なんてことはない。狼なぞキック一撃で沈むわ!
次の配達場所は西の孤児院
空を蹴って、バク転して着地する
「おっとと…っ」
よろけた。減点!
「おねーちゃんすごーい!」
「あはは、ありがと!」
孤児院の庭で遊んでいた女の子、たしか…マリアちゃんが目を丸くしていた
「マリアちゃん、院長呼んでくれる?」
「わかった!」
マリアちゃんがとてとてと走って、
「いんちょー!いんちょー!」
「まってちょうだい!」
なかなか賑やかな孤児院だ
「はいはい、あっ、シズルちゃん、お疲れ様ね!」
院長さんが中から出てきた
院長さんは恰幅のいいおばちゃんでメイド服を着ている。昔は先王妃の下で働いていたらしい…?
「お届け物です!」
ストレージから小包を取り出して渡す
「はい、受けとったわ!ところで、シズルちゃん、あなたいい人とか居ないの?」
あっ、話長くなるやつだ。時間の余裕は…大丈夫、お話していこうか
「あはは、私を貰ってくれる人いるかなー?働いてる女の子って貰い手着きにくいらしいから」
「問題ないわよ!むしろ…んー、あの子とかどうなのよ?試験受かったら君の騎士にしてくれ!って言ってた男の子!」
「あいつなら色んな女の子に声かけてたよ!私的にはないわー」
騎士になってからものすごいモテるらしい。
私なんて昔の女よ!
「んじゃ八百屋のせがれ…は…」
院長が微妙な顔をした
「さすがにヒモを養うのは無理かな…」
ニートである
「ロクな男が居ないわねぇ」
「だね…」
そういえば、森で会った狩人風の男の子は今はどうしてるのだろうか。
コモンウルフ…初心者がこなれてきた頃に狩る獲物に苦戦してたから狩人なりたてだったのかな?
まぁ、もう会うことは…いや待て、確かその日はスカート…?
パンツを見られたからには生かしてはおけないな
「ぜっ殺」
「え?」
「な、なんでもない!次行くね!」
「ほほほ、またね、シズルちゃん!」
「はーい!」
地を蹴って空へと翔けあがる
「つばさがほしい」
次は郵便局だ。場所は街から出る西門の近くだ