一人でしばらく旅行にでも行くのはどうだい」と、提案すると、


清美は、「ストラスブールを満喫して来ようかな」と、応えた。


良太はべそを掻きながら、「お、俺も連れて行けよ」と、せがむと、


清美は、「あんたなんか連れて行きたくは無いわよ。


スナックの女の所にでも行ってなさいよ。


どれだけボッタクられたって、私は知らないからね」と、冷たくあしらった。


その時ここに居た全員に、大笑いされてしまった良太であった。


この四人は新しく店を出した、街中の豊の店に歩いて行った。


するとそこはすみれが洋子に追われていた時に、


匿ってくれた店アッグレガーレであった。


留美菜は豊と腕を組みながら、「そうだと思っていたわ。


店に入ったら何となく豊の香りを感じたから」と、告げると、


豊は、「留美菜に対応したのは、俺の親戚の五つ下の従兄弟なんだ。


俺はその時丁度買い物に出ていて、君と逢えなかった」と、答えると、


留美菜は、「嘘、私を厨房の奥でそっと見ていて、


あの女性に私が厨房に招かれた時、急いで控え室に逃げたのでしょ。


だから香りだけがあの店内に残っていたのよ。


だてに私は豊に抱かれてはいないわよ」と、言い返すと、


豊は苦笑いで、「負けたよ合わす顔が無かった」と、謝った。


清美、「豊さんの気持ちが解ります。


三年間もあの時の駄々っ子を突き放したら、


幾ら表向きは穏やかな留美菜さんでも、


何を言われるか解らないから」と、非難した。


すると豊は、「おー、君は良き俺心の弁解者だね」と、愛しんだ。


清美、「私も一人、同じ性格の男を抱えてますから」と、同感したのであった。


留美菜はその時、良太を見て、「私のフォローをしてくれる」と、頼むと、


良太は、「何だよ豊さんも清美も、好き勝手な行動取ってさー。


一言言ってから行動しろよな」と、怒った。


すると清美は、「あんたこそ好き勝手に振舞って来て、


今更文句を言う筋合いが有るの。


私に冷たくされればスナックの女に慰めて貰って、


いい気に成らないでよ」と、反発した。


それを聞いた留美菜は良太に、「有難うと」答えた。


豊も清美に、「有難う」と、答えたのであった。


店に辿り着くとまだ開店前の様で、


入り口にはClauseのプレートが掛けられていた。


すると清美が、「豊さんまたあの傲慢な、お兄さんが働いているの」と、尋ねると、


豊は驚いて、「まさか君の口から、兄貴の話が出るとは思わなかったな。


兄貴は三年前、俺達があの店を出て行ってからまたバクチの借金が嵩んで、


行方不明なんだよ」と、嘆くと、


留美菜は、「そうなの相変わらずバクチ好きが高じて、


首が回らなく成っているでしょうね」と、悟った。


そして 一行は裏口から店内に入る事にしたが、


豊は清美に耳打ちすると、清美は喜んで裏口のドアを開けた。


すると大きな声で、「ただいまー」と、叫ぶと、


シェフ達は驚いて一斉に驚いて、「おー、お帰り」と、歓迎してくれた。


するとそこに居た女性が、「あれ、あなたは留美菜さんではないでしょ。


留美菜さんはどうしたの」と、尋ねると、


清美は、「へへ、ばれちゃった」と、頭を掻いた。


シェフ達はその女性の問い掛けを、


疑問に思い 一人のシェフが、「留美菜ちゃんだろ、お変わりなく」と、声を掛けた。


その問い掛けに喜ぶ清美は、「分身でーす」と、元気良く応えた。


またここでも、そう言われた側は訳が解らず首を傾げた。


そして留美菜が店内に入ると 一礼をして、「お久しぶりです。


神崎 留美菜は私です。


この娘は私に似ている娘で、もう御承知かと思いますが、


私は作家をしています。


この度出版した小説の、イメージキャラクターに成って貰った娘で、


私のあの当時によく似た娘です」と、告げると、


シェフ達からどよめきが沸いた。


その後から豊と良太が入って来た。


豊、「あの当時の留美菜寄りも大人で、しっかりしているよ」と、語ると、


シェフ達は笑ったのであった。


清美は即座に厨房の奥の、


スタッフルームを見つけて、「私あそこに入りたい」と、指を差した。


するとシェフ達は大笑いで大滝 雄二が、「どうぞ、直ぐに愛情たっぷりの、


豊の料理を運んで上げるよ」と、応えると、


清美は、「わーい」と、喜んでスタッフルームのドアを開けて、


ドアを開けたままそこのテーブルの椅子に座った。


照れる留美菜は、「やられたわね」と、豊に問い掛けると、


豊は、「あの子を見ていると、


何だかあの時の、留美菜に対する怒りを忘れるよ」と、ぼやいたのであった。


そして女性が、「あの時はどうも私し松永 豊の従兄弟の、


松永 沙耶花と申します」と、頭を下げた。


留美菜も慌てて、「あ、申し送れました。


作家を営む小説家名、斉藤 すみれ事、


本名 神崎 留美菜 と申します」と、頭を下げた。


沙耶花、「この度私しはこの店のアシスタントとして、


担当する事に成りました、どうぞよろしくお願いします」と、挨拶されると、


留美菜は、「こんな不束な女をこの店に御招き頂いた事を、


深く感謝致します」と、頭を下げて姿勢を戻すと沙耶花は、


本を手にして留美菜に見せた。


沙耶花、「大変感動しましたよこの本」と、微笑んだ。


それを見た留美菜は照れながら微笑み、「有難う御座います」と、


再度頭を下げた。


沙耶花、「あの強情で偏屈な豊君を、


穏やかにさせた女性の魅力が伝わりました」と、絶賛してくれた。


豊、「俺達、都市伝説噂の二人だからな」と、留美菜をからかった。


するとギャルソンの大下 雅夫は、「今日から三年前の、


留美菜ちゃんの続きを演じる事に成った、


あの御嬢様が腹を空かせて退屈そうだぞ」と、控え室を見ると、


清美は椅子に座り足をぶらぶらさせながら、テーブルに頬杖を突いていた。


それを見たシェフ達は笑ったのであった。


留美菜は、「完全に私のポストを、奪われてしまったわね」と、


笑いながら豊と顔を見合わせるのであった。


豊は厨房に入り、留美菜と清美そして良太が、


開店 一番のお客と成ったのであった。


三人は店内のテーブルに座り、その明るいレイアウトに心躍らせた。


清美ははしゃぎ、「わーい、私主人公に成ったみたい。


私、割引券貰っても、仲買の生田さには絶対配らない」と、宣言すると、


清美のテーブルを挟んで、


向かい側に座っていた留美菜が指を組んで、


その手をテーブルに置いて、「清美ちゃん、明日から会社でしょ。


今後の横山君の、清美ちゃんへの扱いが大変ね」と、笑った。


清美、「横山さんが妙に入社当時から、


対人関係の事で私に熱心に教育する理由が、


明らかに成りました」と、神妙な面持ちで答えると、


留美菜は、「それは私のせいと言いたいのね」と、問うと、


清美はその表情を崩さず、「その通りです」と、答えたのであった。


するとそこへ、アシスタントの沙耶花とギャルソンの大下 雅夫がやって来て、


沙耶花、「当店始めてのお客様でいらっしゃる方が、


オナー松永 豊を愛した方である事を、心から感謝致します」と、頭を下げて、


沙耶花、「アッグレガーレの名の通り大事な仲間に、


お越し下さった事を感謝致します」。


雅夫、「私しが松永 豊に代わり、御説明致しますと。


オーナである松永は三年間の修行の結果、


更なる料理の味を極めこの思い出の地に、


再度店を構える事を夢見て来ました。


昔愛した女性を愛しく思い勝手にその女性から、


放れてしまった事を悔やみましたが、


これからその償いをさせて頂きたいと願っています。


三年間、神崎 留美菜様には大変寂しい思いを、


させたと後悔していますが松永 豊は、


神崎 留美菜様のこの三年間の合間を一生掛けてでも、


繕おうと言う覚悟で御座います。


そして今、松永から言い付けが有りまして、


清美様にはこれから当店の裏口の出入りを許可し、


毎日姉の留美菜様と控え室で賄い料理をタダで、


御堪能頂きたいと申しておりますので、


存分に料理を楽しんで頂きたいと思います」と、告げると、


清美は、「優しい、嬉しい、最高」と、


喜びを露にはしゃいだのであった。


すると良太、「それって、松永さんは清美と留美菜を、


二股掛けるって事かよ」と、ぼやくと、


清美は顔が強張り、「あんただって、


スナックの女と二股掛けてるでしょ」と、怒った。


良太、「何だか清美は留美菜さんと出会ってから、


急にきつく成ったのは何故だよ」と、嘆いた。


留美菜、「良太君もう清美ちゃんに、


甘やかされるのは終止符を迎えたのよ。


もうそろそろ現実を見ないと、


私みたいに捨てられるわよ」と、忠告すると、


良太は急に真顔に成り素直に、「はい、申し訳有りません」と、応えた。


それを見た沙耶花と雅夫は笑ったのであった。


そして雅夫はワイングラスと、白ワインをトレイに乗せて運んで来ると、


ワイングラスを三人の前のテーブルに配り、ワインボトルのコルクを抜いて、


留美菜から順番に注ぎ始めて注ぎ終わると、


三人はワイングラスを口に付けけた。


すると留美菜は、はっとした。


そのワインは、あのストラスブールに豊と旅をした時に、


小さなレストランで飲んだワインの味と同じであった。


留美菜は急に目頭が熱く成った。


留美菜、「彼からの素敵な計らい」と、応えた。


すると雅夫は微笑んで、「留美菜ちゃん大分大人に成ったね。


昔の留美菜ちゃんならば、『このワインで私の心を、


三年前に戻そうなんて思ったら甘い考えよ』と、


怒りそうだけど」と、応えると、


清美は、「そんな事言ったら私が、


『ならば三年前の生写しが留美菜さんに代わって私が、


豊に浴槽で可愛がって貰う』って言ってやる」と、忠告した。


それを聞いた雅夫は、「手強いのが現れたね」と、嘆くと、


留美菜は微笑んで、「清美ちゃんは素敵ね。


三年前に私が今の清美ちゃんの心境だったら、


あの時、豊は私と結婚してくれたのにね」と、黄昏た。


それを聞いた清美は、急に切なさが増したのであった。


すると沙耶花が、サンドイッチの皿をトレイに乗せて運んで来た。


それをテーブルに配ると留美菜は表情が重くなった。


それを捉える清も表情が重くなった。


今二人の心は一つに成っていた。


当時の留美菜の生写しである清美と、三年後の留美菜。


留美菜は今目の前の清美が、三年前の自分と感じて、


清美はその事を察知した。


留美菜はサンドイッチを一つ掴み口に含んだ。


その瞬間うっと、声を出して涙が溢れ零れ落ちた。


そうそれは初めて出会った時に豊かが作り、


留美菜に食べさせた、あのサンドイッチの味であった。


留美菜はサンドイッチを噛み締めながら、あの時の自分思い出した。


まさに条件反射であった。


留美菜は堪らなくなり急に感情的になった。


留美菜、「豊ごめんなさい私は溺れてた。


あなたに甘やかさせる度に、私はあたに溺れて行った。


あなたに抱かれる度に私は怖い物を失った。


あたなが居なくなるなんて、考えた事も無かった。


失うってこんなに辛い事だと初めて知った。


お金では買えないのあなたの愛情は。


それを知ったのはあなたを粗末にした後だった。


気が小さい癖に強がってたあの時を今、恥ずかしく思う。


自分が強く抱かれたい時にだけ、あなたに素直に成り、


機嫌が悪い時にはあなたに強がった。


その果てに私を持て余した豊。


ずっと後悔していたの。


私は私は、あなたが居なければ、


寂しい老婆になるだけよ」と、嘆き喘ぐと、


清美は黙って椅子を引き立ち上がると、


スカートのポケットからハンカチを出した。


留美菜の座っている席に立ち、屈んで留美菜の涙を拭いて上げた。


清美、「生写しがあたたに応えて上げる。


愚かだったね。


でもその愚かだった事を気づかせてくれたから、


豊は留美菜を忘れなかった。


そしてこうして戻って来てくれた。


お互い宛ての無い旅に出たから今が有るの。


そこでお互い自分の人生を見つめ直して、


今改めて自分の人生の種を見つけて、


お互いそれを大事に育もうとしている。


久里浜伝説の二人は、久里浜に戻りこうしてまためぐり合い、


久里浜伝説は永遠の物と成るの。


あなた達は伝説を描く事で、人々はあなた達の愛を称えてくれるから、


その人達感謝を忘れずに、愛を育んで」と、清美の慰めに、


心打たれる留美菜は清美に心から感謝するのであった。


食事を終えると、スタッフ達と話が弾んだのであった。


三年間の豊の修行の集結を三人に披露して、


三人は料理を堪能したのであった。


豊と留美菜は店を出る頃にはもう日も暮れて、


辺りは真っ暗になっていた。


二人きりに成ると、照れ臭さと愛しさが入り混じり、


言葉を失っていた。


二人は自然と久里浜海岸に向かった。


そして月明かりに照らされた、久里浜海岸に二人は座った。


豊は海を見詰めながら、「伝説の二人に成っていたんだな俺達」と、呟くと


留美菜は微笑み、「あれだけあからさまにここでキスしたり、


寄り添っていた二人が突然、


この海岸から居なくなれば噂が立つわよ」と、呆れた。


豊、「俺を許してくれるとは思わなかった。


三発位は殴られる覚悟だったが」と、答えると、


留美菜は、「豊があの時、私を殴りたかった癖に」と、告げた。


豊、「ああ、悔しかった君が。


嘘だと承知しながら俺に当たって来た事。


兄貴に言われた腹いせを、俺にぶつけて来た事が」と、嘆くと、


留美菜は豊の肩に自分の頭を乗せた。


そして留美菜、「ずるい女ね。


お兄さんに当たっても愛をくれないけど、


豊に当たれば絶え間ない愛をくれた。


私をなだめる薬は夜ベッドで聞き分けの無い私に、


絶え間ない愛を与える事だった。


私はそれが麻薬だった。


優しさ快楽安心感、女の幸せを全て得た私は、


モンスターと化してあたに襲い掛かっていた」。


豊、「俺は君の過去の蟠りを癒そうとして来た事が、


逆に君を甘やかす結果に成ってしまった。


会社でも同じ様に、男性社員から甘やかされ続けると、


ちょっとした事でも、かんしゃくを起こす様に成っていた。


そして変な知恵を付けさせてしまったな」。


留美菜、「あなたに私は素直な顔を見せる時は、


激しい愛を欲しがり、自らあなたの前で服を脱いだ。


機嫌が悪い時は、あなたに強がりかんしゃくを起こした。


全てあなたはそんな私を包んでくれた。


それに溺れた私は捨てられたのよ」と、後悔した。


豊、「ずっと君を見ていたよ。


でも俺は君に声を掛けられ無かった」。


留美菜、「ずっと私も側に居る気がしてた。


都内を歩いていると追い風が吹き、


あなたの香りが仄かに漂っていた。


振り向くとあなたの姿は無かった。


久里浜に舞い戻り、何気なく気配を感じて振り向くと、


香りだけを残しあなたの姿は無い。


私を見守っていると感じていたから、


私あたなが居なくても生きてこれたのよ」と、告げると、


二人は見詰めあった。


そして目を瞑りキスをした。


月明かりに照らされる二人は、


久里浜伝説の続きへと誘われて行った。


キスを終え豊は何気なく立ち上がると、留美菜も立ち上がった。


豊は徐にズボンのポケットから小さな箱を出すと、


箱を開けて中の指輪を掴んだ。


そしてもう片方の手で留美菜の左手を掴み、


留美菜の薬指に指輪を納めた。


それを見詰める留美菜に豊は、「結婚しよう」と、告げた。


留美菜はその言葉に、「要約私はあなたに恩返しが出来そうなの」と、応えると、


豊は、「へ」と、呟いた。


豊と放れて私はあえて産婦人科に行って、子宮検査をして貰ったの。


子宮には異常が無く、丈夫な赤ちゃんを産めると診断されたの。


あなたに丈夫な赤ちゃんを産む事が、私からの最高のラブレターよ」と、告げると、


万感な思いを胸に、二人はキスをするのであった。


それを遠くから見ていた清美と良太は、


寄り添いあの二人の様に、永久の愛を誓うのであった。

       

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