~並々ならぬ営業努力によりアヌビスと握手しました~
「此方に並んでください」
銀太郎と同じローブを着たアヌビスっぽい顔の人がプレートを、掲げつつ信者を並ばせている
最後尾只今170分待ちとプレートの数字が変わった
「アトラクション待ちですか?( ・ω・)」
「ある意味そうね(^^)」
スタスタと娘の姿をした女神が進んでいく
「今、就職難でね、みんな転職しに来るのよ」
「ここにも就職難が...。」
「ここの人達は少し我が強いから言いたいこと言っちゃって就職先すぐ変えちゃうのよね。」
「羨ましく思いますね。」
銀太郎は仕事自体は好きで続けてきたが、会社の昔ながらの伝統に辟易していた
ああいった会社の働き方には物凄い無駄があるのだ
コストカッターとして部署ができるくらいに
年間500億位の無駄が毎年毎年会社の首を絞めていくのである
言いたいことを言えずに、我慢し続けた結果やはり赤字の匂い
「僕が発言したところで変わらないと思ったでしょう?」
ハッといつの間にかうつむいていた銀太郎は顔をあげる
「考えを改めると世界は変わるわ」
「優里...立派になって」
涙ぐむ銀太郎
「冗談言えるじゃない」
「アヌビス~」
「え、アヌビスっていうんですかあの人...」
待ち時間の書いてあるプレートを持った人が銀太郎と女神の顔を確認する
「ラー様...。じゃなくて女神様どうされましたか?」
え、太陽神ラーに見えてるの?何それ見てみたい
「後で見せてあげるわ銀太郎、アヌビス新しい神官の銀太郎よ、宜しくね」
「おお、よくぞ参られた、人が足りなくて困っていました、どうぞ宜しくお願い致します」
そういって、犬の被り物を脱いでかなりの彫りの深いイケメンが握手してきた
「それって、脱ぐもんなんですね、帽子感覚ですか?」
「あー。マスクがわりですよ、ほら、結構臭いきついじゃないですか、あれ処理するとき。」
アレってなんだろうと思いながら銀太郎は、握手に応える
「相談室が一番困っていると思うのでお願いしたいですね」
「そうね、配属は相談室一択よね」
「相談室...ですか」
「ヒアリングしてどういった職種に向いているか、一日に20人ほど相談に乗ってくれたらいいのよ」
またでた20人
うーん一人あたり30分程度かな
「レベルが40にならないと転職は出来ないから、ある程度は色々乗り越えてきた人達だから、話は面白いと思うわよ。」
ペラっとスクリーンの様なものが渡される
「ステータスがわかるから、これ見ながら相談にのってあげて転職したい人は転職扉で進んで貰って、やはりやめる人はそのまま返してあげて」
この一覧表はあなた専用よと渡されると、銀太郎の前に浮かんで固定される
「邪魔だったら×印タップして、相談室に人が入ってきたら勝手に立ち上がるから。じゃあ、宜しくお願いね。」
優里の姿がパタパタと去っていく
「何かあったらロッカーに戻ったら良いわよ、相談室に人がいないときにね~」
次の案件があるのだろうか、女神が大きな声で叫びながら去っていく。
「相談室、20号に入って貰っていいですか?あそこです」
アヌビスがプレートを持った反対の手で少し離れたところにあるドアを指差す