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(仮)男女1:500の逆転世界で一生懸命に生きてみます!!  作者: 自称猫好き
第一章 新しい人生を
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第4話 これからについて考えてみます!!

家族と対面を果たした僕は、検査結果について、看護師の琴葉さんから伺うのだったが、脳に記憶を司る部分が少しばかり人よりも発達しており、生命には問題ないが、人と違う部分があるかもという事だった。

恐らくはパラレルワールドの自分とフュージョンした事による脳への影響だと僕は納得するのだった。



眠りから覚めた後、今日退院する事を聞いていた僕は、朝からいい気分で目覚めることが出来た。


どうせする事もないからと思い、購買にでも行ってみようと思ったのだが……



ヒソヒソ……ヒソヒソ……


「見てあの人!」


「うっそ、イケメン!男じゃん!」


「あんなにもカッコいい男の人って珍しくない?」


「ホントね~、あ!今こっち見た!」


「別にあんたを見てる訳じゃないわよ!

きっと隣の私を見ているのよ!」


などといった声が、各方面から聞こえて来る。

正直見世物にでもなったような気分で、思っているより辛い。


(そうだよなぁ~、元の世界でも大勢から目線を向けられるって結構緊張もすれば怖いとも思うし……)


よくよく考えれば当たり前の事だろう。

もし仮に人が大勢いるような所で、多くの人から目を向けられると、もしかして変な格好でもしているのかと、不安になったり、変な人だと思われてないかな?などと考えては目線が怖くなり、なるべく人目のつかない所に逃げ込むだろう。


仮に今は好意的な目線で見られているとは言え、目線を怖がってしまうのは、現代に生きる者として当然の反応なのだろうと思った。


(まぁ、かといって別に恥ずかしがるような所もないのだけど……)


これは帽子やサングラスなどを買った方が良いなと思いながら、購買に向かって歩みを進めていく。

しばらく商品を眺めていると、前の世界では見たことも無い、変わったグミを見つけたので買う事にする。


(そう!何と言ってもこの俺!こと現僕は、前の世界では愛して止まないお菓子がグミだったのだ!グミこそ嗜好のお菓子であり至高の存在なのだ!)


見たこと無いグミにテンションの上がる、単純な男、葛野 徹だった。

僕がどれくらいグミが好きかと言えば、1人暮らしでお金が無く、食費が1000円も無いような状況でも

食べたことの無いグミを見つけたら、必ず食べるというマイルールから、無い袖を振っては、グミを購入する程だった。


ただのアホである。


ウキウキとした表情で僕はレジまで足を運ぶ。


「これお願いします!」


「ひゃ、ひゃい!

ウルトラ刺激マックスグミが一点で198円になりましゅ!」


昨日母さんから預けられたお小遣いから僕は支払いを済ませる。


「ありがとうございます!」


「あ、こちらこそありがとうございましゅ……はぁ~れぇ……」


その後店員さんが立ちくらみを起こしているようにも見えるが、取り合えず、自分の病室へと急ぐのであった。


病室で朝からグミを頬張っていると琴葉さんがやってきます。


「おはようございます~、葛野さん、体調はいかがですか?」


「もうバッチリです!」


「……それは良かったです!」


僕の満面の笑みに、琴葉さんはうっとりとした様子で答える。


「それにしても、葛野さんはグミがお好きなんですか?」


そう聞かれた僕は、間髪入れずに答える。


「それはもう!大好きです!」


「だ、大好き……だいしゅき……」


「こ、琴葉さん?」


「ああ、すみません、思わずナイススマイルにぐっと来てました」


「は、はぁ……?」


未だにこの反応には慣れないが、笑う門には福来るという。

僕の笑顔で琴葉さんが良い気持ちになれるのなら、安いものだろう。


「そういえば、お母さまからもう少しすれば、迎えに上がると連絡がきていましたよ」


「そうでしたか!それだと、僕の方も準備を進めた方が良さそうですね。」


「何かお手伝いしましょうか!?」


琴葉さんは細く綺麗な腕を捲し上げ、力こぶを作って見せる。


「荷物も少ないので、特には大丈夫ですよ~」


「そうでしたか……」


僕の返事を聞いた琴葉さんは、どことなく寂しそうに答えた。


「琴葉さんには、少しの間ですがお世話になりました!また病院へ赴く際は、宜しくお願いします。」


「いえ、私の方こそありがとうございました!

葛野さんのような素敵な男性に出会えて、この仕事をしていて良かったと心底思えるような二日間でした!」


「そう思って頂けて幸いです」


思わず嬉しい事を言ってくれる琴葉さんに、僕は二コリと微笑みを返す。


「ズキュゥゥゥン!!!」


などと口からスピーカーのような音を上げて、琴葉さんは後ろにのけぞる。


「だ、大丈夫ですか?」


「はぁ……はぁ……だ、大丈夫です……」


何だか酷く体力を消耗しているようだが、僕は敢えて触れないようにした。


そうこう話している内に、母さんと水姫が迎えに来てくれた。


「おはよう、お迎え来てくれてありがとうね」


「いいのよ、とおるの事なんだから、当然よ!」


「おはよう!お兄ちゃん病院は寂しくなかった?」


そんな事をキュルキュルとした目で見つめてくる。

我が妹に対し、僕は思わずギューっとする。


「兄ちゃん水姫がいなくて寂しかったぞぉ~~」


「ひゃぁ!お、お兄ちゃん!?」


「あらあら~」


「じーーーーっ」


何やら琴葉さんから羨ましそうな視線を感じなくもないが、もうこの人は何でもいいやと思った。


「ふへへ、ふへへへへ~」


水姫もあまり人様に見せれる表情では無いが、幸せそうにしているので何よりである。

妹成分を補給した僕と、イケメソな兄にギューされる妹とお互いにWin-Winな構図であった。


「そういえば、琴葉さん、退院手続きって何をすれば良い感じですか?」


退院に関する質問に対して、母さんから返事があった。


「それに関してだけど、とおるの病室に来るまえに、受付の所で済ませておいたわよ~」


「そうなんだ!ありがとう、母さん」


「まぁ~、ふふふ、ありがとうと何度言われても嬉しいわね~」


どうやら既に手続きなどは終わっているようだ。

という事は後はこのまま必要な物を持って、お家へ帰るだけなのだろう。


「とは言え、特に荷物も無いし、このまま撤収かな?」


「そうなるわね~」


「やっと帰れるね!お兄ちゃん!」


(二へへと笑う妹がやはり可愛い……)


とは言え、だとしたらもう一度しっかりと琴葉さんにお礼を言わないといけないなと思った僕は、改めて感謝を口にする。


「改めて、琴葉さん本当にありがとうございました。

目覚めるといきなり病院で不安でしたが、琴葉さんの元気な感じに、正直助かる部分も多かったです。

本当にお世話になりました」


「そ、そんな……グスッ……わ、わだじのほうこぞぉ……ありがどうございまじだぁぁ」


改めてお礼を伝えると、泣きながら美人も台無しな表情で琴葉さんは答えた。

その後母さんが車を止めているという駐車場まで歩いて向かった。

その最中で水姫がふと口を開く。


「看護師さん良い人だったね!」


「あぁ、そうだね、ちょっとお茶目な感じの人だったけど、凄く親切にしてくれたし、良い人だったよ」


僕がそう返すと、母さんも水姫も微笑ましそうな笑顔で返した。

きっと部屋で心を閉ざしていた僕が、看護師さんとは言え、赤の他人に心を開く事が出来たという大きな変化を、喜んでくれているのだ。

そう思うと何だか少し恥ずかしくなって、照れた表情が見えない無いように、僕はそっぽ向く。


「あ、お兄ちゃんが照れてる!可愛い~!」


「あらあら~、そうねぇ~」


その光景を目にした人は、まるで尊い奇跡を見て、生きている事に感謝する程の光景だったのはまた別の話だ。

病院の出口からこぼれる光に向かって、手をつないで歩く僕らの様子は、まるで春のあたたかな日差しが、僕ら家族を優しく包み込むようだった。


その後車についた僕は思わず口が開いたまま呆然とする。


(こ、この車……いくらするんだ??)


そう、何を隠そう目の前の車は、今までの生活では目にかかれないような高級車だったのだ。


「ほ、本当にこれにのるの?」


「そうよ?まだ記憶が曖昧かしら?少しずつ慣れていきましょうね~」


母さんは微笑みながら返す


(か、母さん……どゆことやねん)


前世界の母さんは、平社員で頑張って、僕を育ててくれていたが、この世界の母さんはどうやら、かなり裕福そうだ。


(ま、まぁ……悪いことでは無いか)


内心で納得して、僕は車に乗り込んだ。


「そう言えば母さん、今日はお昼とかどうするー?」


「そうねぇー、せっかくの退院祝いだから、何か贅沢でもしようかしら?」


「もし良かったら何だけど、今までのお礼もかねて、僕がご飯を作ろうかなと思っているのだけど…どうかな?」


「あらあらー、母さん嬉しいわ〜でもとおる、お料理なんて大丈夫かしら?」


「大丈夫だよー!こう見えても、動画とかで少し勉強していたんだ!」


(一人暮らしで貧しく、自炊を頑張っていたとはとても言えないなぁ……)


「みずきもお兄ちゃんの手料理!食べてみたいー!」


ニコニコと水姫が答える。


「お!お兄ちゃんが美味しいご飯、作ってやるぞー!」


「だったらお願いしようかしら〜、楽しみだわ」


少しでも家族に恩返しが出来れば良いなと思う。

それに、母さんに僕のご飯を食べてもらうのは、前の世界からの夢だった。


(もっと顔出してやればよかったなぁ……)


今更後悔しても遅いのだが、そう思わずにはいられない。

よくよく考えたら、大阪から東京に出て、顔を出すのも精々一年に一回程度だった。

だけど、いい年齢になっていた母さんの事を思うと、一年に一回しか会わないのは、平均寿命から考えると、顔を合わせる回数はもう30回も無かったのだろう。

そう思うとゾワリとした。

カウントダウンは実家を出た時から始まっていたのだ……いつまでも側にいてくれると思った家族。

だけど時間というのは残酷で、いつかは死んでしまうのだ。

この世界では、改めて家族を大切にしよう。

何度目かも分からない誓いを、更に深めるのだった。


家に戻った俺は、驚愕した。


「家……デカく無い?」


「そうかしら?」


「お母さんお仕事頑張ってるもんね〜!」


「いや、にしても……」


僕の目の前にあったのは、まるで2つの家を1つにしたような広さと奥行きを誇る、二階建ての家だった。


(団地の温もりはいずこへ……)


前の世界で知っている実家とはあまりにも違ったのだ。


(そう言えばニュースで男性保護家庭の補助金がどうのとか言ってたなぁ〜、そう言うのが大きく影響しているのかな?)


政治体制の違いなのだろう。

それ以外に納得できる理由が無いので、それで納得する事にした。


「た、ただいまぁ〜」


そう口にする僕に、母さんと水姫が同時に答える。


「お帰りなさい、とおる。」


「お帰りなさい!!お兄ちゃん!」


その瞬間、なんだか幸せな思いでいっぱいだった。

記憶で分からなくても、やっぱりここは僕の家で、2人は僕の家族なんだと、この世界に来てから1番深く実感した。


それから、僕は最初に目覚めた12畳程の部屋に戻るのだった。

自分のやりたい事や、夢。

今まで出来なかった事、出来たのにやらなかった事。

それらの全てを忘れないよう、思いつく限り残しておこうと思ったのだ。

僕は部屋の中にあった適当なノートを見繕い、ノートの表面にこの世界に来て最初の文字を綴る。


『これからについて』

第4話もご閲覧頂き、ありがとうございました。

やっと病院を抜け出しましたね….

まだまだ世界の違いに翻弄される主人公が、

こらからどんな夢を叶えて、何を成していくのか

どうか、お楽しみください。

どうか次回もお付き合い頂けると幸いです。

これからも暇を見つけて、投稿を続けますので応援して頂けると幸いです!

また、(・∀・)_b(いいね)★★★★★(高評価)もして頂けるともっと嬉しいです!

ブックマークもして頂けると作者は泣いて喜びます!

どうか温かい目でこの作品を見守って頂ける幸いです。


余談ですが、主人公の前世界のお母さんは、会社の平社員でしたが

実は若い頃、大学で経営学を専攻しており、

自分のアイデアで作った商品やデザインを世に送り出し、

誰かに喜んでもらえるような会社を作るのが夢だったとか…

さてさて、この世界でのお母さんは、どのような道を歩んだのでしょうか….


では、次回もお楽しみ!

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