ステルス幼女は見た!〜4歳の冬〜
こんにちわ!
私はプリム・ユロー、4歳です。
ユロー伯爵家の長女です。
私の家族は、お父様とお母様と0歳の弟です。
そうです。
夏に弟が生まれたのです!
名前はアルロス。
小さい私よりも、もっと小さかったです。
ほっぺがプニプニしていました。
私がアルロスのほっぺを突いていると、お父様が私のほっぺを突いてきます。
邪魔しないで欲しいのです。
私とアルロスが一緒にいると、お父様の顔が崩れます。
デレーってなります。
かっこいいお父様が台無しです。
残念なお父様です。
お母様も、お父様は残念なのって言っていました。
爺やと婆やも、旦那様は残念ですって言ってました。
お父様の残念なところは、これだけではありません。
お母様に怒られて部屋を追い出されたり、お風呂の前でウロウロ待っていたり、すぐお母様にくっ付きたがります。
侍女さんたちは、お父様のことを立派でかっこいいと言っていますが、どこがかっこいいいのかわかりません。
私はお母様に似て、良かったと思います。
アルロスはお父様のように残念にならないよう、私がしっかり教育します。
夜。
お昼寝のしすぎで、目が覚めました。
いつものように冒険をしようと思います。
こっそり扉を開けて、廊下を見ます。
見回りの人はいませんでした。
今です!
足音を立てないように、ゆっくり歩きます。
真っ暗だけど、私にはいつものようにはっきり見えます。
なぜかは、わかりません。
夜の冒険は内緒なので、誰にも聞いたことがありません。
まだまだ知らないことやわからないことが、いっぱいあります。
もっと大きくなれば、わかると思います。
そんな気がします。
『……て、……よ。』
『……だ。』
人の声です。
この声は、たぶん侍女さんと侍従さんです。
何をしているのでしょう?
こっそり覗いてみましょう。
『この茶葉だな。』
『ええ、奥様の好まれているものよ。』
『ふんっ。これが報酬だ。』
『これであの宝石が買えるわ。』
『女はどいつも同じだな。』
あの侍女さんは、ちょっと前に彼氏に振られたって言ってた人。
侍従さんの方は、ちょっと前にお屋敷に来た人。
これは、悪いことですね!
きっとお母様のお茶に、何かするつもりでしょう。
許せません。
あの二人は出て行ったみたいです。
今のうちに、お茶の葉っぱを隠しましょう。
そして明日爺やに渡すのです。
私は椅子と台を使って、お茶の葉っぱが入っている缶を取りました。
途中、落ちそうになって、ヒヤッとしましたが、成功です!
缶は、私が借りて行きます。
私は椅子と台を戻して、部屋に戻り、ベッドで朝まで寝ました。
次の日の朝、こっそり爺やに缶を渡し、昨日の話を伝えました。
その時の爺やは、すごくいい笑顔でした。
その後どうなったのかは、私は知りません。
ただ、あの侍女さんも侍従さんも、あれから一度も見かけなくなりました。
たぶん爺やが、何とかしてくれたのでしょう。




