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3 来ました転生

「うぅ……ありゃ?」


 ついマヌケな声を上げてしまう。

 どういうわけか俺は気づけば木の下にいた。


 どっこいせ。

 寝ていても始まらない。

 俺はひとまず起き上がり、周囲を観察してみることにした。


 周囲は黄緑色の草原が広がり、風に吹かれなびいている。

 空は雲ひとつない快晴だ。

 うん、絶好の昼寝日より。

 当然こんな場所来たことないし、見たことない。


 なんだこれ……もしかして夢を見ている? いや、この現実感は本物……ってこのくだりなんかやった気がする!


「あぁ! そーだあああ!!」


 思い出したぞ!

 そういや俺転生したんだわああ!


 ……ふぅ、まぁテンションを上げるところでもなかったか。

 そうだったな、思い出したぞ。俺は前世で死亡して神様に出会ってそこで転生して貰えた……はず。

 やばいな、ホントに生き返っちゃったよ。

 やはり神様の言うことは本当だったんだ。


「となるとここは異世界なのか」


 改めて周囲を見渡してみる。

 広々とした草原。

 遠くにはちょっと森的な場所が見えるかな。

 うーん、なんだろ、自然界って感じ?

 現代社会に埋もれた若者を代表して言わせて貰うと、これは目の保養にはすごく良さそうだ。

 ただこれが異世界かと言われるとかなり疑問である。

 別に太陽も一つだけしかないっぽいし。


 


「どうしようかな……」


 ここから俺の異世界生活が始まる! みたいな意気込みでも言えればいいんだろうけど、思ったよりもテンションが上がらないというか普通というか……。


「あれ、なんだこれ」


 と、ここで初めて気づいたが、足元に大きな紙袋が二つ分置かれていた。

 なんだろ。

 中を見てみると、分厚く古臭そうな本たちがずっしり入ってる。

 おいおい、まさかこれってこの世界の知識とかってやつか?

 そういや頼んだら本をくれるとか言ってたような気はするけど……いやこれはアホだろ。まず持てないと思うのですが。

 試しに中身から一冊取り出しページを開いてみる。



 パラパラパラ……



 ……うん、読めません。

 なんの字で書いてあるか分かりません。

 日本語で書いとけよな。

 見たことねぇわこんな字。

 おいおい、ヤバすぎだろあの神様、限度ってもんを理解してないぞ。いや転生してくれたのは勿論ありがたいけどさぁ……重いし読めないしでダブルクラッシュじゃないか。なんだよそれ。


 俺はブチギレ気味に本を地面に叩きつけた。


「待てよ? でも俺に力を与えてくれるとか言ってたよな?」


 忘れていたが、本で思い出した。

 実際に本が貰えていたというのなら、順当にいけば神様の言っていた能力も貰えてるはずだ。


「うーん、でもそんな感覚微塵もないけど……」


 確か魔法を使えるって話だったはず。

 俺は試しに手の平を正面に向けてみた。


「魔法よ、放て」


 適当に呟いてみた。

 ……おい、なんだよ、全然何も起こらないぞ。

 やり方が違うのか?


 俺は流石に適当過ぎたと反省して、ちゃんと腰を落とし、伸ばした手に片手を添える。魔法ってこうやって撃つんだよなきっと。

 やばい、なんか急に恥ずかしくなってきた。

 誰にも見られてないよな?

 こんなポーズとったの幼稚園児以来だぞ。

 これで失敗なんてしたらいよいよ終わりだ。でも全然できる気がしない……いや、諦めるな俺!


 さっきは流石に適当すぎた。

 魔法といっても色々あるはずだ。

 魔法と言えば……やっぱり炎の球とかだろうか。


 するとそう考えた瞬間、俺の脳裏に一つの魔法名がよぎってきた。

 おお、なんだこれ……なんでか知らないけどこの魔法の名前を知ってる……いや、知らないんだけど頭に浮かんでくる。不思議な感覚。でも本当になんとなくだけど、使える気がするぞ。よーし。



「いけ! ファイアボール【火球】!」



 俺は頭に浮かんだ魔法名をそのまま唱えた。

 すると手の平にバスケットボールくらいの炎の塊が出現し、直後、前方に飛んでいった。

 炎は少し離れたところの地面に当たって消えた。


「な、なんか出た……」


 す、すごい俺魔法を撃っちゃったのか?

 これは思ったよりいいかもしれないぞ。

 魔法を放てたんだ! って感じ? なんだよそれ。

 とにかくすごいんだ、だって魔法だよ? みんなの憧れの魔法を撃てたんだ。これは普通に凄いことではないでしょうか。


「しかも全魔法を撃てるとか言ってたよな?」


 俺は試しに水の球を想像してみる……おお、すごい魔法名がでてくる。え、じゃあ例えば木のムチで攻撃するとかは? ……出てこない。出ないんだ……そうだないんだ、出ないんだよ。ないものはないんだ。あるものが出てくるんだ。しょうがないんだよ、そういうことだろ?


 どうにも魔法と言っても世界にあるものしか使えない……とかそんなところかな? いや、でも魔法なんてかなりあるはずだし、これは凄い能力だ。タダで使えるだけ全然いいと思うし。


「流石は異世界、見直したぜ」


 もうこれだけで正直感動だが、せっかくの異世界だ。

 適当に空打ちでもいいが、やっぱり魔物とかモンスターみたいなのを狩ってみたいよな。


「よーし! やってやりますか!」


 俺はまだ見ぬモンスターを探すべく、とりあえず周囲を探索してみることにした。





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