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神様

家庭教師がつき本格的に文字を学び始めてから2年半がたった。


現在5歳である。


初めは絵本を読むことすら困難だったが現在では大人が読むような魔法書もすらすらと読むことができる。


ちなみに父へお願いをして今では文字だけでなく歴史や学問、魔法学、礼儀作法も学び始めている。

授業を終えると書斎へこもる毎日だ。


毎日魔法関連の書を読み漁ることで1つの問題にぶつかった。


それは、魔法を使用できるようになるのは神殿での魔力測定の儀を終えてからだという。



魔力測定の儀とはデビュタントの翌日に神殿にて行われるものである。


貴族の子息令嬢は皆12歳を迎えると社交会デビューを果たす。それがこの国のデビュタントだ。


デビュタントを果たした子息令嬢が、その翌日神殿に向かい宝玉に手を翳し魔力測定をして、神官によって魔法属性を判定されるものである。



問題とはこの魔力測定と属性の判定をされるまで魔力の感知ができず、魔法を使えないというものである。


それなら今からでも魔力測定の儀を行えばよいのではないかと考えたが12歳未満で行なうことは禁止されていた。


なんでも昔12歳未満で魔力測定の儀をおこなった者がおり、その者は早すぎる魔力感知に精神と身体が耐えきれなかったという。


母に指導をお願いして拒否されるのも納得の理由である。


そうなると魔法の早期習得は絶望的だ。


才能探しは一旦終了になってしまう。


「どうしよう。」


絶望して天井を仰ぐとあの光という神様のことを思い出した。


彼は乙女ゲームの世界に転生させると言った。


ならばゲームはどこから始まるのだろうか。


この容姿から自分がヒロインでないことは予測できる。


つまりいつか絶対的なヒロインが登場するということだ。


しかもここは魔法が存在する世界。


おそらくヒロインは高い魔力と美しい容姿のはずだ。


なぜ乙女ゲームのことがわかるかというと前世では中学生の頃から乙女ゲームをプレイしていたからだ。


ヒロインが可愛くて実力が高いことは鉄板の要素である。



ふと、自分が初めてプレイした乙女ゲームを思い出した。


(たしかあれも剣と魔法の世界で学園ものだったのよね。名前は確か・・・光の君とともに)


ある日庶民であるヒロインが光属性を持つことが発覚することから物語は始まる。


魔法学園に入学し悪役令嬢にいじめられながらも、王子を筆頭とした美男子と恋をする物語である。


「ちょっと待って。たしかゲームの国の名前はティアレイン王国だったはず・・・。あれ?」


なぜ今まで気づかなかったのか。


ここは光の君とともにの世界そのものだ。


このゲームは大好きで何度も周回したはずなのに。


これなら自分に有利だと内容を深く思い出そうとするがズキっと頭が痛んだ。


前世での記憶障害が影響しているのか、深くは思い出せない。


「今ある情報だけでもまとめないと。」


本を戻し紙に情報を書いていく。


主人公の名前はカティナ・クレイドル。

たしか孤児で下町の教会に住んでいたはずだ。


ヒロインが16歳のときに光属性を持っていることがわかり、魔法学園に入学する。


攻略キャラは全部で4人。


第一王子であるアデルバート・ティアレイン。


アデルバートの護衛を務めるセス・コールマン


宰相の子息であるディルク・オルティス


悪役令嬢の兄リチャード・クロス


そして主人公のライバルである悪役令嬢のヴィクトリア・クロスだ。


このゲームでアイリス・ナイトレイという登場人物はいない。


「つまり私はモブキャラってこと?」


さらに絶望的な事実だ。


やはり自分は特別な存在ではないということだ。


とてもヒロインを差し置いて無双できるような人物ではない。


「特別にしてくれるんじゃなかったの?神様の嘘つきー!」


「誰か嘘つきだって?」


誰もいないはずの書斎から男の人の声が響く。


驚いて振り返ると執事服を着た見知らぬ少年が立っている。


暗い茶髪に明るい緑の瞳が印象的だ。歳は自分よりも少し上ぐらいだろうか。


「誰?」


「本日よりアイリスお嬢様の専属執事となりました。」


執事と名乗る少年は恭しくお辞儀をする。


(…‥おかしい。専属執事?それに見たことない人だわ。)


いくら執事といえど娘溺愛な父は絶対に歳の近い異性を専属にしないはずだ。


それにこの屋敷には妻子持ちか初老の男性しか使用人がいない。


疑問に思いテーブルの上に乗せていたベルをチリンチリンと鳴らす。


「お呼びでしょうかお嬢様。」


すぐに専属メイドのコーデリアが現れる。


「リア、知らない人がいるわ。」


コーデリアは少年に視線を向ける。


「…この少年はお嬢様の専属執事のルークですよ。お忘れですか。」


少し間を開けてはっきりと答える。しかも口ぶりからして前からそうであったかのように。


「無駄だよ。ここに入り込むときにお前の周囲の人間には魔法をかけて俺は前からお嬢様の専属執事って認識にしてある。」


パチンと指を鳴らすとルークはコーデリアに向き合った。


「お嬢様のお側には私がおりますので、コーデリアは

引き続き寝室の掃除をお願いします。」


「はい。わかりました。」


コーデリアは彼の存在を疑問に思うことなく、私とルークを残して去っていく。


「俺のことを忘れたのか?」


少年はにやりと笑って顔にかかった髪を耳にかけた。


見覚えのあるそれは自分の付けているものと全く同じものだ。


対のイヤリングを分けた相手は1人しかいない。


「あなた、あの時の神様ね‼︎」


「ご名答。この世界での名をルークと申します。

これから末永くよろしく、アイリスお嬢様。」


悪戯っぽく神さまは微笑んだ。

投稿の期間を空けてしまいすみません。

ここまで読んでいただきありがとうございました。

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