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最高のラブレター  作者: シャイニーパステルムーン
12/25

第十二章 嫉妬

今日は会社の馴染みの割烹料理店で、宴会であった。


酔いが回る社員達は、大声で騒いでいた。


すると男性社員の大田が、留美菜に絡んで来た。


大田、「神崎今日は楽しいね」と、へべれけになり、


留美菜の肩を抱いた。


そして大田は、「神崎は美人だから、放って置けないんだよ僕は。


彼氏とか居るのかな」と、問い掛けると、


留美菜は、「この頃微妙です」と、あいまいな返事を返した。


すると大田は、「微妙って何、微妙って。


はっきりして欲しいな」と、聞き返した。


留美菜は苦笑いで、「友達とも言えないし、


恋人とも言えない関係なんです」と、答えた。


それを見た、他の男性社員の古川が、「神崎さん今日はどうしたの。


やけに素直に応じてるけど、いつもならば、『どうせ私みたいなへそ曲がりに、


付いてくる男なんて居る訳ないでしょ』と、怒りそうだけどね」と、首を傾げた。


すると大田は、「ふるかぁー、余分な事を言うな」と、激怒して、


大田、「それをチャンスに今から俺がだな、神崎を口説こうと思ってるのに、


余分な事を言うな」と、言い放ち、「待てよ、そう言えば今日はそう来ないな」と、


留美菜の肩を持ちながら、疑問に思うと更に、「そう言えばいつもなら、


神崎の肩を持っただけで、『放せ酔っ払い』と、


激怒して手を振り払う癖に、今日はやけに素直だな」と、首を傾げた。


それを見て面白く無いのは、例のもてない三人で有る事は、言うまでも無かった。


向かいの席から、その二人の話を聞いていた美祢は、「大田君、


神崎さんを愛してくれる人に告げられたら、


ぶっ飛ばされるから、手を退かした方が身の為よ」と、嫌味ったらしく忠告した。


空かさず大田は、「それ誰だよ」と、留美菜に聞いたが返事が無く、


向かい側の美祢に大声で、「誰だよそれは」と、問い掛けた。


すると美祢は、「さあ、知らないわよ」と、横を向いた。


その場はそれで納まったが、更に宴会の盛り上がりは激しく増して行く。


やはり今日はやけに、素直な留美菜が注目されていた。


男性女性社員関係無く、お酌して回る留美菜に社員達は驚いていた。


酔っ払った社員達に、何を言われても偏屈にならず、


素直に自分の気持ちを伝える留美菜に、社員達は拍子抜けであった。


無論あまりの急変振りに、その場で瞬く間に各々小声で留美菜の噂は、


伝わってしまったのである。


酔った勢いも有り美奈代が、「あんたさー、『どうせへそ曲がりの女なんて、


相手にしてくれる男なんか居やしない』が、口癖だったけど、


しっかり男が出来たら素直に成ってるじゃない」と、不貞腐れた。


すると上司の市川が、「まあまあ、いいじゃないか。


神崎に彼氏が出来たお陰で、


我々も扱い易く成った訳だから助かるよ」と、慰めた。


すると男性社員だけが納得していた。


古川、「そうだよ、今の方がずっといいよ」と、更にその意見に賛同した。


そして社長の幹谷が、「今まで偏屈でへそ曲がりだったから、


彼氏など出来なかったが、


良い彼氏に素直にさせて貰えたんだよなあ神崎。


だから今までの事は水に流して、


これから皆なに、素直に対応しようと心掛けたのだろ。


だから皆なも解ってやってくれ」と、留美菜を庇った。


すると男性社員からは拍手をして貰った。


しかしこの間の、久里浜での二人のラブシーンを、


目の当たりにしてしまった、もてない三人は面白くない。


従い酔っ払った勢いも有り美祢が、「へえ、


神崎さんは今まで欲求不満だったのね。


男に抱いて貰うと、とたんに素直になるのね」と、中傷した。


その時、社員達は騒いでいたが、大人しく成ってしまった。


次にちずるが、「食ったのは私だって言ってたけど、食われたのは神崎さんでしょ。


夜はベッドでニャーニャー、鳴いてるのねきっと」と、やはり中傷した。


見兼ねた古川が、顔を強張らせて、「おいおい言い過ぎだろ」と、咎めた。


すると社長も、「いい加減にしないか。


プライベートはどうあれ、彼女は今自分を反省して、


それを我々に表しているのだから、


それを見守るのが大人だろう」と、やはり女性社員を咎めた。


完全にこの女性達と、男性社員の意見が真っ向から割れてしまった。


すると留美菜は皆なに頭を下げて、「今まで御迷惑をお掛けして、


申し訳有りませんでした。


私は以前の彼氏との間に子供が出来てしまい、


その子供を下ろす事を、彼氏に命じられてから子供を下ろすと、


彼は私から姿を消しました。




その時から私は人間不信に陥り、偏屈な態度を示す様に成りました。


今まで言い寄る男性を避けて来たのもそのせいで、


現在お付き合いをしている彼に、人に素直に成らなければ、


会社の人間関係を悪くする一方で有ると忠告され、


私は気づかされました。


強がり偏屈な態度を表す事で、


自分の弱い心を守って来た事は正直な気持ちです。


古川君や大田君に褒められ時に口説かれても、


理不尽で意固地な態度をして来たのもそのせいです。


また男性に口説かれ、お付き合いをした暁には、


惨い捨てられ方をするのではないかと、恐れて来ました。


でも今こうして自分が素直に成る事で、


私を認めてくれる事に感謝します。


だからこれから、素直に皆に対応して行くので、


見守って下さい」と、陳謝した。


だが芽衣子は、「どうせ彼氏にそう言えと、言われたのでしょ。


食われた女は弱いわね」と、言い放った。


その言葉に堪らなくなり、涙を流し泣きながら、


立ち上がってこの場を跡にした留美菜。


例の三人を抜かし、慌てて留美菜の跡を追いかけた。


留美菜は泣きながら、わき目も振らずに玄関先に向かうと、


丁度他の団体が他の部屋から出て来て、玄関に立って話をしていた。


留美菜は玄関で、一人の男性に体をぶつけてしまった。


丁度そこに留美菜の会社の社員が、駆け付けて来た。


男性は体をぶつけられて驚いて、留美菜を見た。


留美菜も驚いて、その男性を目の当たりにした。


ぶつけた男性は豊であった。


だが留美菜の会社の男性社員は、留美菜の彼氏を知らなので、


この間ここで豊と留美菜が、喧嘩している姿を目の当たりにしていた為に、


焦ってまた喧嘩に成らぬ様、止めに入ろうとした瞬間、


留美菜は豊の胸で、泣いていたのであった。


すると豊は即泣いている原因を察知した様子で、


豊、「おいおい、確かに『心が傷ついたら、俺の胸で泣けばいい』とは言ったが、


こんな公の場で、泣き付かれるとは思いもしなかったな」と、弱ってしまった。


すると、留美菜を慰め下駄箱から、留美菜の靴を出して履かせると、


下駄箱に掛けて有った靴べらで、留美菜の踵を靴べらで宛がって靴を押し込むと、


見ていた自分の職場の同僚と、留美菜の会社の同僚達に頭を下げて、


豊、「申し訳ない、確かにこの間こいつに、『俺は別として、


人に素直に成らなければ、会社の人間関係を悪くする一方だ』と、告げました。


その事でトラブっているのだと思いますが、


何分過敏で辛い過去を背負っていまして、


過去に子供を下ろした事のショックで、少し精神障害もありまして、


今までこいつが会社で男性社員に、偏屈な態度を見せたのも、


男性不振に陥っていて、尚且つ人間不信に陥っていた事も絡んでいます。


多分その事をこの場で打ち明けたと思いますが、


僕は彼女の過去を癒し、彼女に何を言われ様ともずっと見守るつもりです。


徐々に平常心に成る様、慣らして行きますので、


見守って上げて下さい」と、また頭を下げて留美菜の肩を抱いて、


この場から連れ去って行ったのである。


ここに居た社員がその事で、分が悪くなるのは言うまでも無かった。




留美菜は泣疲れて、豊の部屋で床に座って俯いていた。


隣に座っていた豊が、「しょうがないな、最初はそう成ると言って置いたが、


まさかあの割烹料理屋で、事が起きるとは思わなかった」と、肩を落とした。


留美菜、「でも嬉しかった。


男達は私が素直に成ったら、優しく扱ってくれたし、


社長も私の事を庇ってくれたし」と、呟いた。


それを聞いた豊は、「辛い思いをした反面、成果はあったか」と、納得していた。


だが留美菜は、「でもあの女ども、殺して遣りたくなった」と、恨んだ。


豊、「お前が今まで、強がって来たリスクだよ。


遣ればやり返される、遣られればやり返すの繰り返しで来れば、


いつかその塊と成って、自分に襲い掛かってくる。


戦争も同じ事だ。


日本がアメリカに、こてんぱんに遣られればその40後には、


経済でこてんぱんにアメリカに遣り返す。


アメリカは仕方なく自分の土地を誘致して、


日本に広大な土地を譲り、工場を作らせアメリカ人をそこで働かせた。


アメリカ人の賃金が上がると、今度は人件費が安い中国に工場を作り、


日本人は中国人を安い賃金でこき使うと、今度は中国人が伸して来て、


日本の領土を我が物にしようと脅かす。


解るかこの理屈が。


最初から素直に人と接すれば、


今泣かなくても済むと言う事が」と、忠告すると、


留美菜は、「人の事が言える立場なの」と、怒った。


豊、「言えないよ、咎めた訳じゃない。


俺はお前と同じだから例えた訳だ。


あの割烹料理屋で、誰に泣かされたか解ていた。


俺は最初から、お前と性格が違うと認めていたのならば、


お前を泣かした女を、俺はあの場で咎めた。


だが俺もつい最近までお前と同じ性格で、


その姿をお前の働いている、会社の社員に晒した事が有るから、


強く出られなかったんだよ」と、告げると、


留美菜は自分の愚かな所を実感したと同時に、


あの時、丁度豊が居てくれた事が嬉しく感じたのであった。


愛した男性にその場で庇って貰った事が、


何よりも嬉しかった留美菜であった。


卑怯な元彼とは違い、嘘を付かない豊が無性に恋しく成った。


すると留美菜は、「愛してるよ私も豊の事を、


私が意地っ張ったら、こてんぱんにDVしてくれてもいい。


私はもう豊の事しか、言う事を聞かなく成っていると思うから。


豊が好む女に変えてくれてもいいの。


私はあなたに付いて行くしか、もう明るい兆しが無いの。


ごめんなさい、こんなめんどくさい女を扱ってくれて」と、一滴頬から涙が伝った。


豊はその時、「それは違うな。


『こんなめんどくさい』と、言ったが、俺の亡くした妻から言わせれば、


俺もかなりめんどくさい、男だと思っただろう。


職場の連中もそう思ったと思う。


俺はお前見ると堪らないんだ。


一緒に直して行かないか、意地っ張るより素直な方が、


悔しい時も有るが、一人ぼっちには成らないはずだ。


それに今日、お前も体験しただろ。


素直で有れば、皆なが慕ってくれる事を。


一部、馬鹿にする奴も居るが、それも受け入れて、


初めて本当の幸せを知ると思うから」と、悟ると、


留美菜は初めて、人の器と言う理屈が実感出来たのであった。


すると留美菜は、「今日から私は夜ベッドで、抱いて貰いたい時は、


素直にエッチしたいと言うね」と、答えると、


豊は、「余分で有る事は重々承知で言うが、


言葉を変えて『スポーツしたい』と、言う表現は、エッチしたいと言うよりも、


かなり直球で言っていると思うが」と、首を傾げた。


留美菜はエッチをしたい表現を、気持ち的に更に高めて表現している事に、


気づいていなかったのである。


その辺りが単純で有ると表現したかった、豊なのだった。


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