第3話 検査結果について聞いてみます!!
少し短めです...
病院で仮眠から目覚めた僕は、この世界の家族と出会う事になる。
頭を優しく撫でている母さんの温もりは、前の世界とは変わらず、どこか安心を覚えるのだった。
それから会話を重ねて、以前までの自分が、どのように過ごしていたのかを、何となく察した僕は、改めて家族を大切にしようと思った。
妹も病院に駆けつけ、今まであった家族とのわだかまりが、ほぐれていくような感覚を胸に、幸せを感じていた……
その後しばらく、家族と話していた僕だったが、睡眠から目覚めた事を知った琴葉さんが、僕を呼びに病室へ来るのだった。
「失礼します!葛野さん、残る検査のため、採血と精液検査を行いますが、大丈夫でしょうか?
もし負担であれば、日を分けて検査致しますが……」
「大丈夫ですよ!頭痛で意識を失い倒れたとはいえ基本的に体に問題はなさそうですから」
「それは良かったです。
ご家族の方もいらしているようなので、葛野さんが寝ていらっしゃる間に検査した一部をご報告しようと思うのですが、いかがでしょうか?」
どうやら、既に検査結果がある程度出ているようだ……
これは推測に過ぎないが、恐らく男性が少ない事もあり、検査などは最優先で行なわれたのだろうと思った。
琴葉さんの提案に対して、僕の言葉を待たず、母さんが答えた。
「ぜひお願いします。」
「みずきも知りたい!お兄ちゃんに問題が無ければいいのだけど……」
と、母さんが答えた後に続き、我が推しとなりつつある妹の水姫も答えるのだった。
(というか、妹の水姫は、一人称が名前呼びなのか……何とも可愛いらしいなぁ……一人っ子だった俺の因子に深く刺さるぜ……)
などと一歩踏み込めばロりペド野郎になりかねないような事を考えているのだった。
「僕の方からもお願いします。
大丈夫だとは思っていますが、やはり気になりますから……」
「かしこまりました!ではご報告させて頂きます。
葛野さんの頭部の検査結果ですが、特に異常は見られないとの事で、健康上の問題は何も無いとの事です。
また心電図等にも異常は見られませんでした。」
「それは良かったです!」
そう返事をする俺に対し、琴葉さんは話を続ける。
「ただ……」
「「「ただ?」」」
「脳の大脳辺縁系の部分が一般的な男性よりも大幅に発達しており、悪い事では無いと思われますが、朝方に記憶が不安定だと仰っていた事もあり、退院後もしばらくご自宅で様子見を続けた方が
良さそうだと思います。」
「だ、大脳辺縁系……ですか?」
「はい。一般に記憶や感情を司る部分とされていて、記憶の司令塔と呼ばれる海馬なども含まれております」
「な、成る程……結構ヤバイ感じですか?」
僕は脳みそがおかしくなっているのかと結構ひやひやしながら質問を重ねる。
「いえ、人の脳とはまだまだ未解明な部分も多く、個人差もありますから、そこまで問題では無いと判断しております。
とは言え、記憶の定着や感情的な部分で他の方と少し違いがあるかもしれません。」
「は、はぁ……」
少し不安を覚えるが、別世界の自分と、この世界の自分の記憶や意識がフュージョンしている事から、おかしな所の一つや二つくらいはあるかと一時的に納得することにする。
「看護師さん、結局とおるは大丈夫なのでしょうか?」
「みずきも難しい事は分からないけど……お兄ちゃんは大丈夫なの?」
「100%は無いので、断言は出来ませんが、およそ人よりも少し記憶が良くなったり、感受性が豊かな程度であると考えられています。」
「それなら一先ずは安心ですね。」
僕を含め、僕の事を心配してくれる家族は皆一安心する。
「それに、かの天才物理学者で有名な女性のアインシュタインも一般的な人とは違う脳の発達が見受けられたそうです。ですので、もしかしたら葛野さんは、後世に名を残すような素敵な男性になられるかもしれませんよ!」
そう言って琴葉さんは不安を取り除くように、フォローを入れる。
(というか、この世界ではアインシュタインも女性なのか……何というかイメージがわかないなぁ……)
とは言え、とりあえず問題はなさそうなので、僕は今日のうちに全ての検査を終える事にした。
その後採血や精液検査も順調に進み、その結果は後日病院に赴く事となる。
因みに精液検査とは言えムフフな展開は特になく、寧ろ初対面の人に何かして貰ったりは僕の感情が追いつかないので、大人しく1人で頑張ったのだ。
やはり、葛野 徹は至って純正のチェリーであった……
「本日は全ての検査を受けて頂きありがとうございました。
葛野さんは何か体調に問題はなさそうですか?」
「はい、大丈夫です!
寧ろこちらこそありがとうございます!
検査入院的な感じになったけど、一先ず安心できました。」
「それは良かったです。
それと、ご家族の方も長い時間お付き合い頂きありがとうございます。
本日は念のためこのまま病院でお休みして頂き、また明日退院の手続きに移りたいと考えておりますが、お母さまのご都合は宜しいでしょうか?」
「ええ、丁度明日は日曜日でお仕事もお休みですから問題無いですよ。
琴葉さんもありがとうございます。
検査を受け持って頂いた先生にも、後程感謝を伝えて頂けると幸いです」
「僕からも感謝を伝えて頂けると幸いです。」
「いえいえ、我々もそれがお仕事ですから、寧ろ男性のお母さまと葛野さんからの感謝とあれば、当院所属の方は、諸手を上げて大喜びですよ」
そう言って看護師の琴葉さんはふふっと微笑む。
ファーストコンタクトがお転婆娘だった琴葉さんは、どうやら男性看護師という国家資格を取得しているエリートであり中々頭の良い女性らしい……
(ま、まぁ頭の良さと性格がイコールでは無いわけだし……これも個性だよな……)
内心何とも残念エリートだなと思いつつも、愛嬌があって、寧ろ親しみやすく、この世界で混乱している僕にとっては丁度良かったかもしれないと感じていた。
(明日はいよいよ退院だ……あの広い部屋に戻るのだろうと思うと、どんなお家なのかとワクワクするな~)
などと考えながら、もう一度眠りにつくのだった。
なお、色々と考えすぎた挙句、なかなか眠りにつけない徹であった。
第3話もご覧頂きありがとうございます。
まだ病院かよ!と思われた方もいらっしゃるでしょうが、
いよいよ次は退院してお話を広げて行きます!
どうか次回もお付き合い頂けると幸いです。
これからも暇を見つけて、投稿を続けますので応援して頂けると幸いです!
また、(・∀・)_bや★★★★★もして頂けるともっと嬉しいです!
ブックマークもして頂けると作者は泣いて喜びます!
どうか温かい目でこの作品を見守って頂ける幸いです。
余談ですが、作者は入院した事などは無いため
あまり、病院関連の事は浅知恵なため、
おかしな所も見受けられるかもしれませんが
そういう物だと思って頂ければ幸いです。




