14:ライセヨ
「なるほど……面白いことを言うんだな君は。じゃあ、試しに――――これを使ってみるかい? 君、左利きだろ?」
俺がそう言って亜空間から取り出したのは、『Crown』の刻印が入ったあの魔法筆。
最近では使わなくなったが、彼らが持っている魔法筆よりも遥かに出来がいいと自負している。
「あの~~先生。……この魔法筆って本当に使えるのでしょうか? 何と言いますか……禍々しいオーラを纏っているように見えるのですが」
「そうか? 久々に出すからな、ちょっと試してみるか」
アイナが受け取らなかったその魔法筆を左手に握り――――試す。
「ライセヨバジリスク」
青白い稲妻で形作られ、現れたのはバジリスク。
「誰かこいつと戦ってみるか――――??」
そう言って振り返ると、生徒たちは物陰にすでに隠れていた……。
大した魔法は使っていないはずだが……。とはいえ、学校を破壊するわけにもいかない。
しょうがなく、右手をパチンとならして解除するのだった。
彼らは物陰に隠れたまま――――。生徒会長が俺に聞く。
「先生は……今度交流戦をする学校からの刺客ではないのですよね?!」
「ったく、何を言ってるんだか。とりあえず、アイナはまた明日にするとして。みんなの魔法筆を一度見せてくれないか?」
それぞれの魔法筆と得意な魔法をメモし……一日目の放課後は幕を閉じた。
~~
日が沈み――。宿屋に帰り着くと、受付けの近くのテーブルで教科書を開きリリィが勉強している最中だった。
「ただいま~~」
「お疲れ様なのです!」
「リリィも勉強とは偉いな」
「あれは単なる時間つぶしなのですっ」
まんざらでもない様子のリリィを見るのは、なんとも言えない充足感がある。
「明日からはリリィも学校だからな、今日は美味しいものでも食べに行こうか」
「はいっ!!」
彼女の見せた笑顔に、今日も癒される俺なのだ。