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12:交流戦の課題

 今日の放課後から高等部の指導に参加する俺は……学園内の喫茶店で、ただただその時間が来るまで過ごしていた。

 その間にもリリィは制服の採寸やらで、出入りを繰り返していたが回数を重ねるうちに心なしか楽しそうに見える。


 制服や教科書の入った袋を抱え、戻って来たリリィが魔法筆ペンデュラム・ウィッチで呼び出した亜空間にしまいながら言う。


「リリィは明日から早起きさんになるので、お師匠も夜ふかししないようになのです」

「りょーかい。放課後はリリィも見ていくか?」

「リリィはお子様たちのレベルに合わせないといけないので、先に戻って予習しておくのです」

「……そっか。晩飯の時間までには俺も戻るようにするよ」


 しばしの間、リリィと共に過ごす時間が減ることにどこか歯がゆさを感じている時だった。


「アイル先生――ッ。あ、いた。アイル先生探しましたよ、全然来ないから帰ったかと思いましたよ」


 朝会った生徒会長は額に少し汗を浮かべ、息が少しあがっている。

 時計は十六時を少しばかり過ぎたぐらいなのに、この様子とは……。


「じゃあ、リリィ。俺もたまには期待に応えてくるよ……」


 そう言って、席をあとにする俺にリリィが――。


「……お師匠はいつも期待以上なのです」


 そう言った。ならば俺も――――。


「……リリィのおかげだ」


 軽く振り向き、そう言い返すのだった。


~~


 交流戦に参加するのは、高等部の三年生三人に二年生と一年生が一人ずつの計五名。

 交流戦は三日間行われ、初日と二日目が学校の所有する森での魔獣捕獲――。

 最終日の三日目が三本先取の摸擬戦となるらしい。


 交流戦の内容は一旦置いとくとして、俺はまず確認しないといけない事がある。


「……この中で、羊皮紙なしで魔法を発動できるのは? ……なしか」


 そんな中……生徒会長が口を開いた。


「アイル先生――――お言葉ですが、わが校では五年以上……羊皮紙なしで魔法筆を使える生徒は出ていません。ですが、それでも勝つことは出来ました」

「うんうん。別に羊皮紙なしじゃなきゃ……ダメだということではないんだ。ただ、初日と二日目が雨だった場合……どうするんだ? 森の中よりも危険な洞窟にでも入るのか? それとも三日目だけ勝てば充分なのか?」

「それは……」


 期待に目を輝かせていた彼らは一瞬にして暗くなった。


「はぁ……。そういうところはユリナそっくりなんだな。俺は魔法筆職人のアイル・クラウンだぞ! 羊皮紙なしでも魔法が発動できる魔法筆を作れだの、洞窟でも魔獣を捕獲できる方法を教えろだろ言ったって良いじゃないか。君たちは学生だろ?!」


「じゃあ先生……」


「どっちともやってストレート勝ちしようぜ!」


 うおおおおおおお!! 


 ――――と湧き上がる学生のノリは嫌いじゃない……なんせ。

 実際のところ、そんな勢いなしには達成できるような内容ではないのだから。

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