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烙印の子  作者: あねむん
《第二章》
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[EP.2-3]神の都

エンデの空はアリアのそれとは違っていた。


一点の曇りもない蒼穹。

その中心を貫くように、一本の白銀の塔が天へと伸びている。

地上から見上げてもその頂は雲の彼方――

まるで天と地を繋ぐ神の槍のように、終わりを知らずそびえていた。


その塔の根元に広がる城壁都市――それこそが神都エンデ。

世界の中心にして、すべての秩序を司る聖域。人々の祈りと力が交差する場所。


レイヴンは馬車の窓から身を乗り出し、無言で塔を見つめ言葉を零す。


「屋敷からよく見えていたが、間近で見るとやはり壮大だな。」

――だが、眺めるだけで済んだ頃が、今では懐かしい。


ぽつりとこぼした言葉は、市場のざわめきにすぐさまかき消される。

果物を売る声、鍛冶の金槌の音、行き交う人々の笑い声――

すべてが塔の足元で、まるでそれを讃えるかのように息づいていた。


その隣で立っていたシレイが、陽気に言う


「何度見てもすげぇよな、ここ。……アリアも負けちゃいねぇけどさ。

 ま、俺らはのんびりやってるさ。坊の方が、よっぽど大変だろ?」


会議は白銀の塔の一層目——大広間で行われる。

各国の代表や重要人物以外の低い身分の者は入ることが許されない場所。


「あぁ、伝えておいてくれ。それと……昼間からの酒はやめとけよ?」

「流石にねぇよ…坊は俺のこと、飲んだくれだと思ってるのか?」


レイヴンは肩をすくめて、無言でシレイを見やった。


「違うのか?」


「グァハハ!」と、シレイはけたたましく笑い、肩をすくめてそっぽを向いた。

口は軽いが任せた仕事は決して外さない。あいつなりの気遣いだ。


レイヴンは既に待機している黒馬車へシレイは衛兵仲間の元へ向かった。


御者は礼儀正しく一礼し、馬車の扉を開けて待つ。


「お待ちしておりました、レイヴン様」

「出迎え、ご苦労」


短く応じて乗り込む。

馬車の内部は貴族専用に設えられた静寂の空間。

革張りの座席、揺れを抑える構造、すべてが洗練されている。


ここは、上位層の者――それも限られた者だけに許される乗り物。

だが、レイヴンにとっては馴染み深い空間だった。

……馴染んだというより、逃れられない場所になっていた。


窓の外には石造りの街並みと神殿が流れていく。

馬車が目指すのは、白銀の塔の根元――第一層に設けられた大広間へと向かう。

今回短いですが、次は世界会合となります。

どうぞ、よろしくお願いします。

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