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烙印の子  作者: あねむん
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[EP1-2] 国と種族

アリア邸の一角にある一室。

かつては来客を迎える広い部屋が、今では子どもたちのための臨時教室として使われている。


レイヴンは机を並べる子どもたちの後方に腰掛けていた。

彼自身もまた、そこに座る一人の“生徒”である。


「おはようございます、レイヴン様!」

子どもたちが元気に声を揃える。レイヴンは軽く手を上げ穏やかな表情で応えた。


「領主様がいると緊張するんだよなあ……」

そんなことを小声で呟く少年もいたが、どこか誇らしげに笑みを浮かべていた。


アリアの教育はまだ十分に整っているとは言えない。

だからこそ、彼はこの教室の開設を許し、自身もたまに“聞き手”として加わるようにしていた。


「静かにー。では今日の授業を始めますよ」


教壇に立つのは、やや年配の女性教師。

もともとは商家の出で、文字と地理に長けていたことから、今では臨時教師として招かれている。


「今日は大陸の国々、それからこの世界に住む種族についてお話しします。地図を開いてください」


壁に掛けられた布地の地図には、三つの大陸が色分けされている。


「まず、私たちヒュム族が暮らすのは《セリアント大陸》。

 この中央大陸には、神都エンデを中心に多くの街が広がっています。

 穏やかな気候と豊かな土地に恵まれ、農業や商業が盛んです。

 そしてエンデには、世界の代表が集まる《世界会合》が開かれています」


「レイヴン様も行くんですか?」

「行くよ。教皇様に呼ばれたからね」

レイヴンがそう答えると、教室に小さなどよめきが広がった。


「さて、そのエンデと並び立つのが、

 グラディス火山地帯に位置する軍事国家・フィレーナ。竜人族の国です。

 彼らは強靭な鱗を有した肉体と火の魔力を備え、武に誇りを持つ戦士の民として知られています」


後方で聞いていたレイヴンは、シレイの顔を思い浮かべた。

あいつは、あの国から逃れてきた男だったな――。


「次は、東方のノルヴァン山岳地帯。そこには翼を持つハーピィ族の国、ウィンダがあります。

 彼女たちは風の流れに敏感で、山の静けさを守りながら暮らしています。

 空を舞うその姿は、まるで風の精霊のようだとも言われています」


「いいなあ……空、飛んでみたい……」


ぽつりと漏れた子どもの声に、小さな笑い声が広がった。講師も微笑みを浮かべながら、話を続ける。


「ウィンダの麓には、クレイアイドル族の国・エルナードがあります。

 小柄で手先の器用な彼らは、道具作りや発明に長け、交易で急速に発展しています」

「じゃあ、アリアはどこにあるの?」


別の子どもが地図を指さす。教師はその場所を確認し、やさしく頷いた。


「ここですよ。セリアント大陸の南端、港町アリア。

 大きくはありませんが、海と交易に恵まれ、人々が穏やかに暮らす美しい街です」


そう言って、教師は子どもの指す場所を優しくなぞる。


「もちろん、世界にはこれ以外にも多くの国や地域が存在しています。

 でも今日は、代表的な国々を紹介するだけにしておきましょう。続きはまた次の授業でね」

「「ありがとうございました~」」


子どもたちは引き続き次の授業に向けた準備に取り掛かるが、レイヴンは教室を後にした。

お昼の会議にはまだ時間があるので少し街を散歩する。

今回はこの世界の国々、種族の説明のシーンとなります。

各国の勢力関係や、まだ登場していない国もありますが、近いうちに紹介できたらと思います。


次回はレイヴンの友人、竜人のシレイとの会話になります。

どうぞ、よろしくお願いします。

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