intermission ──斑多市警察署 生活安全課 魔物対策係
──関東・某県、斑多市警察署。
取り調べ室からひとりの女性が出てきた。
歳の頃ならおそらく30代後半、髪をひっつめ凛とした表情が印象的な、美人というよりハンサムといった方がよさそうな女性だった。
取り調べ室の前には署長ほか数名の警官が、女性に深々と頭を下げる。
「いやいやご苦労様でした、まさか本庁の方が直々に聴取に来てくださるとは…」
「いえ、こちらこそお忙しいところ無理言って急に押しかけて来てしまって申し訳ございませんでした。実は、取り調べの結果あらためて署長にご相談したいことが…」
女性は、署長に丁寧に頭を下げる。
突然やってきた本庁の人間に警戒心を持っていた署長であったが、来署の挨拶から本庁の人間とは思えないほどの低姿勢な態度に、逆に署長は恐縮してしまっていた。
「いやーなんでもおっしゃって下さい!協力させていただきますので!」
「ありがとうございます署長。では…」
── 警察署内・生活安全課 魔物対策係の部屋を、先ほどの本庁の女性がノックする。
「はーい、どうぞ〜」
「失礼します。警視庁捜査一課有害生物対策係・江楠賀リナです。」
「ああー、これはどうもどうも!係長の宝葉と申します!よろしくお願いします」
係長の宝葉ほか、班多署“マタイ”係のメンバーは一斉に起立し挨拶する。
「早速で大変恐縮ですが…“今回の一連の騒動”のこと、再度詳しくお聞きしたいのですが」
江楠は挨拶も早々に、自身が調査中の件について質問をはじめる。
「あ、報告書の方は江楠賀警部補がいらっしゃると聞いて、まとめておきました。じゃ郡宮、警部補に報告書とご説明を」
マタイの中でも一番若そうな男性が江楠賀の前に歩み出る。
「郡宮です。よろしくお願いします。ではあちらの方に…」
わりかし端正な顔立ちだが少し頼りなさそうな男子に、江楠賀は笑顔で返す。
「よろしくお願いします!」
江楠賀を別室に案内し報告書を手渡すと、同様の報告書を自身のタブレット端末で開き説明をはじめる郡宮。
「まず最初に発生したのが班多市団上町の鉄野津というお宅の…」




