第22話 お国からお偉いさんが来るそうです‼
皆様、大変お久しぶりです。作者の自称猫好きです。
一年近くという間も作品を放置し、皆様の期待を裏切ってしまうような事をしてしまい、大変申し訳ございません。この作品を楽しんでくださっていた読者の皆様に深くお詫び申し上げます。
詳しい経緯については活動報告の方に乗せてありますが、何よりも本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです。m(__)m
男少センターから来た茶封筒を開けると、3枚ほどの重要書類が入っていた。
その内容とは、病院での検査結果や精子を研究利用するための契約書や直接話がしたいといった内容だった。そのまま記されている連絡先に電話した徹は、電話主が国のお偉いさんだった事に驚きつつも翌日の17時から直接自宅に来ていただくようにアポイントを取るのだった。
電話を終えアポイントが取れた徹は、翌日学校から帰宅した後、初めて国の偉い人が来るという事実に少しばかりの不安を覚えながらも、そわそわと緊張した状態でその時を待つのだった。
ピンポーン
時間というのは気が付けば過ぎているもので、時間通りにインターホンがなり、来客の知らせを告げる。
「はーい!少々お待ちください」
インターホンのカメラ越しに見えるのは、いかにも仕事ができますと、生き様に記されているかのような少しばかり年の功を感じる50代程の一人のスーツを着た女性だった。
その姿を確認した徹はすぐに玄関へ向かい、扉を開ける
「こんにちは、わざわざお越し下さりありがとうございます」
一応の礼儀として挨拶は大事だなと思う徹は、お偉い方に合うといった緊張を心に仕舞いつつも丁寧な笑顔で出迎える。
「あっ…アハハ、こんにちは!ご丁寧な対応をありがとうございます。」
笑顔で男性が出迎えるという事自体が珍しいためか、その女性は少し驚いたような表情を見せたものの、すぐに切り替えて自己紹介を始める
「初めまして、改めてのご挨拶にはなりますが、昨日お電話にてお話させていただきました、少子男少化対策の特命担当大臣に任命されております、柏木 鏡花と申します。本日はお時間いただきありがとうございます。」
「いえいえ、こちらこそ宜しくお願いします!立ち話もなんですから、どうぞ中へお入りください」
綺麗に45度な最敬礼を受けた徹は思わずといった様子で、慌てて頭を下げながら答え、そのまま自宅のリビングの方まで案内をする。
「母さん!男性センターの方が来たよ~!」
リビングの扉を開けながら、来客の知らせを母さんに伝える
「あらあら、代わりにお出迎えしてくれてありがとうね。」
母さんは丁度お茶出しを終えた所だった。
そこに柏木さんは先ほどと同じような挨拶を、母さんに向けても行うのだった。
「この度は、お時間をいただきありがとうございます、改めてお母さまにもお話を聞いていただいた上で、今後の葛野 徹様の事で精子提供のお願いについてご説明に参りました。」
「いえいえ、お待ちしておりました。息子の事ですから丁寧にご説明いただける時間を作って下り大変助かります。こちらこそありがとうございます、良かったらどうぞ席にお座り下さい」
「失礼いたします」
そういって僕らは席につき、改めて話を伺う体制を整える
「改めてご説明させていただきます・・・」
そこで柏木さんは、資料を持ち出しながらも、ざっくりと封筒の中に含まれていた契約書に関する事や、徹の体質的な事を説明していくのであったが、およその内容は元々送られてきていた書類通りの内容を分かりやすく嚙み砕いた話が殆どだった。
「以上の事から、国と致しましても徹様の精子提供、またその研究利用について前向きに検討していただけると、喜ばしい事なのですが、いかがでしょうか?」
ざっくりと説明を聞き終えた僕は、一度母さんの方を見て様子を伺うと、母さんは普段家の中では見れないような真剣な表情をしていた。
「少し質問をしてもよろしいでしょうか?」
「勿論大丈夫ですよ、お母さまも徹様も気になる点や不安な事があれば何でもお伺い下さい」
「それではお言葉に甘えますが、これはこの子の母としてしっかりと確認しておきたい事です。お話を聞く限りは普段の献精で得た精子を研究にも活用するとの事ですが、その結果によって徹が何か病院や研究機関に拘束され、理不尽な扱いを受ける可能性はあるのでしょうか?私も一人の女性としてはこの研究に賛成でありますが、この子の身に少しでも危険な事があるようでしたら、母としては、断固許可する事はできません。」
普段、家ではぽやぽやとしている母さんだったが、まるで目の前の小動物を射殺さんとするライオンのように鋭く真剣みを帯びた目つきで質問をする
それに対して柏木さんも少し頬に汗を浮かべながら、真剣かつ丁寧に対応する。
「勿論、そのような徹様自身に危険が及ぶような事は必ず無いとお約束いたします。基本的には説明で申し上げた通りですので、普段の献精で採取された精子の一部を研究機関の方へ持ち込み研究する事に加えより妊娠効果が得られるように遺伝子操作技術による処置を行うために活用させていただきます。可能性として、もしご協力いただけるのであれば一時的に2日程、実験への協力願い等が発生する事があるかもしれませんが、直接薬を投与するといった事ではなく普段の生活を経過観察させていただくような内容になると思われます。本人に直接害の及ぶような事はこの国自体の国益にも大きく関わる所であります。そのため、100%危険は無いと断言させていただきます。」
「そうでしたか、それなら私からは特にありません。後は息子の意志に任せたいと思います」
そういって母さんは僕の方を向く
「そう…ですね。正直話が大きすぎて、僕には何が何やらといった感じではありますが、こんな自分でも何か世の中の役に立てるのであれば、是非積極的に協力させていただきたいと思います。」
(そもそも、俺がこんなパラレルワールドの僕と融合したのにも、きっと何か意味があるのかもしれない…いや、意味なんて無くても、世の中の役に立てるという事が意味を作ってくれる。それはきっと俺もここにいて良いんだと、自分を認めて安心できる、そんなきっかけになるんじゃないだろうか?)
そんなささやかな期待もありつつ、僕は前向きな返事を返すのだった。
「本当ですか!ありがとうございます!」
柏木さんはそう言って座りながらも何度目かのお辞儀を見せる。
「ところで…男性センターって基本的に男性に関する個人情報や男性についての研究資料、行政手続きなど様々な男性の事を取り扱っている施設で間違いないですよね?」
「はい、おおよそはその認識が一般的に認知されているものになりますので、お間違いありませんよ」
「あの、直接今回の事に対しては関係ないのですが、少し相談を聞いていただく事って大丈夫ですか?」
「ぜひぜひ!私がお力になれる範囲でしたら、何でもお答えできますので、どうぞ気兼ねなくお悩みを打ち明けて下さい」
ここまで丁寧に説明をしてくれていた信頼のできる人格かつ、ポジションとしても大臣という大きな立場にいる柏木さんだからこそ、もしかしたら何か力になってくれるかもと思い、僕はとある事を相談する。
それは…
「実は、高校に入ってからできた友達で白石 晴という生徒がいるのですが、その子が今不登校になっているんです。だけど、少ない期間とはいえ男友達として関わっていたから分かります。ハルは何の事情も無く、連絡も無しにいきなり不登校になったりするような子じゃないって事は…だからハルについて男性センターの方で把握している事とかがあれば教えていただけないでしょうか?」
「白石 晴…」
その名前を聞いた柏木さんは僅かに眉を顰め、さっきまでの喜びの表情とは打って変わって、悲しくも怒っているような、それでいて悔やむような複雑な表情を浮かべていた。
それはきっと柏木さん自身が何かを知っているという裏付けでもあった。
「これは非常に機密性の高い個人情報になります。ですが、友人である徹様だからこそお伝えしておきましょう。実は…」
そんな前置きから始まり、俺は知る事となった。
白石 晴という、まだ成人にも満たない15歳の少年が抱える、あまりに残酷すぎる壮絶な過去を…
第22話もご閲覧いただき、ありがとうございます!
色々お話したい事もありますが、実は読者の皆様にお願いがございます!
この度はモチベ維持的(有報酬という夢の無い現実的)な観点から、この作品をカクヨム様の方にもアップする事にいたしました。
そこで、今後はなろう版とカクヨム版といった感じで若干ストーリーを分岐させながらもお話を作っていきたいと考えております。
最終的には、なろう版も頑張って完結させたいとは考えております。
ただカクヨム版の方をブラッシュアッㇷ゚版として、優先的に扱わせていただきたいとも考えております。
そのため読者の皆様にはカクヨム版も応援していただけると、大変励みになりますので、何卒応援の程宜しくお願いいたします(´;ω;`)ウゥゥ
カクヨム版も応援するよ!という心優しい読者の方!
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心よりお願い申しあげます‼m(__)m




