日記
皆さん初めまして。三日月というものです。ノクターンノベルをお読みの方は、私の名前に見覚えがあるかもしれませんが、こちらの方で書くのは随分久しぶりな事なので、とても新鮮な気分です。
さて前書きを長々と書くのは、あまり好きではないので僕からは、以上とさせていただきます。
異世界転移。そう言われて胸の高鳴りを抑えられる男の子は、ほとんどいないだろう。
その理由は、主に二つに分かれる。一つは、召喚されたときから既に反則級の能力を持っており、その能力を用いて女の子を次々惚れさせていき、ハーレムを築いていく……いわゆるチーレムというものをやりたいという理由。
もう一つの理由は、自分の生きていた時代の知識を異世界で披露し、周りの人に認められていく……いわゆる商業チートをしてみたいといった理由だ。
この他にあるにはあるのだが、俺tuee‼ したいとか、奴隷がいる世界で奴隷の女の子を侍らせてハーレムを作りたいだとかその様な願望ばかりで系統としては、どれもこれも上記に記されたものとの方向性は、ほとんど変わらないだろう。
どうして世の男子がその様な事を思うかと言えばそれは、偏に現実に対して不満を持っているから。人間は等しく現実世界に不満を持っている生き物なのだ。
自分は、こんな腐ったつまらない現実に生きていたって意味がない。自身が生きている意味が分からない。それならばいっそ異世界でチートな能力を貰って、幸せになりたい。そんな事を思うからこそ皆異世界に憧れるのだ。
そこで一つの疑問が生じる。
ーーもし現実世界に対して何の不満を持っていない人間が、異世界にいきなり召喚されたらどうなるのか?
その答えは、とても簡単だ。哀しみ、嘆き、怒り、憎悪。その様な人間だけが持ちえる様々な感情が胸中を支配する。
ーー何故いきなり自分はこのような場所に呼ばれた。自分に何をさせたいのか。何が目的なのか。早く元の世界に返せ。お前達を絶対に許さない。
大体このような感情が胸中の中で激しく渦巻くだろう。その様な相手にチートな能力があるので、好きな女を抱き放題ですよ……だなんて言っても無駄だ。
だってその人にとっては、そんな薄っぺらな物よりも前の世界の、自分の生きていた世界の生活が何より大切だったのだから。
大切な物をいきなり理不尽に奪われて、怒らない者がいたらきっとそいつは、人間ではないのだろう。それこそフィクションの中にのみ存在するイケメン主人公君くらいだけだろう。
少なくとも僕には、真似できそうにないし、そんな存在がいたら思わず吐いてしまいそうだ。
そう考えるとよくある異世界転移物は、フィクションだということがよく分かる。その点では、そう言ったキャラの登場は、現実との区別をつけてくれるのでいいのかもしれない。
本題に入ろう。僕がここまでこのような事を記してきたかと言えば僕が、ここ数日前に異世界に何の前触れもなく転移させられてしまったからに他ならず、僕の怒りを、嘆きをここに記そうと思ったからに他ならない。
僕は紛れもなく幸せだった。暖かな家庭で、家族からの愛情を一身に受け、長年連れ添った幼馴染の彼女とつい最近付き合い始めたばかりだった。
これからいろんな場所に行って、いろんな事を経験して、ともに愛を深め合っていくはずだったのだ。
僕は、その日常を、誰しもが持ちえるそんなありふれた日常を、幸せを、僕は誰よりも、誰よりも噛み締め、生きていた。
それなのに‼ そうであったはずなのに‼ どうして‼︎ どうしてこうなってしまったんだ‼︎
どうして僕のそんな幸せをこんな理不尽な形で奪われなくてはならなかったんだ‼
どうしてその事に、誰も答えてはくれない‼︎
お願いだから教えてくれよ......‼︎
どうして僕を‼ 僕達をこんな世界によんだ‼
どうして僕達の幸せを奪い、踏みにじったんだ‼︎
誰にも人の幸せを奪うという権利は、ないはずなのに、どうしてこんな事をした‼︎
僕は、こんな理不尽な目に合わせた存在を未来永劫絶対に許しはしない‼︎
みつけたら必ず殺してやる‼
相手が子供だろが、女だろうが絶対に許さない‼
絶対見つけ出して必ず息の根を止めてやる‼
20〇〇年×月△日 星宮 風音
今回は、日記を表現したかったので、少々特殊な形式で始めさせていただきましたが、次回からは、普通に物語が展開されていきますので、その点につきましてはあしからず。
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