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あの味をもう一度

あのイベントの翌日、そんなことがあった。

 悲しみに明け暮れ、それから暫く、カロリーメイトすらも口にすることが出来なかった。

 それからだんだんと落ち着いてきた一週間後の日曜日。僕はサークル棟の屋上で日が傾いていく様を眺めながら、状況を確認しようと、脳みそを働かせていた。今分かっていること、また、それを元に仮説を立てる。

 

1.あの日の夜はゆっこの手料理を食べた。

2.それは味がした。(二日酔いのために記憶混濁)

3.だが、それは酔ったせいで勘違いした可能性あり。

4.だが、ゆっこ曰く、僕は涙を流して旨いと言って食べていたという。

5.ということは恐らくは味がしたのだろう。


 ここから導き出せる仮説……それは俄に信じがたいが、恐らくゆっこの手料理だけが味を感じられるのだろう。

 やはり記憶が混濁していて、上手く思い出せないが、あの時呑んでいたお酒はやはり無味だったと思う。

 そして、この仮説を裏付ける為にはもう一度早急にゆっこの手料理を食べなくてはならない……だが、どうやって。

 別に仲が悪いわけでは無い。むしろ、どちらかと言えば、仲がいい方ですらある。だからこそ、恐らくは面と向かってもう一度手料理が食べたいとか言えば作ってくれるだろう。だがしかし。年頃の女性に手料理を懇願するなんて、そんなのは気恥ずかしすぎる。なんだか告白しているみたいじゃないか。僕は伊達に21年間独り身を貫いてきているわけじゃない。女性に対する耐性はほぼ0に近いのだ。

 これは体勢を立て直さなくては……。

 そう思いながら、大分日も傾き、夕暮れ空が赤々と広がって行くも、暑さが解消されない7月の気候に脳みそがうだりそうになっていた時だった。

 不意に携帯がけたたましく着信の知らせを告げていた――

 ――チャンスというのものは意外と近くに落ちているようだった。


今回は短めですゴメンナサイ……。

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