僕の過去の話 3
そして、晴れて中学入学となった。小学校で虐められていた僕だったから、入学式は滅茶苦茶怖かった。門の前で立ち止まって、どうにも入る勇気が湧いてこなかった。
そんな時だ、僕の肩を叩いて、お、久しぶりなんて笑いかけてくる奴が居た。
僕には全くピンとこなくて、誰? なんて言っちゃったけど、そいつが成田瑞希。あの、文化祭で君に絡んでいたあの瑞希だった。
僕と瑞希は昔、家が近くて、同じ幼稚園に通っていた。あの、幸せだったらしい時期に僕と一緒に居た幼なじみだった。
そうして、瑞希に手を引かれるようにして、僕の新しい学校生活は始まった。
アイツは親の転勤で年中の頃引っ越していったから、僕の事情なんて露も知らない。だから、あのバンドマンの親父さんと優しい母ちゃんは元気してるかなんて、平気で聞いてきた。最初はお茶を濁していたけど、余りにもしつこいから全部全部、虐待も虐めも引っ越しも親の死も味覚が無くなった事もひっくるめてぶちまけてやった。そしたら、アイツなんて言ったと思う? 感情はぐちゃぐちゃで、涙と鼻水で顔もぐちゃぐちゃで、そして胸ぐらを掴んでいる僕にさ。
やっと人間らしい表情になったなって、そう言いやがったんだ。人の気も知らないで、でも、初めて全部をぶちまけた僕はちょこっとだけだけど、心がすっきりした。
それをきっかけに、瑞希とはよくつるむようになった。
そんな瑞希が、あれは……そう、中三の時だ。受験に悩んでた僕に、コレ聞いてみってイヤホンを渡してきた。イヤホンから聞こえる爆音のギターにビックリして、僕は直ぐにそれを外して、そんでもって、親父に思うところが無いわけでは無い僕は、バンドの曲なんて聴きたくなくて、抵抗したんだけど、親父さんは確かにいい人では無かった、でも、音楽に罪は無いだろ何て言うから、ちょっと聞いてみた。それはTHE BLUE HEARTSの「人にやさしく」だった。直球な歌詞とこんなに格好いいなんて思わなかったギターの音が、僕に衝撃を走らせたよ。有り体に言えばロックンロールが降ってきた。
それから受験勉強をしながら、音楽を聴き漁った。
そんな事にかまけているから、結局成績は大して上がらなくて、高校も何とかギリギリで合格した。瑞希もギリギリだったけど合格したから、晴れて高校も同じ所に通うよう事となった。
高校に入る頃には耳も肥えだして、どんどん音楽が好きになった。ライブハウスに行ったり、タワレコに通ったりした。たまに親の血かもしれないとか思って気持ち悪くなることもあったけど、それでも、瑞希の言っていた音楽に罪は無いと言う言葉に励まされて、傾倒するのを辞められなかった。
そうしたら、だんだん親父の見ていた世界に興味を持つようになった。家族を顧みられなくなる様な世界なのか。それはどんな世界なんだろう。でも、奴はそうやって僕をどん底に叩き落とすきっかけを作ったんだ。でも、気になる。
そんな押し問答を1人でしている内に、気がついたら、高校2年に上がるとき、進級祝いでエレキギターを買って貰っていた。中古で安かったグレコのストラト。今でも家で弾く用のギターとして愛用している、大事なギター。勉強を頑張る事を条件に買って貰ったわけだから、勉強も頑張った。時同じくして、瑞希がアコギを持っていること、弾けることを知った。放課後はよく2人で好きな曲をコピーしたりしたよ。
で、成績が下がった。
瑞希につられて成績が下がったなんて、責任転嫁も良いところだけど、アイツが勉強しなくても、成績が下がっても平気そうな顔をしていたから、きっとこんなもんでいいのかとか思ってた節はあって。そんで高校3年生の春。アイツは急に俺進学しないからって言い出して。成績を気にしないわけがやっと分かって自分にもアイツにもあきれたよ。
そんで段々自分の現状がどうしようも無くなってきている事に気がついて、焦って勉強を始めて、何とか第一志望校に滑りはしたけど、この大学に入学したわけだ。
どうも。今週は短めです。
瑞希と再会し、やっと人生が上に向き始めた主人公です。
過去編らしい過去編は今週で終了となり、来週からは今のお話に戻っていきます。
ゆっこは彼の話をどう受け取るのでしょう?
今週分でストックが無くなり、焦る僕ですが、何とか先を書くので、是非来週も読みに来て下さいね!
それでは。




