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最高のラブレター  作者: シャイニーパステルムーン
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第二十一章 終止符

あれから一週間が過ぎた。


馬鹿な留美奈は、勢いで言ってしまった事で、


豊に顔を見せられ無かった。


確かに豊の言った通り、豊に甘えていた留美奈は、


今回だけは、豊の堪忍袋の緒が切れたと感じていた様で、


豊は留美菜に顔を見せず、携帯も留美菜に渡していたので、


連絡が付かなかった。


無論留美菜は、豊の自宅マンションに電話を掛けたが、


電話には出る事は無かった。


謝りに行こうと会社帰り、豊の店の裏口に回りそっと厨房を覗くと、


なにやら仕事もせずにシェフ達が揉めていた。


そっと厨房に入る留美菜は、シェフ達の前に佇んだ。


それを見た和也が、「お、お前豊が厨房に書置きをして、


姿を消してしまったぞ」と、血相を変えて留美奈に告げた。


留美奈はその時、放心状態で言葉が出て来なかった。


するとシェフの大滝 雄二が、「和也さんあんたなんて事を言うんだ。


豊のスカウトの断りの腹いせに、留美菜ちゃんに当たって、


根も葉も無い話しを留美菜ちゃんに告げたから、


豊は留美奈ちゃんに強く当たられて、落ち込んで店を出て行ったんだろ。


馬鹿だな和也さん。


豊が俺達の指揮を執っていたから、この店は上手く行っていたのに、


豊がいなくなりあんたがオーナーでは、


店の経営は、ままならなくなるぞ」と、忠告した。


そしてギャルソンの大下 雅夫が、「豊は留美菜ちゃんだけが、


明日に生きる術に繋げていたのを、気づかなかったのか。


妻を亡くして人生の宛てを無くしていた豊は、


留美菜ちゃんと出会い、留美菜ちゃんを穏やかにして、


留美菜ちゃんが願う様に、結婚をして子供が出来る事を希望に、


この店を賄っていたのにそれを脆くもあんたは、


二人の仲を壊して豊は留美菜ちゃんに嫌われて、


宛てを無くして出て行ってしまった。


確かに甘えていた留美奈ちゃんにも、責任は有るかもしれないが、


あんたが一番罪だろ。


根も葉も無い事を留美菜ちゃんに告げれば、


留美菜ちゃんは豊に、辛く当たるに決まっているじゃないか」と、激怒した。


シェフ達はその時、一斉に和也を批判した。


すると留美菜は急に拳を握り、和也の頬を張り倒した。


何度も何度も和也を張り倒しながら涙を流し、


留美菜は、「豊を返してよ私の豊を返してよ。


あんたのせいで、豊が私の前から居なくなったじゃない。


私の豊を返せ」と、叫んでいた。


その時、シェフ達は留美菜を止めに入った。


だがシェフ達も留美奈と同じ気持ちだった。


シェフ達は留美菜を押さえながら、和也を睨み付けた。


傲慢な和也もこの時ばかりは、反省の色を見せて、「悪かったよ、


ちょっと和也に頭に来てた。


あいつが俺の言う事を聞かないから、大事な彼女に腹いせした。


俺が悪かったよ」と、肩を落とした。


それを見た留美菜は、「あんたなんか、


シェフの片隅にも置けない卑怯な奴よ。


弟の豊を使って私利私欲を企んで置いて、


今更なに言ってるのよ」と、言い放つと、


シェフ達も同じ気持ちで和也の今までのうっぷんを、


一人一人言い放っって行った。


その時、この店は終止符を打たれた様で、


シェフ達は和也を残し全員控え室に向かい、


私物を持って立ち去って行った。


留美菜も気を落として、シェフ達と一緒に店を出たのであった。


シェフ達は留美菜と一緒に、街角の喫茶店ランダムタイムいた。


すると大滝 雄二が、留美菜に一枚の手紙を渡した。


そこには To Ruminaと筆記体で書かれていた。


雄二、「先週から留美菜ちゃんが来なくなったので豊に、


『留美菜ちゃんと何か遭ったのか』と、尋ねたら、



『喧嘩した』とかで、『でも一週間もすれば、俺の元に戻って来るよ』と、


言っていたのだが豊は、『三日前から風を引いて休みたい』と、


俺の携帯に連絡が入ってな。


心配になって三日後に豊のアパートを訪ねたら、


アパートを出払った跡でもう姿が無かった。


慌てた俺は、それをシェフ達に携帯で伝えた。


そして今日の昼間に厨房に入ったら、


鍋の上に手紙が二枚置かれていた。


一つは俺達に、もう一つは留美奈ちゃん宛てにな」と、


雄二は、シェフ宛ての手紙を開いて読み上げた。


『勝手な行動を取って申し訳ない。


兄貴に付いて行けなく成った。


理由は解っていると思うが、


兄貴にオーナーを譲る事にした。


このままだと兄貴の傲慢な経営方針に、俺は喘ぐだけだと思う。


言って聞くような兄貴や留美菜では無いから、


何も言わずに兄貴そして、留美菜の前から去る事にしたよ。


いずれにしろ俺が変えられる二人では無い事を、


残念に思うが二人から距離を置かないと、


ただ俺を頼りにするばかりで、


本質的に自から性格を変えようとはしない。


俺もまだまだだが兄貴も留美菜も、


口では俺を補ってくれる様な事を言うが、


実際は俺に甘えたいだけの口実に過ぎない。


俺はまた修行に出る事にしたよ。


また会える日が必ず有ると思うから、その時に会って謝る。


済まない』。


読み上げて手紙を閉じた。


この時、ここに居たシェフ達と留美菜は、言葉を失っていたのであった。


日曜日、留美菜は一人、久里浜海岸の砂浜に座り、


豊から自分に宛てられた手紙を読んでいた。


晴れ渡る空に潮騒が響いていた。


『留美菜、俺は言い訳はしない。


一週間経てば俺の身の潔白は晴れるが、


敢えて君の前から離れなければ成らないと思う。


俺が君と寄り添う事で、君は洗練されて行った。


君は深い暗黙の領域から、俺は明るい世界へと導いた。


それは君と付き合う事で俺も洗練された。


会社の社員達は君の変貌振りを称え、


その背景には俺が居る事を認識していた。


万事上手く行っていた。


だが過ぎたる及ばざる如し。


君はそれを良い事に、甘える事で全て君が関わる男性から庇われ、


君は溺れて行ったと思う。


つまりお姫様に成ってしまったんだ。


泣けば男性社員からは構って貰い。


恋人にはダダをこねれば、強く激しい愛を与えられた。


持て余す男性からの、熱い包容に君は欲をかき始めたと感じた時から、


俺は君を包めなく成っていた。


決して君の会社の男性社員に、焼餅を焼いた訳では無く。


俺を含め君が関わる男性達が、音を上げて来たと思う。


いつかこんな時が来ると思っていた。


俺も未熟だった。


でも一つだけ信じて欲しい事それは、俺は君に一途であった事。


悔しかったあの時、君に言われた事それは、


兄貴が君を騙した事と、君が兄貴に騙されてると知りながら、


俺に辛く当たった事。


俺は許せない。


でも君と過ごした時間は、俺に取っては幸せだった。


いつかまた逢える時が来るだろう。


その時、この恋をやり直せるならば、


リフレインしたい。


有難う留美奈、意地っ張りな俺を変えてくれた事。


有難う俺の青春の 一ページに君を添えてくれた事。


シーユー、Rumina。』。


すると大田が横に座った。


大田は海を見詰めながら、「溺れたな神崎」。


その言葉に涙する留美菜は、「どうしてこう成るの」と、問い掛けた。


大田、「溺れてる奴は、必死でわらをも掴もうともがき苦しむ。


そこに手を差し伸べた、助け人の手を掴むが、


その助け人も、助かりたいが遭難者の救助を優先して、


もがく遭難者をなだめて、岸に連れて行こうする最中、


遭難者は必死に息をしようと、救助隊の背中に乗って来る。


その時、溺れそうになる救助隊は、自分も息をしようと必死でいるが、


遭難者は助かりたい 一心で、救助隊を疎かにする。


今のお前だ。


お前は松永さんに助けて貰った事に、溺れた理屈だ。


本当は俺達に素直に成りたかった。


でも自分ではどうする事も出来なかった。


だが松永さんがお前を癒した事で、お前は俺達に素直になった。


たが更に欲が出た。


学生時代からお前が今まで、


やっかんで来た奴の様に成れた事で優越感に浸ると、


お前は松永さんをさやにして、会社でお前が男性社員を手玉に取り、


それを女性社員に中傷されて、それが発端で社員全員に嫌われても、


優しく包んでくれる松永さんが居れば、怖いもの知らずだった。


最悪会社を辞めても、松永さんと結婚してしまえば良いから。


お前は会社でも俺達男性陣や、松永さんと一緒に居る時でも、


甘え抜いて行こうとした。


もう松永さんとの結婚は、間近と感じていたから、


結婚をしてしまえば、心の底から求めていた全てを手に入れられると感じて、


余裕が出来ると自制心を失い、


求めたい放題自分に関わる全ての男性に甘えた結果、


一番大切な人を疎かにしてしまった。


そこがお前の溺れた点なんだ」と、忠告した。


留美奈、「感じていたのね豊は」と、呟いた。


大田、「感じていたから、今の現状があるんだろ」と、問い掛けると、


留美菜は海を見詰めて、「知らぬ間に私、豊に溺れてた。


私ズルイ女に成り代わってた。


私が 一番嫌いな女に自分が成っていたのね」と、自分を振り返った。


大田、「皮肉さ、目の前の敵は明日の鏡に映る自分なんだ。


成ってみて初めて実感したろ。


優越感に浸った分リスクを大幅に伴った」。


そう言うと大田は立ち上がり、留美菜から離れて行った。


留美菜は一人海を見詰めて、「有難う豊、私を闇から救い上げ、


愛の世界に導いてくれて。


有難う私も青春の一ページに、あなたを飾れた事。


有難う絶え間ない愛を与えてくれた事」。


留美菜の恋愛は終止符を打たれ、今万感の思いで豊に感謝したのであった。


さようならと心の中で呟くと、留美菜はラブレターを砂浜に立てかけた。


そしてこの砂浜から立ち上がり、去って行ったのであった。


風に舞うラブレターは大空に舞い上がり、


南の島まで飛んで行くのであろうか。


失くして初めて豊の愛を噛み締める留美菜に、弁明の余地は無かった。


黄昏て歩く道に豊との思い出を振り返り、


自分の愚かさを感じる留美菜であった。


街行く人々の笑顔が絶え間ないこの街を、一人俯いて歩く留美菜は、


また一つの恋を失ったのであった。


その時コンビニの前を通ると、


何気なく立ち寄り一つしか無い棚のサンドイッチを見詰めた。


徐に手に取り、豊と一つのサンドイッチで争った時を思い出し、


留美菜は、「ここからやり直したい」と、呟いた。


留美菜はやり直せるものならば、


彼に素直にこの一つしか無いサンドイッチを譲ろうと思った。


後悔の渦に巻き込まれて切なさが増すと、


それを手に取りレジを通しコンビニを跡にした。


一つだけ袋に入っているサンドイッチを見詰めて泣いた。


自分のコーポに帰りそのサンドイッチを食すと、


愛された日々を思い出し、一頻り涙が頬を伝った。


そして留美菜は、「今度出会う時は、あのコンビニから再会したい。


その時は素直にあなたに、このサンドイッチを譲るわね」と、


呟いていつかまた会える時を、夢見る留美菜であった。



fin....。



(この話は まだ続きます →→)


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