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ラムネット  作者: ラムネ
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23話 落花情あれども流水意なし

落花らっか情あれども流水意なし


男女の一方に慕う気持ちがあっても、他方にその情が通じないということ。

【23話 落花情あれども流水意なし】


「絶対お前ら、ズルイっって!!」


 友人の浅葉あさばが食堂で昼食中のりゅうしゅんに声をかけた。

 浅葉は夏らしく短髪で細身のメガネをかけ、ジトリと二人を見た。


「は? 何だよ、浅葉いきなり」

「最近同中の女子がやたらと絡んでくると思ったら「扇くんに彼女いるって本当?」って聞いてくるんだぜ? 俺は込み上げる怒りを押さえつけながら「どっちの?」って聞いたら「どっちも!」とか言われる始末だ。分かるか? 俺はお前らと仲が良いというだけで、女たちの情報収集係にさせられてるんだぞ! なのにお前らときたらのん気に定食を食べてやがる! 俺のこのやり場のない憤りが分かるか?」

「全然」


 柳が目線も合わせず答える。浅葉はがくっとイスに座り込み自前の弁当を乱暴に置く。


「浅葉君はその女の子が好きだったわけだ?」

「おい隼、そいつぁ言っちゃあいかんだろ。俺のハートをこれ以上傷つけるつもりか?」

「どーでもいーけど、何で俺らがズルイんだよ」


 浅葉と一緒に来て、学食を買いに行っていた向井がトレーを持ってテーブルに合流する。座りながら「二人がモテるからでしょ」と笑いながら言う。

 向井は浅葉とは対照的で長い髪を後ろにまとめ、暑さを凌いでいた。


「それだけじゃない! 見た目がよくて、スポーツもできる、家は金持ちだし、頭もいい! 今回のテストだってこいつ1位だぞ! 向井知ってたか?」

「へーそれは、ほんとにすごいな」


 柳と浅葉は同じクラスだが、隼と向井は隣のクラスだった。朝の朝礼時に前回のテストの結果をもらったので浅葉は柳の結果を知っていた。


「よかったね、家庭教師免除だ。僕はまた2位だったよ。残念」

「こういうとこ! お前らのこういうとこ! さらりと2位を残念がるな! 隼は真面目に勉強してそうだけど、柳なんかボケーっと授業聞いてるだけで、塾もカテキョもなくて、それで1位とか! 俺なんか毎日塾通いだってーのに・・・」

「男の嫉妬は醜いぞ、浅葉」


 向井の言葉にムッとしながら、浅葉は弁当を開きハァとため息をつく。


「水泳の授業とかさ、無駄にいい体してるからそれを見せ付けられるたび、俺は悲しい気分になる」

「気持ち悪いこというなよ」

「部活もやってないくせに、何でそんな体になるんだよ」


 浅葉の言葉に不思議そうに向井が言う。


「え、柳やってないの? いつも隼と部活巡業してるのかと思った」

「何だ、部活巡業って?」

「そうか、浅葉は隼の情報があまり入ってこないんだな。隼って、日替わり部活やってんの。剣道・柔道・弓道・テニス・・・あと何だっけ?」

「書道部と茶道部も行ってるよ」 

「ま・・・マジかよ! 何でそんな・・・日替わりって、定食じゃないんだから!」

「アハハ、浅葉君って面白いね。体動かしたりしたいけど朝練とか試合とかそんな本格的にはやりたくないから日替わりなんだ。本当は空手が一番好きなんだけど、うちには無かったからね。たまに柳は付き合ってくれてるけど、部活には入ってないよ」

「・・・ポカーンだな。広く浅くってやつか」

「浅くないよ、隼のやつ全部先輩顔負け。書道と茶道は先生もポカーンらしいぞ。」


 向井の説明に、浅葉はポカーンと口を開けて信じられないといった顔で隼を見た。


「生きてるの嫌になってきたな・・・」

「浅葉、お前さ、隼も柳も努力してないと思ってる訳? 柳のことはよく知らないが、少なくても隼はハッキリ言って俺には無理なくらい、ストイックで努力家だと思うけど。まあ、それと容姿と才能は別問題だと思うけどな」

「ううううう・・・」


 浅葉は恨めしそうな顔で弁当をつついていた。柳は食事を終え、トレーを返しに席を立った。それを見計らって向井は隼に聞いた。


「ほんとの所はどうなの? 例の噂」

「噂って、なんだっけ?」

「ほら、少し前に駅で柳と彼女がデートしてたっていう・・・」

「ああ、あの時の・・・彼女じゃないよ」

「本当にっ!?」


 後ろから急に複数の声があがり、隼たちはビックリした。浅葉は思わず箸から卵焼きをポロリと落とした。

 どうやら、盗み聞きしていた柳のことを気にしている女たちだった。彼女たちは柳のデートの話を聞き、ひどく落胆していたが親友である隼が「彼女じゃない」と断言したのでつい嬉しくて声をあげてしまった。


「だから言ったのよ、早とちりだって。彼女って決めつけるなんてバカよ」

「真奈美は見てないから、そう言うのよ。私たちはこの目で見たのよ! 腕組んで歩いてたのよ、彼女だって思うじゃない」

「でも、扇くんが違うって言うんだから・・・」


 すっかり興奮して論議する彼女たちを止めようとは、男達には思わなかった。意見を求められて隼は、困ったように答える。


「がっかりさせて悪いけど、柳の方想いなんだ」

「かっ・・・」


 持ち上げて一気に叩きのめされた女たちはそれ以上何も言えなかった。浅葉は逆にニヤリと笑い急に生き生きとした顔つきになった。


「なんだ、スーパーオレ様・柳様にも弱点があったか!! どんな子!?」

「そうだな・・・写メ見る?」

「見るっ!!」


 浅葉と向井はもちろん、がっくり肩を落とした女達も急に目の色を変えて、身を乗り出してきた。まったく相手にされなかった自分たちだったが、その子が自分たちより劣っていれば十分、まだチャンスがあると思ったからだ。

 あまりの食いつきに、少し驚きながら、先日ルイから貰った美玖みくの携帯にある写真を皆に向けて見せる。

 大きな帽子のツバを片手で掴み、カメラ目線の人物はお嬢様という言葉が似合う美少女だった。

 帰ってきた柳が、人だかりに気付き携帯を取り上げるわずか10秒程だったが、皆に与えた印象は強烈だった。


「お前っ! 何であいつの写真なんか持ってるんだよ! 消去だっ!」

「わっ! 本当に消したっ・・・まだ月桂げっけいに見せてないのに・・・」

「どうして月桂さんに見せる必要があるんだっ! バカかお前っ!」

「・・・そんなに独り占めしたいわけ?」


 隼はニコリと意地の悪い笑みを見せた。柳はハッとして、口を閉じ目線を外す。

 照れたような柳の仕草を初めてみる女たちは思わずきゅんと胸を高鳴らせた。同時にさっき写真で見た可憐な少女を思い出しがっかりと肩を落とす。あの美少女にかなうとは思えなかったからだ。


「いやはや、すげー可愛い・・・これは柳様でも振られるかもな・・・」


 ニヤニヤしながら浅葉が柳の肩をポンと叩く。柳はあからさまに嫌そうな顔をする。


「うはははは。ところで月桂さんって誰? 恋のライバルか?」

「浅葉くん、鋭いね。写メの子は、月桂に好意をよせてると思うんだ」

「マジ!? 三角関係か。やるなー・・・相手はイケメンか?」


 成り行きを見守っていた向井も、興味深い話に思わず口を挟む。柳はその場から離れたかったが隼が余計な事を話しそうでなかなか離れることが出来なかった。


「イケメンってイメージじゃないけど、いい男だよ。長身で男らしいって感じかな」

「もしかして年上?」

「年上。強面こわもてなんだけど、料理がすごく上手なんだ」

「おお、相手も強敵なのか。ってか隼、詳しいんだな」

「だって僕の・・・執事だから」


 周りが驚くのを楽しむように隼は話す。いつもは「執事」なんていう言葉は使わないが、使用人やお手伝いさんというより皆の食い付きがいいだろうという彼なりのサービス精神だった。

 柳はそんな隼の性格を熟知していたが、それでも月桂と執事のイメージが違いすぎて思わず笑いそうになった。

 女たちは嬉しそうに騒ぐが、一際驚きオーバーアクションした浅葉が隼に言う。


「おいおい、執事なんているのかよ! どんだけセレブなんだ! 執事喫茶とかじゃなくて?」

「アハハ、そんなのあるの? 普通の使用人だって」

「いやいや普通使用人なんていないから! って突っ込みは置いといて、執事かぁ~柳様も大変ですな」

「お前、殴るぞ・・・」


 いい加減、人だかりに自分達のプライベートを聞かれるのは辟易へきえきとしていたので、隼の腕をとると強引に歩き出した。もとはと言えば浅葉が下らないことを言い始めたからだと思い、浅葉に向かって「片付けておけよ」と言い残すと柳はさっさと出口に向かった。

 浅葉は「はいはい柳様」と大げさに手を振った。




「隼、おまえ・・・余計な事言うなよ」

「ごめん、つい皆の反応が楽しくって。柳って人気者だね」


 柳は軽くため息をつく。分かっていた。隼は聞かれたから答えた、求められたから写真も見せた。それを柳が嫌がることを分かっていてわざとそのように振る舞う。

 まるで、月桂をからかうすばるにそっくりだった。


「性格悪いぞ、隼」

「何を今さら。でも、僕は純粋に柳の見方だよ」

「何だよ・・・」


 ニコリと隼はほほ笑む。また何か考えてるのかと柳はギクリとする。


「今度のオペラ楽しみだね。美玖ちゃんどんな格好してくるかな? ルイねえが張り切ってた」

「・・・別に・・・」

「今度はちゃんと褒めてあげなよ?」

「はぁ?」

「せっかくのデートなんだから、家みたいな対応しないでよ?」

「・・・分かってるって」

「本当に? 柳ってどうも不器用なんだよね~」


 おし黙る柳を横目に隼はくつくつと笑う。女嫌いの柳が美玖に対しては過剰な心配と情感を寄せてはいるが、一線引いてるのは分かっていた。隼は余計なお世話と思われようが、干渉し彼の手助けをするのを信条としている。




 オペラ観劇の当日、ルイと美玖はじゅりあのアトリエに向かった。今日の観劇用衣装を前のように借りようと思ったからだ。月桂が運よく朝から出かけていたので、想定していた送迎の断りをせずに済んでルイはホッとしていた。

 アトリエに着くと、じゅりあは「いいから乗りな」と、有無を言わさず二人を車に乗せレトロな雰囲気を持った洋館に連れて行った。事前に知らせていたが、ルイは少し不安になった。


「あの、じゅりあさん、服借りに来ただけなんですけど?」

「うちのアトリエより、こっちの方が美玖ちゃんには合うのよ」

「え・・・と、どこですか、ここ?」

「いいから来な」


 ルイは入口に【Alice et bijou】の看板を見つけてギョッとする。通称【アリス】のファッションブランドでロリータ服の業界では有名なところで、じゅりあの以前働いていたところだ。

 専用のスタジオとアトリエに洋館を購入したと聞いた事があるが、目の前の建物は年代物でかなり高級な様相を呈している。こんな建物を購入するアリスの財力と社長の徹底振りは相当なものだとルイは内心たじろぐ。隣の美玖も緊張しているのが分かる。


「じゅりあです。先生、いい子連れてきました」


 建物に入ると、数人のスタッフと「先生」と呼ばれた50代前半の白髪の男がイスに座っていた。どこか重々しい雰囲気の中、じゅりあの威勢のよい声が静かに響く。


「先生って、アリスの社長?」

「そうよ。久我くが様こと、久我実周くがさねちか先生よ」


 アリスの熱狂的ファンは、社長でデザイナーの久我を崇拝し久我様と呼んでいる。逸話は知っていたが、実際に見るのは初めてだったルイは頭がくらくらとしてきた。

 そんなルイなど目にも留めず、久我はじゅりあが引きよせた少女の近くに歩み寄る。


「おい、笑ってみろ」


 しゃがれた声で久我が言う。じっと美玖の顔を見る目つきは容赦がなく、美玖は思わず目線を外し困った顔をする。


「こっちを向け。おい、なんで包帯なんて巻いてる」


 久我は片手で美玖の顎に手をつけると、ぐいと自分の方に向ける。久我の見据えるような目のせいで美玖は抵抗できなかった。


「ケガを・・・して」

「モデルのくせに、商売道具の体を大事にできんとはな」

「あの・・・モデルじゃありません」

「だろうな、こんな気の弱そうなやつモデルにゃ向いてない。どっちでもいい、撮影の準備始めるぞ。河野、こいつにカメオローズの新作着せて来い」


 スタッフ達はホッとした顔で、撮影の準備を忙しそうに始めた。女のスタッフが立ちすくむ美玖をどこかに連れ去るのを茫然とルイは見ていた。


「あの・・・じゅりあさん?」

「大丈夫、ちょっと美玖ちゃんをモデルに借りるだけ。いいでしょ? アリスの新作貰えるの、ラッキー」

「いや・・・その・・・そうですけど・・・何で急に・・・」


 今一つ状況を理解できないルイに、見慣れたカメラマンのヒロの姿が近づく。


「助かったで、ほんま。じゅりあさんがあの子連れてきてくれなんだら、撮影ダメなるとこやったで」

「ヒロさん、アリスでも仕事してるんだ」

「おう、ここの先生まじで気難しい人やろ? 俺みたいに実直ではいはいゆーこと聞くやつやないと務まらへんねん。今日かて、他のモデルさん気に入らんゆうて、りん以外追い出したんやで。流石に一人じゃ撮影できんし、美玖ちゃん連れてきてもらって助かったわ」


 ルイはスタジオの真ん中ですでに衣装に着替えスタンバイしている凛に気が付く。凛は美玖より少し年上で、雑誌でもよく見かける売れっ子モデルだった。さすがに有名ブランドだけあって、モデルも有名どころだな、とルイは感心した。


「追い出した? なんでまた」

「よくあることなんやって。さっき見てたやろ? 笑ってみろって言われて女の子たちがニコって笑うと「作り笑いか、つまらんな」とかゆうて、追い出される」

「は? え? それだけ?」

「そんだけや。あと、ハキハキ元気よく挨拶しただけで「イメージが違う」って帰された子もおる。俺にもよう分からん」


 気難しい・変わり者という噂は聞いていたが、実際目の当たりにするとどこか狂気に満ちた恐ろしさを感じルイは思わず、じゅりあに泣きつく。


「じゅりさん、美玖ちゃんって・・・その、気が小さいっていうか恐がりっていうか・・・本職でもないし、ただ可愛いだけっていうか・・・たぶん無理ですよ、こんなこと」

「私はね、先生の好みの子が何となく分かる。両極端な子が好きなの、いくら顔が良くてスタイルが良くても個性的じゃない子は嫌いなの。モデルの子って、みんな自分大好きで自信満々の子が多いでしょ? だからたまに美玖ちゃんみたいなど素人が来ると新鮮に感じるものなの」

「うーーーーーん、でもぉ・・・」

「この前、うちで撮影した写真すごくいい出来だった。何て言うか、普通の子と違うわね。どこか寂しそうで退廃的な感じで、守ってあげたいオーラがある、世間知らずっぽいし」

「それは分かります。周りの男どもは皆美玖ちゃんに夢中よ」

「凛がドSの女王様タイプで、美玖ちゃんがドMのお姫様タイプ。モデルの相性も良さそうじゃない。それに先生も、ああいう子は好きだと思う。処女でしょ?」

「なっ・・・なん・・・何てこと聞くんですかー!?」

「ま、上手く行かなかったらさっさと帰るだけだ。送ってあげるから安心しな」


 そう言われても、もやもやしっぱなしだったが、美玖が着替えてヘアアレンジとメイクを整えて来たのをみるとルイの心臓はとび跳ねた。

 襟ぐりにあしらった繊細なケミカルレースと宝石のように輝く緋色のボタンがエレガントなカメオローズのレースワンピース。手には上品なレースの手袋。小道具に渡されたパラソルはワンピースと同じ華やかな花柄で繊細なフリル付だった。

 美しい絹糸のような黒髪を耳より上の位置でまとめ、ツインテールにしていた。ルイはこの髪型があまり好きでは無かったがあまりの可愛さに「アリだな」と生唾を飲み込む。


「美玖ちゃん、すっごく似合う・・・可愛いわ」


 美玖がルイに気が付き不安そうに寄ってきたが、それだけ言うとすぐにスタッフに呼び戻され撮影が開始した。美玖には申し訳ないが「アリス」の服は美玖に似合いすぎていた。ルイにはもう止めることなど出来なかった。


 凛は、美玖より3歳年上で背は165cmあり、威圧的な女王様スタイルが似合う亜麻色のショートボブの女の子だった。凛は比較的黒を基調としたいわゆる【ゴスロリ】の服に身をまとい、どこか挑戦的でセクシーな印象さえあった。

 逆に美玖は白や花柄と言ったお嬢様テイスト【甘ロリ】の服が多く背も140cm程なので凛と並ぶと別世界の二人のようで印象的だった。

 久我は気に入ったようで、二人の絡みのシーンをよく撮ることになった。久我は凛のことを「黒」美玖のことを「白」と分かりやすく呼んでいた。


「黒、白をさげすむように見ろ。手を顎に当てて・・・そう。白は表情が今一だな。黒、何か上から目線で白に言ってみろ」

「あなたみたいな素人と一緒に仕事するの迷惑。表情やポーズ作るのに時間かかりすぎ」


 ポツリと、美玖にしか聞こえない小さな声で凛は言う。キレイな凛の顔が間近にあり、向けられた冷やかな言葉に美玖は悲しそうに目線を外す。そんな物憂げな表情が気に入ったのか久我は満足そうに頷く。

 それに気付いた、プロの凛は美玖に向かいポツリと言葉を漏らす。


「自分のこと、可愛いと思ってるでしょうけど、あなた程度この世界ではゴロゴロいるわ。遊び半分でここにいるならさっさと帰ってくれる?」

「あの・・・私・・・」

「黒、白の上に馬乗りになって、首に手をかけろ。白はそのまま、黒から目線を外すなよ」


 凛は久我の命令通り、美玖を押し倒し馬乗りになると白く細い首に手をかける。真っ赤な唇で微笑し目にはうっすら涙がたまっていた。美玖は撮影と分かっても恐怖で固まりただ、じっと凛を見ていた。


「よし、次の衣装行くぞ」


 久我が言うと、何事も無かったかのように凛は立ち上がりすぐさま衣装替えを始めた。呆気にとられた美玖もスタッフにうながされ衣装替えをした。


「生の凛って初めてみたけど、なんかすごい子ね。プロだわ」


 思わずルイは口に出す。生々しい凛と美玖の絡みに最初は驚いたがどれも美しく神秘的だったので見ていて飽きがこなかった。衣装替えの度に小道具や髪型もいろいろ変化するので、新しい美玖を発見できルイは夢中になった。


 時間も忘れる程に。





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