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オーレリー  作者: 櫻塚森
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リュカ②

「お前の家族は何を考えている。」

ある日、リュカはシャルルを自室に呼び出した。そして、シャルルにシェリーの手紙を読ませた。

「俺が、オーレリーに手紙を送れるのは、月に一度だけと決められている。なのに、オーレリーからの返事が来たのは二回だけ、しかも、二回目からは、急に字が汚くなった。知識の欠片すら感じない文章に変化した。以後届く、お前の妹からの、しょーもない内容の手紙だ。二回目に送られてきた手紙の筆跡と同じだった。お前の両親が良からぬことを企んでるのは分かっている。先々代侯爵夫妻の事故死や前侯爵の死についても不審な点が多く、オーレリーとの連絡も取れていない。これらのことから、政府も調査に乗り出した。シャルル、お前は何を知っている?」

シャルルは、顔面蒼白だった。

「政府の取り調べより、俺らの方がましだと思うけど?」

シモンが笑顔で言った。

「デラージュ家の領地は俺んとこと隣合わせ、お前んとこの領地が廃れると此方にも影響すんだ、」

シモンは、デラージュ領からのならず者が増えていること、ちゃんとした取り締まりをするように政府を通じて勧告してもらったが、今のところ効果がない。

「お前さ、てめぇの父親がどんだけ、間抜けで、領地経営が下手くそか分かってる?一応、領地に責任のある立場に親が立ってて、いずれは、その手助けをするために、ここで、学んでるんだよな?てめぇんとこの領地の状態は理解してんだろーな?」

シモンのキツいもの言いに、シャルルの顔色は益々悪くなっていく。

「シモン、口が悪い。」

呆れた口調のリュカ。

最北に位置するデラージュ領の南にあるのが、シモンの家が治めるトレイユ領である。南北に細長い国土でデラージュ領に隣接するのは領だけで、何にしても北の地方を治める者として、オーレリーの母が生きていた頃までは互いに協力し、共に支え合っていた。

それが、オーレリーの母が亡くなってから、当主代理となったトマス・デラージュは、全く領地経営と言うものを分かっていなかった。本人は引き継ぎをすることもなく死んだオーレリーの母が悪いと言ったが、いつまで経っても自分で動こうとはせず、税率を上げようとするばかり。そんなことで領民の心を繋ぎ止めておくことなどできるわけもなく、治安は悪くなり、その結果、シモンの里であるトレイユ領にまで影響が出るようになったのだ。

「ぼ、僕は、領地に戻るつもりなんかない、ここを卒業して、王都に行って、か、官吏になって、家から自立するんだ!あ、あんな奴ら家族だなんて思ったこともない!」

シャルルが叫ぶ。

彼は、家族の異常性をわかっていた。甘い汁を吸えればそれでいい、努力は出来るものがすればいい。そう思っていた。家族のためだと言えば両親は喜んで自分を学園に通わせるだろう。オーレリーから全てを奪うつもりでいる両親は彼女が成人したら彼女を殺して自分を後継に指名するだろう。しかし、このリュカがいるなら、領地経営は彼の方が上手く金を生むだろうから任せよう、オーレリーのものは、シェリーのものにすればいい、と考えきっと、自分は後継ではなく、ただ家の、家族のために働く駒として働かされる。そんな運命などいらない。だから、上手く言って学園を卒業したら家から逃げるつもりだったのだ。

「オーレリーは、元気なのか?」

「し、知らない!あの女のことは考えなくていいと言われたから、け、けど、あの女はもう貴族令嬢としては暮らせないはずだ。」

リュカが息を飲んだ。

「母上は、前侯爵を憎んでいた。愛する父上を奪ったから……、瓜二つのオーレリーのことも憎んでいた。母上は、ヒステリックで直ぐ手を上げるから、日頃の鬱憤を晴らす相手をオーレリーが担ってくれるなら、俺もシェリーも万々歳だった……だから、オーレリーがどんな目に合っても、見て見ぬふりをした。シェリーは、オーレリーを虐げると母上の機嫌がよくなるから、率先してやっていた。」

力なく告白した。シャルルに殴りかからんばかりのリュカを止めるシモン。すると、部屋の奥から学園長と政府官僚の服を着た男が出てきた。

「我々は、今からデラージュ領に向かいます。令嬢の無事と当主代理の罪を明らかにします。」

「私も行きます!」

「リュカ殿は魔術契約に則り、令嬢に会うことはかないません。」

共に行こうとしたリュカを止める役人。

「デラージュ領の境に止めている部隊にも命令が降りました。令嬢は無事助け出しますので、ここでお待ちを。」

シモンは、せめてデラージュ領の隣の自領で待機しようと声を掛け、学園長を置き去りに二人は出ていった。


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