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【SS】勇者「魔王との最終決戦なのに宿屋に聖剣忘れてきたああああ!」

魔王「ん……?どうかしたか勇者よ」


勇者(やっべえええええええええええええ!)


勇者(え……どこよ、どこに忘れてきた?)


勇者(あ、宿屋だ。そうだ絶対にそうだ)


魔王「ふははははは、その様子。どうやら我が魔力に臆したと見える!」


魔王「逃げるのなら今の内だぞ? 今日の儂は機嫌がすこぶる良いのだ、魔王からは逃げられないなどとは言わんさ」


勇者「馬鹿にするなよ魔王。臆病者に勇者が務まるものか!!」


勇者(あああああ何言ってんだ俺。お言葉に甘えて出直してくるべきだったのに!)


勇者(売り言葉に買い言葉だよおおおおお!)


勇者(だいたい魔王城の警戒が薄すぎるんだよ、魔王の間まで短刀一本でこれるってどんだけ緩いのよ)


勇者(おかげで聖剣忘れてきたことに今の今まで気づかなかったじゃねえか)


魔王「……あ」


勇者(ん? なんだか魔王の様子がおかしいぞ?)


魔王「……」


魔王(やっべえええええええええええええ闇の衣忘れてきたああああああああ)


魔王(いやいやいや、アレないと聖剣なんてとても防げんぞ)


魔王(いや、だいたい勇者がこんな深夜に突然やってくるから悪いんだよ)


魔王(勇者なんだから昼間に正々堂々とやってこいよ! まるで暗殺者じゃねえか)


魔王(慌てて出てきたから寝巻のまんまだよ儂)


勇者「……おや?」


魔王「む……」


勇者(どういうことだ……俺には魔王の装備がタダの寝巻に見えるぞ)」


魔王(感づかれたか!?)


勇者(あのやたら触り心地のよさそうな、ダークブルーのチェック柄)


勇者(そう、かつて母が買ってきてくれたパジャマそのものだ)


勇者「なあ魔王よ。お前の着ているものはもしy魔王「……ふ、ふふふ儂の装衣がタダのパジャマに見えるのかな?」


勇者「!?(やはり、あれは偽装されたものか! 騙されるところだった!)」


魔王(ただのパジャマですうううううう!)


魔王「どうした剣を抜かんのか? 儂は寛大だ、どうしてもというなら出直してきてもらっても構わんぞ」


魔王(お願いします! 一度帰ってもらえませんか!)


勇者「だまれ、勇者に撤退の二文字はない!」


勇者(もうどうにでもなれだ。持っているのは短刀一本だが、これでなんとかしてやる!)


魔王(ダメかあああああああ帰ってくれそうにないいいいい)


魔王「……おや?」


勇者「……(感づかれたか?)」


魔王(なんだあの聖剣、やたら短くないか?)」


魔王(わしには、ただの短刀にみえるぞ……)


魔王「な、なあ勇者よ、その短刀h勇者「この聖剣をただの短刀だと言うのか!? 侮っていると次の瞬間、貴様は地に伏せることとなるぞ!」


魔王(なんと!? あの短刀のように見えるアレが聖剣だったとは! いかん、あやうく殺されるところだった……)


勇者(ごめんなさいタダの短刀です)


側近「」コソコソ


魔王(あ、側近。生きてたのか。てっきり既に聖剣のサビにでもされたのかと思ったぞ)


魔王(そっきん! 急いであれ持ってきて! そう、闇の衣!)


側近b コソコソ


魔王(よかった、通じたみたいだ。よし、ならば後は時間を稼ぐのみだ)


勇者「どうした、剣を構えろ魔王!」


魔王「……ふふふ」


魔王「ふははははは、その必要はない」


勇者「なんだと!?」


魔王「なあ、勇者よ。たった一人でこの魔王城に乗り込んできた勇気は称えよう」


勇者「……」


魔王「だが勇気だけで勝てるほど儂は甘くはないぞ」


魔王(情報によると、勇者には頼れる仲間が3人いたはずだ。しかし、この場には奴一人)


魔王(きっと奴らの間に何か起きたに違いない、そこらへんをじっくりと掘り下げ時間を稼ぐ!)


魔王「貴様、仲間はどうしたのだ?もしや既に死んだのか?」


勇者「……あ」


魔王「?」


勇者(仲間忘れてきたあああああああああああああ!)


勇者(えぇ……何してんの俺……なんでこんなことになってん)


魔王(なんだ? 勇者の奴黙り込んでしまったぞ。だが好都合、少しでも時間を稼ぐのだ)


勇者(……ああそうだ。昨晩……俺たちは最後の決戦の前に宿屋で壮行会をしていたんだった)


勇者(それで酔った勢いで……聖剣も……仲間も……宿屋においたまま俺は魔王城に突貫してしまったんだ!)


勇者(そりゃ魔王城の警護も薄いわな、深夜だもの!)ホロリ


魔王「なぜ、涙を流すのだ勇者よ」


勇者「俺はとんだ間抜け野郎だ……」


魔王(お、やっと語りだした)


勇者「苦難を共にしてきた仲間を……宿屋に……忘れt」


???「みなまで言うな勇者!!」


魔王「だ、誰だ!?」


戦士「待たせたな勇者! そして魔王!」


僧侶「たった一人で魔王城に乗り込んじゃうなんて無茶ですよ勇者様」


魔法使い「帰れなんて言わせないわよ! 私たちも一緒に戦うわ!」


勇者「み、みんな!」


戦士「へへっ、どこか抜けたやつだと思っていたが。まさか俺たちを忘れていくとはな」


勇者「あぁ……そうだ!俺はとんでもない間抜けだが、俺にはそれをカバーしてくれる仲間がいるんだった!」


僧侶「貴方が忘れん坊なのは、これまで一緒に旅してきて散々思い知らされてきましたからね」


魔法使い「君が忘れたものは、私たちが全部思い出させてあげるわよ」


戦士「ほら勇者、宿屋に忘れてた聖剣だ」


勇者「ありがとう!」


魔王「!?」


魔法使い「魔王を倒した後の約束、まさか忘れたとは言わせないわよ///」


勇者「も、もちろん覚えているさ魔法使い///」


魔王「///」


僧侶「先日貸した5000円、よろしくお願いしますね」


勇者「お、おう。そうだったけ?……いや、そうだったな!」


魔王「……」


側近「魔王様ー! 魔王様が書斎に忘れてきた勇者たちの身体能力に関する記録、お持ちしました!」


魔王(ち、ちがう! そうじゃない側近!! 儂が忘れてきたのは闇の衣だよおおおおお!!!)


魔王「ううむ、すまないな側近よ。下がってよいぞ……」


側近「頑張ってください魔王様! では失礼します!」


勇者「記録……?」


魔王(あ、これ終わった。万事休すだわ)


魔王(かあさん、わしパジャマのまま殺された魔王として語り継がれるようです)


勇者「……あっ」


戦士「どうした勇者?」


勇者「えっと、すまない魔王……いったん出直してきてもいいかな?」


魔王「え? ……もちろんいいぞ! 儂は寛大だからな!!」


魔法使い「いったいどうしたっていうのよ勇者!」


僧侶「またなにか忘れ物ですか?」


勇者「ああ、すまないみんな」



勇者「セーブするの忘れてきた」



おわり

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