表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界帰りの元勇者は現実世界でも天才でした。  作者: 坂元たつま


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

6/38

予測される未来(オプティマル・フューチャー)

マサトが学校に戻って一週間。彼の周りの空気はすっかり変わっていた。彼はもう、二年前にいなくなったただの同級生ではない。「異様な才能を持つ生徒」として、教師も生徒もマサトに注目するようになっていた。

 授業を支配する天才

授業中、マサトは目立とうとしているわけではなかった。ただ、先生が教えることや、解いている問題が、彼には全てスローモーションのように見えていたのだ。

数学の複雑な問題も、マサトの頭の中では、異世界で魔王の防御力を計算したり、魔法の軌道を調整したりしていた時の計算に比べれば、とても単純な作業に感じられた。彼は、先生がまだ途中の段階で、「答えはこうです。そして、もっと簡単なやり方がありますよ」と、迷いなく完璧な手順を提示した。

物理の授業では、先生が「この鉄球は、この速さで投げると、どこに落ちるでしょう?」という問題を出した。マサトの目には、鉄球の重さ、空気の壁、風の強さ、そして地球が回っている影響まで、全てがデータとして入ってくる。

「先生、この計算だと、実際は少しずれます。風の影響で、理論値よりも10cm右に落ちます」

彼の答えは、常に正確だった。それは、彼の脳が、未来の動きの最適解を瞬時に導き出していたからだ。

  予測される球技

彼の能力が最もわかりやすかったのは、体育のサッカーの授業だった。

マサトは、フィールドで走る全ての人の動きを、完全に理解していた。

「あの人が、ボールを蹴る時の足の角度。この人の目線。地面の乾き具合。次は、こう動く」

彼の頭の中では、誰もが次にどう動くか、ボールがどこに転がるか、全てが確定した未来として見えていた。彼は、その未来に合わせて、常に最も有利な、誰もいない場所に立っていた。

味方からのパスは、まるで磁石に吸い寄せられるかのように彼の足元に届き、彼はそれを無駄なくゴールに流し込むだけでよかった。彼のプレーは、最強の無駄のなさ。それは、二年間、生きるために磨き上げた**「最も効率よく目的を達成する技術」**そのものだった。

 故郷の光とネックレスの秘密

ある日の夕方、マサトは帰宅後、静かに自分の部屋で胸元のネックレスを見つめていた。マリアがくれた、王家のマジックアイテムだ。

ふと、そのネックレスが、小さく、不規則なリズムで光っていることに気づいた。

「この光り方…ただの飾りじゃない」

マサトは、その光の点滅を、異世界で習った古代の言葉に変換して解析した。それは、マリアが、命を削ってネックレスに仕込んだ、最後の守護魔法だった。

マリアからのメッセージは、彼の胸に響いた。

『私は、あなたを忘れない。この光は、あなたが本当に危険な時、あるいは大きな決断をした時、あなたの生命を守るために動くだろう。さようなら、そして、またいつか』

マサトは、ネックレスを強く握りしめた。マリアは、二度と会えないと知っていても、彼に「またいつか」と伝えた。そして、自分が生きる道を選んでくれたマサトを、遠い世界から守ろうとしてくれていた。

(マリア。俺は、お前との約束を果たす。後悔のない人生を歩むと)

  覚悟を決めた瞬間

マサトは、この「天才」の力を、ただ高校のテストで良い点を取るためだけに使うつもりはなかった。

彼は、スマートフォンを開き、二年前と変わらず話題になっている「エネルギー問題」や「環境破壊」のニュースを眺めた。

(この世界には「魔素」という便利なものがないから、石油や電気に頼る。このままでは、資源を取り合って、大きな戦争になる…)

異世界で「魔王」という敵と戦ったマサトにとって、現実世界の危機も、形を変えた**「もう一つの戦い」**に他ならなかった。

(俺のこの力…未来の最適解を導き出す能力は、この世界の課題を解決するためにあるべきだ)

マサトは、その日、母親に、とんでもない決断を告げた。

「お母さん。俺は、高校を辞めて、大学に飛び級します。そして、すぐに最先端の研究機関に入ります」

異世界帰りの元勇者・榊原マサトの、現実世界での**「知恵の戦い」**が、いよいよ幕を開けた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ