ウイちゃんとM
「まてよ俺がこの世界に召喚されたってことは・・・」
「何を言ってるのですか?ところで頭の傷は大丈夫ですか?」
俺の名前は佐久間 多希。なぜかこのファンタジー感あふれる世界に現れたヒーロー的存在、いや後にヒーローになる存在。この不思議そうにこちらを見つめてくる美少女は、あっそういえばこの子の名前知らなかった。てか頭の傷?異世界転生って一回死んでから転生されるはずじゃ、あの学校でつけられた傷が残ってるということは、俺はポケットの中を探ることにした。
(どうしたんだろーこの人。エクスカリバーのポジションでも悪いのだろうか)
っっ?俺はびっくりして彼女の顔を見た。しかし彼女は笑顔でこちらを見ている。もしや無意識にこの子の頭の中を覗いてしまったのか。
俺の能力、不完全テレパシー。送信不可能な能力だ。ただ誤作動が起こり時々相手の頭に俺が考えたことが送られる。なんてクソな能力。これのせいで俺の人生はめちゃくちゃだ。
てかこの子なんてこと考えてるんだ。てっきり何も知らない純粋な子だと思ってなのに、少し残念だ。
ポケットの中はスマホとポケットティッシュと小銭だけだ。全く使えねースマホ圏外だし、まー定番っちゃ定番だな。てか俺、この子の名前知らないなー。
「ねー君の名前聞いてもいいかな?」
「名前を聞く時は自分から名乗るものでしょ!」
「あーそーだね!ごめん。」
少しめんどくさいところがあるなこの娘
「俺の名前は佐久間 多希」
「へー珍しいお名前ですね。サクさん!」
「いやなんかめっちゃ変なところで名前切ってるよ。俺のことはタキって呼んでくれて構わないから」
「そーですか。ではタキさん!よろしくです。そういえば私の名前ですよね。」
ゲフン
彼女は咳払いをしてニコッとしながら
「サークラント家長女、サークラント・ウイです。気軽にウイと呼んでください!」
可愛すぎる笑顔に俺は変な気を起こすところだった
「よ、よろしくねウイちゃん!」
ちなみに俺らは今宿に向かっている途中である
このスアップ町という全く聞きなれない町は案外田舎という感じがしないというかまじRPGって感じがする。外には屋台が出ており日本語をペラペラ話す二足歩行の動物達が生活している。なんという不思議な光景だ。
「あちらが宿ですよ!」
ウイちゃんが指さす方に目をやる。
まじ宿、ど宿って感じ、てかこの宿の名前(宿)って書いてるんだが。
「こ、ここに泊まるの?」
「はい、そうですけどなにか不満でも?」
笑顔なのに凄い威圧感。怖いなんで女の子ってこんなに怖いの。
「そういえばタキさん。お金持ってますか?」
「あっ!」
お金の事すっかり忘れてた。どうしよう、流石に女の子に借りるわけには行かないし。でも今から用意は出来ないしなー
「どうしたんですかタキさん。あーもしや持っ・・・・・・」
ん?ウイちゃんが急に喋るのをやめた。
「おーいウイちゃ〜ん?」
そう言って俺はウイちゃんの顔の前で手を振った。するとウイちゃんが口を開いた
「やー、タキくんこんにちはー!」
???どうしたんだウイちゃん
「ごめんごめん驚かせちゃったかな?今ちょっとこの娘の体を貸してもらってるんだ!」
貸してもらってるんだ!じゃねーよ!なんだこの状況はとてつもなく反応に困るんだが。キャラ変か?それにしては急過ぎるだろ。
「私の名前は・・・んー、まー、Mとでも名乗っておくかな」
やばいってこの娘。俺が出くわした変なやつランキング更新するくらいのレベルでやばい。自分のことMなんて言い出しちゃったよ。
「君をこの世界に召喚させた本人さ!」
えっ?召喚させた本人?ウイちゃんは俺が召喚したことは知らないはず。じゃーほんとにウイちゃんの体を乗っ取って話してる誰かなのか?
「えっとーMさん?」
「気軽にMと呼んでくれても」
「M。2つ質問させてくれ」
「どうぞどうぞ君はこの状況に頭がこんがらがってるはずだからね2つと言わず何百個の質問だって聞いてあげるさ!」
「いや2つだけだよ。まず1つ目何故この世界に俺を召喚したのか。2つ目何故今出てきたのか。」
「ふむふむなるほどね。まー来ると思ってた質問だね。まず1つ目の質問、何故この世界に君を召喚したのかは、理由はないかなまー、君がベストタイミングで気絶してたからね」
は?
「じゃー俺がそのときに気絶してたから?」
「まーそーなるね。最近召喚する機会が少なくてねー!なんて言うかノリかな?」
おいマジで言ってんのこいつ
「あとちなみにこっちの世界に持ってきたのは心だけさ」
「心だけ?」
「そー君の心だけ持っていけば君が気絶してる時に周りにいた人は特に変に思わないだろ。突然君の体が消えたら大事件だからね。そして2つ目の質問何故今出てきたかは、君に伝えたいことがあるのと渡したいものがあるからさ」
「伝えたいことと渡したいもの」
「まず伝えたいことは・・・いまほとんど話しちゃったね。そーだ君、携帯を私に渡してくれ」
「はー?わかった」
俺は言われたとうりに渡した
ポチポチポチっチッチッチ
マスターは俺のスマホでなにかしている。
「変なことすんなよ!」
「ポチッと。はいどうぞ」
俺は返してもらうとすぐにスマホを確認する。んん?
「おーいM。変なアプリが入ってるんだが」
「タキくんそのアプリを開いてみなさい」
開くと画面には残り60分と映し出されてて現実世界、異世界と映っており、異世界の方が濃く映っている。それとメニューというボタンもある。
「あのーなんすかこれ」
「このアプリは君が現実世界にある体とこの世界にある体のどちらかにいるか分かるアプリさ!メニューを開けば君のステータスがわかるのさ!」
「へーってまじですかー!」
「まじまじおおまじさ!12時間に一回行くことが出来る。というか強制的に移動する。」
「へー結構厄介ですねー!移動時に体に異変とか起こらないのか?」
「大丈夫大丈夫心配するな!」
(いやーある時はあるって言ったらなんか言われそうだから黙っとこー)
「おい!心の声聞こえてんぞクソ野郎」
「やっべ、これで私はどろんさせてもらうよ!あーそうそうあとこれを君にやろう。ではさらば!」
「はやく消えろ」
「あっ、そういえば伝え忘れてたことがあった」
「手短に頼む」
「もしこっちの世界で死んだら2度とこっちの世界には来られないし、あっちの世界で死んだら2度とあっちの世界には行けないから、そこんとこよろしく!」
そう言ってMは黙ってうつ向いた。
「なんで大事なことを最後に言うんだあいつは」
なんか渡されたがなんだこれ?変なカードを渡されたんだが。
「んっ、んーあれ?タキさん私今まで何してましたっけ?」
ウイちゃんが目覚めた。マスターのことは・・今はいいか今度話せば
「いや何も!それより宿に入ろうぜ!」
「そーですねー!あっそーだタキさんお金もってるんですか?」
あっそーだったー。すっかり忘れてたー。ったくマスターもよーお金くれればいいのになんだよこのカードっと眺めてたらウイちゃんが
「タキさんそのカード」
ウイちゃんがとてつもない真顔でこちらを見ている
「どこで手に入れたんですか?」
「いや拾ったんだよさっきそこで」
俺はカードを良く見てみると(なんでも無料券)と書いてある。えっ、まじでもう人生勝ち組じゃん。裏を見てみると(変なことには使わないように!優しい優しいMより)
と付箋が貼られている。
「よっ良かったですねー。それを使えば宿に泊まれますよ。」
なんかウイちゃんがとても暗い顔で言ってきた。よくわからんがあまり触れないようにしよう。
「何泊しますか?」
「一泊でお願いします」
「では103号室です。ごゆっくり。」
俺は部屋に入るとベットに横たわった。このまま寝そうな勢いだ。今日は色々ありすぎで疲れたのだろう。
「今日は疲れた!ゆっくり休むそれが一番」
そう言って俺は眠りについた