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今日から学校と仕事、始まります。①莞

正義と悪は大抵、知り合い

作者: 孤独

「最近、恐喝事件、闇サイトによる詐欺が多発しております」

「最近のヤクザ、暴力団は巧妙な手口です」


ここは警視庁。住民の詐欺対策による講義を行なっていた。


「そこで今日は特別講師。警視庁、”特別警官”を勤める鯉川友紀さんに来てもらいました」

「どーも」


呼ばれて出てくる、鯉川友紀という婦警。彼女の登場に講義を受けるまだ若手の警察達は驚いていた。


「あ、あれが噂の”特別警官”の1人。鯉川か」

「若っ、可愛い」

「俺達と歳に差はねぇのに、警視庁の重役を任されてるんだよな」

「ただの身体能力のみで犯罪者を悉く捕まえている、戦いのプロ。女でも、今の俺達が束になっても敵わねぇらしいぜ」


警視庁、”特別警官”。組織の中でも、非常に特殊な人材に与えられた地位と称号であり、鯉川の場合は高い戦闘能力に特化している。凶悪犯罪や重役の護衛、警察という強い武の象徴も兼ねた者。

……あれ?そんな彼女が、こんな講義の先生で大丈夫なの?


「ぶっちゃけ、私。実践専門なんで、プロの方に来てもらいました。沙耶ちゃーん。来てー」


本人、自覚があって言っているのか。それとも、パイプを繋げるのが役目だと思っているのか?

鯉川に呼ばれて、次に入って来たのは。鯉川より小柄ながらも頬に生々しい火傷を持ち、威圧感と来たらこの場で誰よりも凶悪。そんな彼女はそれでも気だるげ。


「あのさー、鯉川……」

「紹介するわ。この子。山寺沙耶ちゃん。鵜飼組の、”用心棒”のお1人。餅は餅屋ってね!本物を連れて来ました!!」


…………………


「ちょっと待って。今、鵜飼組って言った!?」

「暴力団関係のトップじゃねぇか!!その幹部を連れてきたの!?」

「そいつを捕まえろよ!!」


講義する側じゃなくて、講義される側になっとる……。

しかし、鯉川はど天然なのか。ボケてるのか。


「実は沙耶ちゃんは、私の後輩でーす」

「そんなのあんまり重要じゃねぇ!!」

「っていうか、後輩にどんな指導したの!?なんでヤクザ家業に行かせちゃったんだよ!止めろよ、先輩!!」

「もーっ、そんなに騒がないの!じゃ、沙耶ちゃん。お願ーい」


講師として呼ばれてるのに、別の講師役をご用意


「うっせ。馬鹿」


沙耶ちゃん。律儀に来たけど、


「僕はこの手の事に詳しくないぞ。それと、人に教えるなんてできない」

「えーっ?なんのために来たの?」

「お前が僕達を呼んだんだろ!?」


沙耶ちゃんは溜め息をつき。鯉川がこーいうアホな先輩である事を見抜き、講師を呼んでいた。


「おい。朱里咲。出てこい。お前、教師だろ。教えるのは上手いだろ」

「やれやれ。沙耶が言うもんだから、何かと思えば来てやったが」


沙耶に呼ばれて登場したのは、木見潮朱里咲。鯉川と沙耶と違って、ちょっと年齢がヤバイ感じの。まぁその、年齢が乗ったお姉さんといったところか。


「紹介しよう。僕と同じく、鵜飼組の幹部を務める婆だ」

「沙耶。お前な、自分が若いからって、婆にならねぇと思ったら大間違いだぞ。それとな、警察の若いの諸君!私は言いたい。良い就職先だからと言ってな、この場にはイケメンが少ないと思うんだ!私はな!それを上の連中に抗議しにきた!それと鯉川、婦警だからってミニスカ止めろ。ムカつく。20超えてミニスカとか恥ずかしくない?」

「ちょっとちょっと。沙耶ちゃんも朱里咲さんも、何しに来たの?」


お前が言うな。鯉川!!

つーか、どんな説教と講義!?朱里咲の言葉、今。漢字が違ったよね!?


「私はお前達の先生もできるが、詐欺関係はそこまで詳しくない。私も沙耶も、鯉川と同じく武力がメインとなっている。格闘技ならお前達が死ぬレベルで教えられるんだがな。残念」


いやだから、あんた達。なんでこんなグダグダやってんの!?今日のテーマ、詐欺対策なんですけど!


「だが今度は確かに!本物の詐欺師の連中に来てもらった。鵜飼組自慢の諜報部隊。大野鳥!入って来い、お前達全員がやれ!」

「はーい」


あれ?警察だよな。俺達。今、こいつ等を捕まえた方が詐欺対策になるんじゃない?


「大野鳥夜枝です」


そうして入って来たのは、これまた美人な女性さん。鵜飼組って女性ばかりの組織なのかと、ちょっと鼻を伸ばしてしまう警察官達。あんまり悪い奴等でもないのかもしれない。

しかし、


「大野鳥夜枝です」「大野鳥夜枝です」「大野鳥夜枝です」「大野鳥夜枝です」「大野鳥夜枝です」「大野鳥夜枝です」「大野鳥夜枝です」「大野鳥夜枝です」「大野鳥夜枝です」「大野鳥夜枝です」「大野鳥夜枝です」「大野鳥夜枝です」「大野鳥夜枝です」「大野鳥夜枝です」「大野鳥夜枝です」「大野鳥夜枝です」


…………………

あのっ


「大野鳥夜枝です」×40


何人、同じ人間がこの部屋に集まって来てるんだーー!!?どーいうことこれ!?


「朱里咲さん、まだ部屋に入れない大野鳥が沢山いるんですけど」

「そうか。1人に対して2人の講師をつけるビッグサービスをしてやろうと思っていたんだが」

「警察の数ぐらい把握しとけよ」

「あはははは、聞いてなかったー」


というかこの人数を、何事も無く警視庁に連れてきちゃう当たり、どーなってるんだこの組織。警察もだけれど!


そーいう疑問を一掃してくる。最後の講師、大野鳥夜枝。その1人が壇上に立って、皆に伝える。


「私達は近日、電子マネーを利用したポイント詐欺を始めるので、警察の皆さんはこーいう対策をしてください」


詐欺手口を警察に売り込み始めたーーー!?

そりゃ詐欺の手口を編み出すより、対策を講じる方がよっぽど難しいけど。


「警察の信頼を買ってあげるのが、我々の務めでもある」


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