~並々ならぬ営業力でオリエンテーション成功しました~
ご年配の女性が案内してくれたのは、ロッカールーム
「ここで着替えをしてもらえるかしら?」
そういって、一つのローブを手に取り銀太郎に渡す
「この場所があなたのロッカーよ。あなた以外開けられないから、今持っている荷物入れておけば良いわよ」
「はあ。」
なんというか、もうやるしかないのだなと理解した
「それと、このロッカー中に入れるから見てみると良いわ」
「え、そんな広い...クローゼットですか?」
人一人なんとか押し込めるぐらいのロッカーを考えていた。現に扉は会社のロッカーそのものだ。
「あとこのイヤリングあげるわ。いつでも何処でもこのロッカーの中に入れるから大事にしてね。」
「?」
「可愛いでしょ(^^)」
ご年配の女性が銀太郎の耳にイヤリングをつける
イヤリング等つけたことがない銀太郎は違和感満載だ
「ロッカーの中に入ってローブに着替えておいで。少しゆっくりしても良いわよ。気がすんだら出てらっしゃい。仕事の話をするから。」
にこりと微笑みかけられ、このような上司なら上手くやっていけそうだと感じ
ロッカーに手を当てる
「え?部屋?」
ロッカーの扉の前に落ち着いたダークブラウンで纏められた単身用のワンルームマンションが現れた
シューズロッカー、姿見、キッチン、ベッド、机に
「優里、光...」
所々に妻子との写真が飾ってある
会いたくてたまらないときはこのロッカーに戻ってこいということか
暗に自分は荷物だと言われてるような気がしたが気にしない
ダークブラウンの北欧机に笑っている妻子の写真
「すぐ、戻るからな。」
独りポツリと呟きローブを見つめる
「どうやって着るんだこれ」
ゲームでしか、見たことない白地に金の糸で紋様が入った服だ
ペローンとした生地が何枚もある
「着た後の姿がわかればなんとかなるんだけどな」
ぶつぶつと良いながら、着替えはじめた
「こんなもんかな」
姿見で確認して思う
「俺って結構似合うのなw」
光にいつも惚気られながら抱きつかれて落としてもらえる口付けは
暫くお預けなのだなと、右頬を、さする
「あいつ、スーツ姿が異様に好きだけど、これ見たら喜びそうだな...」
目がハートになってる妻の顔を想像してにやける
この部屋は、なんというか落ち着く
単身赴任しているような錯覚を、してしまいそうだ。
これもご年配の女性が用意したものだろうと想像に固くない。
「あら、早かったのね(^^)」
「はい、直ぐに業務に就いた方が早く帰れるかなと...。」
「(^^)気長にね、結構時間かかるから気負い過ぎないように」
「やっぱり3年くらいでしょうか」
「あなたの頑張りにもよるわね(^^)」
笑顔が怖い
神殿にどういった施設があるか、休憩は自分のロッカーだったり、やってはいけない言ってはいけないワードやら、銀太郎の様に引き抜きにあった他世界の人員等、多岐にわたる説明を受けつつ、この神殿が何をするところかを理解した
「ここ、あれですよね、ドラ◯◯クエ◯◯とかの転職させてくれる施設ですよね。」
「そうそう、小さいときに胸踊らせたでしょ?実は結構な割合でインスピレーション落としてるから、創作物には反映されるのよね(^^)今回は人員不足で、20人ほど補充してたのよ。」
「人員不足ですか...。」
「そう。ここで生活していたら、みんな外に出たくなってしまって、逃げ出したり、外でまったり暮らし始めたり、色々よ。
でもね、残念だけど、私からの依頼で動いた訳じゃないから、その人達はみんな自分の世界に戻れなくなってしまったのよ。」
「...マジか」
完全黒じゃねえか