異世界召喚する際は、事前にご連絡願います 3(完結編)
はい、すみません。
今回も短編「異世界召喚する際は~」の続編を書いてしまいました。
一応完結です。
1、2を読んだ後にこちらを読むことをおすすめします。
誤字脱字あると思いますが、文章・表現などとくに気にせず、
軽く読んでいただけるとありがたいです。
「…まあ、薄々感づいていたけどね」
二度あることは三度ある。
目が覚めたら、そこは異世界だった。
◇◇◇◇◇◇◇
柊真琴 18歳。
受験生の為、腐女子活動休止中。
細マッチョの筋肉美が三度の飯と同じくらい好き。
異世界へ2度召喚された経験を持つ女子高生。
明日の土曜日は、親友のえっちゃんと一緒に図書館へ勉強をしに行く予定。高校3年生となった今、趣味に時間を費やす余裕はない。
お兄ちゃんは今年から大学生となり、ほとんど毎日バイトをしている。大学卒業したら就職と共に家を出て、部屋を借りるらしい。
正直、あのお兄ちゃんがこの家を出ていくというのが想像できない。重度のシスコンで毎日付きまとってくるくせに、私と離れて暮らすとか。
ようやく兄の目が覚めてきたということなんだろうか。私としてはありがたいことだけど。
そうそう。
去年2度目の異世界召喚されて、こっちに戻ってからしばらくして、なんとあのセバスチャンが転世界してきた。
アリシアが公爵家に嫁いだのでちょうどいい機会だったらしい。
こっちの世界に来て、今は大学生をやっている。彼は、ただのお色気担当ではなかった。難関と言われる某国立大学受験を、異世界人の身で突破した強者である。
そんな彼も、入学してからはバイトに勤しんでいる。今はガンダルさんの家に居候しているらしく、お金を貯めて自分で部屋を借りたいと言っていた。
腹黒ドS元宰相と、色気ダダ漏れの元執事が一つ屋根の下で一緒に暮らしている…。なんて想像力を掻き立てるシチュエーションなんだろう。
腐女子的には悶絶もんです!
ハッ!だめだめ、今はそういう妄想に浸っていい時期ではないのだよ!
私はなんとか雑念を追い払い、問題集を広げて勉強を始めた。しばらくして数学の問題でひっかかり、進まなくなってしまった。肝心の公式が出てこない。
うーん、なんだっけ…。時計を見ると夜の10時を回っている。もうお兄ちゃん帰ってきてるよね?教えてもらおう!
私は兄の部屋へと向かった。ドアをノックすると、中から「何?」と返事が返ってきたので、ドアを開けて中に入る。そこには、パンツ一枚で筋トレをする兄の姿があった。
ぎゃっ!ここにも妄想を掻き立てるものが!
「ご、ごめん!出直すね」
「いいよ、こっちにおいで。どうしたの?」
「ちょっと数学で教えてほしいところがあったんだけ…どっ!?」
「どれどれ?」
兄はタオルで体の汗を拭きながら、戸口で固まっていた私の元へ、いつもと変わらぬ様子で歩いてきた。パンツ一枚なのに、なにその通常運転。
裸の王様か!
目のやりどころに困っていると、私が手にしていた問題集をひょいと掴み取り、ああこれね、と呟いて、部屋の中央に置いてあるテーブルへスタスタと歩き出した。そして自分が床に座ると、おいでおいでと手招きし、自分の隣の床をぽんぽん叩いて私に座るよう促す。教えてもらうという負い目から、私はおとなしく従った。
「これはこの公式使うといいよ」
そう言いながら、兄はスラスラと問題を解いていく。
「あ!そっか、そういうふうにすればよかったんだ!」
なるほどなるほど、と相槌を打つ。兄の教え方はとてもわかりやすかった。実は、うちの兄もセバスチャンと同じ大学へ通っている。
すごく頭がいいんだよね~。そこだけは、妹として誇りに思うよ。
それからしばらくは問題を解くことに集中した。
「あ。この問題、ここのところ間違ってる」
「え?どれ?」
「ほらこれ。8になってる」
「うわっ、本当だ!気付いてくれてありがとう」
「いえいえ。どういたしまして」
ん?なんか背中が生暖かい感じがする…なんだろう?
気になって振り向こうとしたら、兄の両腕が私の両腕の後ろから伸びているのに気がついた。よく見ると、兄の体が私の背中に張り付いているはでないか!しかも兄の両足は、私を挟み込むようして伸ばされていた。
ナニコレ。いつの間に!?勉強に集中しすぎて全然気付かなかったよ!
「真琴、ちゃんと聞いてる?」
兄の声が頭上から聞こえる…。
「お兄ちゃん…なにかなこの恰好は。なんで後ろにくっついているのかな?」
「このほうが教えやすいし」
「いやいや、絶対教えづらいと思うよ?」
「真琴が温かいから。俺ちょっと寒いし」
「服を着ろ!」
「ええ~。俺はこのままでいいよ」
「よくない!」
兄よ。その肌の温もりが、眠気を誘発しているのだよ。勉強に集中できぬ!
「じゃ、次。この問題もやってみようか」
「…うん」
さらっと流された。
観念して、問題に集中しようと試みる。
睡魔と戦いながら、問題を解くフリをする。
焦点が定まらず、シャーペンの芯が空をかく。
激戦の末睡魔に敗れ、舟をこぐ。
この間9.3秒。私の意志は存外脆かった。
チュンチュンという可愛らしい鳥の鳴く声がして、意識が少しずつ浮上する。体が全体的に重く感じるけれど、ダルさはない。薄暗くてよく見えないけど、なんか天井が低く感じる。頬に触れる空気もいつもよりひんやりする。でも、体はポカポカして心地いい気分だ。
あれ?でも私、いつの間にベッドに入ったんだろう?昨日は確か、お兄ちゃんに勉強を見てもらって…、途中で寝ちゃったのかな?お兄ちゃんがベッドまで運んでくれたのだろうか。
起き上がる前にベッドの中で伸びをしようと思い、う~んと唸りながら腕を上げようとしたら、何かに強く押さえつけられていて上がらない。なにこの圧迫感。
なんだろうと思いながら体をもぞもぞと捩っていると、
「…くすぐったい」
頭上から少し掠れた低い声が聞こえた。
恐る恐る、声のした方へ顔を向けると…そこにはなぜか、目を細めながらこちらを見つめる金髪碧眼の見知った美しい顔があった。そしてこの圧迫感は、彼の腕が私を抱きしめて拘束しているものだった。
なんじゃこりゃ!?
「ぎゃああああああ!」
奇声を発しながら、こちらに向いていた彼の胸に頭突きした。
「痛っ。何だ?」
「『何だ?』じゃない!どうしてゼルがここにいるの!?」
金髪碧眼の美丈夫は、バブロス国のゼル皇太子だった。
「ここは俺の部屋だ」
「は?」
「お前が、俺のベッドで寝ている」
「なっ!?」
なんということでしょう!
寝て目が覚めたらすでに異世界だった。
…まあ、もう一回くらいあるかなって薄々勘付いてはいたけどね。
二度あることは三度あるって言うし。
どうやら寝ているうちに召喚されたらしい。薄暗い部屋の中を見渡すと、壁が石造りになっていて、お城の部屋っぽい感じ。部屋の天井かと思っていたものは、ベッドの天蓋だった。
視線を隣の人に戻すと、艶かしい表情のゼルが私の顔を見つめて、より一層強く抱きしめてきた。そして、私の頭にキスを落とし…あれ?なんかくんくんと匂いをかいでいらっしゃる。それ、うちの兄もよくやります。一体、何フェチですか?
「マコト」
「なに?ゼル」
「俺のそばに来い」
「…えっと?」
「俺の妃になれ」
さっきまで人の頭の匂いをかいでいた人が、真面目な顔でおっしゃった。
「な、なに急に!?私、まだ誰とも結婚なんてしないよ!」
「チッ」
今舌打ちしたね、この王子様。
「やはり既成事実を作るしか…」
なんか不穏な事言い出したよ、この変態!
ゼルの瞳が熱く揺らめきだし、ガバリと起き上がったかと思ったら、私の上に覆い被さるように組み敷いてきた。私は彼の体を見てギョッとした。だってゼル、裸です。
兄より少し肩幅が広くて、美しく引き締まった筋肉。おお、好物の細マッチョがここにも!眼福眼福。大人の男って感じの色気が強烈だし。なんといってもこの威圧感。この人絶対王様向きだよね。
あ、次期王様だった。
「そんなに俺の体が気になるのか」
「あ、すみません」
とりあえず平謝り。つい癖で、ジロジロ見すぎちゃった。
つとゼルの顔へ視線を移すと、妖しく光る瞳でこちらを見つめていた。
「これで許す」
そう言って、私の唇にキスをした。
ん?唇っ!?
な―っ!?
柊真琴18歳。ファーストキスを異世界人に奪われました。
◇◇◇◇◇◇
柊要 19歳
自他ともに認める、重度のシスコン。
妹に結婚前提の交際を申し込む、ある意味強者。
異世界へ勇者として2度召喚された経験を持つ男子大学生。
俺の夢は、社会人になったら実家を出て、アパートかマンションの部屋を借り、真琴と二人きりで暮らすこと。
電化製品は一人用でもいいが、ベッドだけはダブルにするつもりだ。毎日真琴と一緒に寝る。それを励みに、日々バイトに勤しんでいる。
これを言うと、あいつはドン引きして俺を拒むだろう。だから今はまだ言わない。
真琴がその気になるまで、めいっぱい可愛がり、愛を囁こうと思う。時には強引に指を絡めて手を繋ぎ、時には強引に抱きしめる。俺の恋愛行動においては「引く」という行為はない。
押して押して、押しまくる!
バイトが終わって家に帰ると、真琴は部屋で勉強しているようだった。ただいまの抱擁が出来ないのがさみしく、俺は自分の部屋に籠って筋トレを始めた。さみしさを紛らわすにはこれが一番だ。
真琴は筋肉美をこよなく愛している。でも、ただのマッチョより細マッチョと呼ばれる肉体が好みらしい。それを知ってから、俺は鬼のように筋トレを始めた。そして今やこの均等のとれた見事な細マッチョ。家の中で上半身裸でうろついていると、熱い視線で俺の体を見てくることもある。だから俺は鍛錬を絶やさない。
真琴に見てほしい、真琴に触ってほしいから!
俺の妄想がやばい方へ傾きかけた時。ドアをノックする音が聞こえ、今まさにやばい妄想の餌食にされようとしていた真琴が、そうともしらずに無垢な顔して入って来た。俺の姿を見て唖然と戸口に立ち尽くす妹を見て、俺は咄嗟に下をみる。よし、異常なし。
躊躇しながら数学を教えてほしいと言ってきた真琴を強引に座らせ、問題に集中するようしむける。没頭し始めたのを確認し、俺はそっと後ろに回り、抱き囲むように座り直す。妹はまだ気づかない。
素肌に真琴の温かみが直に伝わってきて、なんか落ち着く。俺の足の間に座って、一生懸命問題に取り組んでいる姿を見ていると、なんだか父性本能のようなものがくすぐられる気がした。子供が出来たらこんな感じで見守ったりするのかな。
でも俺は、さっきからムラムラしてるけどな!
ようやく問題集から顔を上げた真琴は、俺が後ろから抱きしめるようなかたちで座っていることに気が付いて、疑問を浮かべたような顔でなんだかんだと文句を言ってきたが、最後は観念したようにおとなしくなった。
…おとなしすぎる?そっと顔をのぞきこむ。
つーか。寝たよ、この子。
俺は可笑しくて、真琴が起きないよう声を殺しながら笑った。そして、無防備に眠る小さな体をそっと抱き上げ、ベッドに優しくおろす。まさか、二人で暮らす前に一緒に寝られる日が来ようとは。でも、子供の頃はよく一緒に寝てたんだよな。
俺はいそいそとベッドに潜り込み、真琴を抱きしめながら眠りについた。
チュンチュンと鳥の鳴き声が聞こえる。
なんか今朝はいつもより肌寒いな…。
寝起きのぼうっとした頭で考えながら、上にかかった布団を引っ張り上げようとして、自分は裸だと気が付いた。
あれ?俺なんで…裸?
昨日の晩部屋に真琴がやってきて、勉強教えてる最中にあいつ寝落ちしたんだよな。で、このベッドで一緒に…。布団を持ちあげてベッドの中を確認する。いない。もう起きたのか?
俺はベッドから出ると、服を着てから部屋を出て、真琴の部屋のドアをノックしてから中を覗いた。いない。下か?リビングにも洗面所にもトイレにも、人がいる気配はない。
どこ行った?なんか嫌な予感がする。
そう感じながら、俺は一旦自分の部屋に戻り、スマホを片手に急いて家を飛び出した。
◇◇◇◇◇◇
バブロス国宰相 ベイル・マッカーソン 30歳
ガンダル殿が宰相を退任した後、仮宰相として高位魔術師のミゲル様が1年ほど兼務されていたが、正式な宰相の後任として私が選ばれたのが今から1年前。私にこんな大役が務まるのかと不安になったこともあったが、今は強い信念と誇りを持ってこの職に就いている。
自分がしっかりしないと。あの王では心配だ。
早く退任して、王位をゼル皇太子へ継承してほしい。
そんな不敬なことを日々考えつつ、私は激務に追われていた。
2日後に建国祭が催される予定で、今は特に忙しい。そんな中、ゼル皇太子が私の執務室へやってきて、異世界からマコトという人物を自分の部屋に召喚してほしいと言ってきた。
私が宰相になる前、魔王討伐のため異世界から勇者を召喚する儀式が行われたと聞いている。勇者は一旦元の世界へ戻ったそうだが、1年経ってしばらくしてから、今度は王女様の結婚式に招待するため再度召喚されたとか。この皇太子はその異世界人をひどく気に入っているらしい。
私は魔術師の元へ訪れた。召喚の手順と注意事項などを教えてもらう。召喚の際に衝撃的なものを見ることになるかもしれないので、動揺して判断が遅れたりしないよう心の準備をしておくように、とも。
一体何があったのだろう。以前の召喚状況については箝口令がしかれているので、確認することはできない。非常に気になるところだが。
その日の深夜。異世界から勇者…もとい、マコトを召喚するため、ゼル皇太子、私、魔術師の三人が皇太子の部屋に集合した。
皆が見守る中、床に描いた魔法陣から眩い光が放出し、もくもくとした白い煙がたちこめる。しばらくして、光が収まり煙も消えた。そして床には少女が横たわっていた。特に衝撃的な事もなく、召喚は無事成功した。
ゼル皇太子は少女をやさしく抱き上げ、自分のベッドの上に静かにおろした。そして、我々の方を見て「下がれ」という仕草をした。魔術師と二人で部屋を出て、お互い顔を見合わせる。
あれ、二人きりにして大丈夫か?やばくね?
まさか…寝てる相手にそれはないでしょ?
だってお前、わざわざ深夜を選んで直接殿下の部屋に召喚だぞ?ベッド直行だったし。
そんな…。俺達、子羊を狼に渡してしまったのだろうか?
と、若干不安が残りつつも、それぞれ自室に戻ったのであった。
◇◇◇◇◇◇
バブロス国皇太子 ゼル・オ・バブロス 21歳
金髪碧眼の美丈夫。
威圧感がハンパない人。
王より器がデカく人徳があり優れた才能を持つ、王になるべくして生まれた男。
2日後に建国祭が催される。王都では出店やパレードなどで賑やかになり、城では盛大なパーティーが開かれる予定だ。そのパーティーに参加するご婦人の中から、俺の妃を選ぶことになっている。客の中には各国の姫君もいる。
煩わしい。
俺の中で妃としたい女は一人しかいない。異世界人のマコトだ。あの艶んだ瞳で、頬を赤く染めながら可憐に微笑む黒髪の美少女。俺はあれが欲しい。
騎士団長のリカルドも彼女に求婚したと言っているが、そんなのはどうでもいい。やっかいなのは、あの少女と同じ血を持つ兄カナメのほうだ。彼女の血縁者だから簡単に排除することができない。しかも毎日同じ家で暮らしているから彼女に手出しもできぬ。どうしたものか。
とりあえず建国祭にマコトを招待し、カナメと引き離したところで既成事実をつくり、パーティーで彼女のことを妃だと言ってしまおう。
俺は宰相のところへ行き、執務室で忙しく書類をさばいていたベイルに、マコトを俺の部屋に召喚するよう命じた。異世界にいるマコトにだけ照準を合わせ、こちらに召喚する。しかも深夜なら寝静まっているはず。カナメが気付くこともないだろう。
その日の深夜、早速召喚が行われた。
眩い光に白い煙。隣国へ留学していたから、実際にこれを見るのは初めてだ。視界が晴れてそこに出現したものを見て、俺は歓喜した。
床に横たわるマコトを起こさないようにやさしく抱き上げ、自分のベッドに静かにおろす。室内にいた魔術師とベイルに退出を命じ、眠ったままの彼女と二人きりになる。
「マコト…待ちわびたぞ」
彼女の頬をやさしくゆっくり撫でると、くすぐったそうに首を竦め、身を捩って横を向く。
ギシっとベッドを軋ませながら真琴の隣に横たわり、こちらに顔を向けて眠る彼女を己の腕で優しく包み込む。そっと頭に口づけをし、その健やかな寝息を聞きながら、俺は眠りについた。
翌朝。マコトより先に目が覚めた俺は、彼女の寝顔を堪能していた。寝返りをうったのか、顔は天井を向いている。時折ピクリと震える長い睫毛。柔らかい頬に小さな鼻。そして…ふっくらと柔らかそうな唇。
指でやさしく唇をなぞると、「ん…」という艶めかしい声が漏れ、体が一瞬ビクリとする。俺はたまらず、彼女の唇に口づけをした。もっと深くと思ったが、寝ている時にするのはつまらない。
「続きはお前が起きてからだ」
そう呟き、彼女の温かい体を抱きしめ直す。
すると、目が覚めたのか、腕の中でもぞりと微かに動いた。しばらくボーっと何かを考えているようだったが、急に彼女の腕が俺の腕を押し上げてきた。上がらない腕に驚いているようだったが、今度はもぞもぞと体を捩り始める。俺は笑いを堪え、少し掠れた声で「くすぐったい」と呟いた。
彼女はびくりと体を強張らせ、ゆっくりとこちらに顔を向けた。目を見開いて、なんで?という表情をしている。そんな顔も愛らしい。と思ったのも束の間、叫んだマコトが、俺の胸に頭突きをしてきた。
くそっ、小さい頭の割に意外とダメージを与えるようだ。地味に痛い。
妃になれと言うと、彼女は否と言った。カッとなった俺は思わず、その小さな体を組み敷いた。そしてなぜか俺の体をみて平謝りするマコト。俺は許してやると言って、起きている彼女に口づけをした。
そして、より深い口づけをしようとして、マコトに逃げられたことは言うまでもない。
チッ。
◇◇◇◇◇◇
意識がないまま召喚されたあげく、ファーストキスを奪われるとか。
散々すぎる…。
あの後、私は無我夢中でベッドから這い出し、部屋の外へ飛び出した。行く当てもなく走り回っていたら、宰相だというベイルさんに、出会いがしら猛タックルをかましていた。
ぐはっと呻きながらお腹を押さえたベイルさんが、泣きべそかきながら突進してきた私を見て、あちゃ~あの人やっちゃったか~と呟きながら、憐れむような目を向けてきた。
「その姿で場内を歩くのは…いろいろとまずいので、何か羽織るものをご用意いたします。こちらへどうぞ」
そう言って、前を歩きだす。
私は改めて自分の姿を見る。少し大きめのTシャツにショートパンツという、部屋着のままだった。
「あ、あの、ベイルさん?」
「はい、何でしょう」
「私、なんでこちらの世界に呼ばれたんですか?」
まさか、あれだけのために召喚されたんじゃないよね?
もしそうだとしたら…目覚めるたびにゼルの?やだ、なにそれ。怖すぎるっ!
「…今回は、マコト様を建国祭にご招待する、と私は伺っております」
「建国祭?」
「はい。バブロスの建国記念を祝うお祭りです。王都は賑やかな祝賀ムードとなり、普段ではあまり見られない屋台が立ち並んだり、パレードも行われます。そして城内では祝賀パーティーが催されます」
「へえ~楽しそうだね?」
「ええ。子供から老人まで、一日中お祭り騒ぎで過ごしています。特に屋台はおすすめですよ。普段お目にかからないような物が並びますからね」
「わぁ~。見てみたい」
「祭りは明日です。よろしければ誰か城の者に案内させますが?」
「え?忙しいでしょ?私一人で行ってくるよ。あ、でもこの国のお金とか持ってないや。残念。でもまあ、見るだけでも面白そうだから行ってみる」
「そうですか…」
歩きながらお喋りしていたら、ベイルさんがドアの前で立ち止まり、私を中へと促した。どうやら彼の執務室のようだ。壁際にある棚には分厚い本がたくさん並んでいて、机の上には書類が山のように積まれている。ベイルさんは部屋の隅に置いてある、木製の大きな衣装箱みたないなものからガウンを取り出した。
「とりあえず、これを羽織っていてください。後でメイドに、女性が着るようなものを用意させますので」
「あ、どうも」
私はありがたくそのガウンを借りることにした。
…デカい。裾は引きずり、袖口から手が出ない長さだ。とりあえず腰ひもはしっかりと巻く。
そんな私のガウン姿を見て、ベイルさんさんは口に手のひらを当て、プルプルと小刻みに震えていた。
「そういえば。アリシアは元気ですか?」
「はい。三月ほど前に男児をご出産されて、今は公爵邸で母子ともに健やかにお過ごしになられております」
「え!赤ちゃん?」
「アリシア様によく似た、とても可愛らしいお子様ですよ」
「うわ~!アリシアお母さんになったんだ!会いたいな~。公爵邸へは気軽に行けるものなの?」
「城から使者を出しますので、返事がきてからお出かけになると宜しいかと」
「ありがとう!あ、ついでにもうひとつお願いしてもいい?」
「なんなりと」
「庭園にあるバラを何本かもらいたいんだけど…だめかな?」
「大丈夫ですよ。庭師には話を通しておきますから、お好きなだけお持ちください」
「やった!」
「では早速手配しますので、マコト様はこの部屋でお待ちください」
そう言って、ベイルさんは部屋を出て行った。
私はしばらく部屋の中央にあるソファに腰かけた後、部屋の中をふらふら歩きまわり、本が立ち並ぶ棚の前で立ち止まった。よく見ると、本のタイトルが普通に読めていた。そういえば前回来た時に行ったギルドで、掲示板に張り出された紙の文字も読めたんだよね。
何冊か背表紙のタイトルを読んでいる時、部屋のドアがノックされ、入るぞという声と共にドアが開いた。私はおもわず身構える。
入って来たのはゼルだった。
「ここにいたのか」
そう言って、後ろ手にドアを閉めたゼルは、私を見てその場に固まった。彼もまた、口元に手のひらを当ててプルプルしていらっしゃる。
なにかね。この城ではそのプルプルが流行っているのかね。
「なにか御用ですか」
私は、彼にキスされたことを思い出し、顔が熱くなるのを感じながら、上目遣いに睨んだ。
ゼルはプルプルするのをやめて、私の方へ歩みを進める。その瞳は何故か爛々と輝き、この場を支配するような威圧感が彼の体から発せられていた。
私はドキドキした。口から心臓が飛び出るんじゃないかってくらい緊張した。
私の目の前で立ち止まった彼は、私の後ろにある棚にドンっと片手をつき、私の顔を見下ろした。
うおっ!壁ドンじゃなくて棚ドンだ!でも不安定すぎる!
棚の中の本がガタガタ揺れて落ちそうだった。どうでもいいことに感動し、心配をした。
私はビクビクしながら彼の目を見つめ、じっと様子を窺う。
彼のもう片方の手が伸びてきて私の頬に触れた。親指でゆっくりと唇をなぞられる。
なんだこれ。私、もしかして危機的状況!?
後ずさりしたけど後ろは棚だった。万事休す!と思ったとき、ドアが開き、救世主が現れた。戻って来たベイルさんだ。
「殿下?なぜこちらに?」
「マコトに会いに来ただけだ。他に用はない」
ゼルよ。頼むからほかに用を作ってくれ!私は心の中で哀願した。
「申し訳ありません。マコト様はダルストン公爵邸への訪問準備がありますので、彼女が戻ってからお会い下さい」
「なるほど。アリシアのところか」
「では。マコト様、こちらへ」
「はい!よろこんで!!」
ゼルの腕から逃れるように駆けだした。
私は救世主ベイルによって無事保護されたのである。
ベイルさんと二人で執務室を出た後、まずは着替えることになった。何着かアリシアの衣装がお城に残っていて、その中から一番地味なドレスを借りることにした。本当は、以前着たことがあるメイド服が良かったのだが、今回は却下された。
身なりが整い、次に向かったのは庭園だった。入口に着くと、作業用のラフな格好をした老人が待っていて、庭師のトニーだと紹介された。ベイルさんは一旦執務室に戻り、私はトニー爺さんの案内でバラの花壇へと向う。
途中で背の高い緑の生垣をみつけ、トニー爺さんにあれは迷路になっているのか?と尋ねたところ、そうだと答えてくれた。やっぱり迷路だった!以前見た時からそうじゃないかと思ってたんだよね。
しばらく行と、辺り一面バラが咲き誇る場所に出た。圧巻!もしかして、今の時期が一番見ごろなのかな?そう思いながら眺めていると、トニー爺さんがはさみを取り出し、花束にするのに適した状態のものを見繕い、茎を切り出した。切ったそばから水を張った桶に入れていく。さすが庭師、手慣れていらっしゃる。
そうこうするうちに、桶にはバラがいっぱいになり、トニー爺さんがその花束を、手に持ちやすいよう紙で包んでくれた。私は、ありがとう!とお礼を言い、ベイルさんの待つ執務室へと戻っていった。
戻る途中でベイルさんに会い、馬車の準備が整ったからと城の入り口へ連れていかれ、公爵邸に一緒に行く従者のトーマスさんを紹介された。
トーマスさんと二人で馬車に乗り込むと、ベイルさんがドアを閉める前に声をかけてきた。
「では、お気をつけて。トーマス、後は頼んだぞ」
「行ってきます!」
「はい。お任せくださいベイル様」
私たちを乗せた馬車は、アリシアの待つダルストン公爵邸へと走り始めた。
◇◇◇◇◇◇
ガンダルが暮らすマンションの一室にて。
要は真琴が異世界に召喚されたと直感し、ガンダルの元へ訪れていた。こちらからあちらの世界へ行く方法を、異世界人の彼なら知っていると思ったからだ。
ガンダルは、突然押しかけてきた要に驚いたが、マコトに関することなので、快く部屋に招き入れた。
一緒に暮らしているセバスチャンも、この事態を重く受け止め、今日はバイトを休んでここいる。
「で、どうやって向こうに行くんだ?」
「ここからだ」
要が尋ねると、ガンダルは廊下にある扉を指さし簡単に言った。
「は?」
「ここはウォークインクローゼットだったが少し細工を施して、あちらの世界とこちらの世界を直結させている」
「…そんなことしたのかよ」
「まあ、いろいろと便利でな」
「じゃ、ちゃっちゃと行って、真琴を連れ戻してくるか」
そう言って要が扉に手をかけようとすると、セバスチャンが慌てて止めた。
「待ってください!我々異世界人は入るだけで簡単に行き来できますが、カナメ君は入る前に少し準備してもらわないと、次元の歪みに捕らわれ、出てこれなくなってしまいます!」
「準備?」
「はい。こういうこともあろうかと、魔術師に作らせた、通り抜けようの薬を服用してもらいます」
「なんだよ、“こういうこともあろうかと”っていうのは」
「え?あ、それは、その…」
「まさかお前、真琴を向こうへ連れて行くつもりがあったとかぬかすんじゃねえだろうな?」
セバスチャンは激しく動揺した。バレバレである。
しかし、あっちの世界の持家の地下に、檻と手枷が用意してあることまではバレてはいない。
そして本人も気付いていないが、セバスチャンは病にかかっていた。ヤンデレという名の病に。
「チッ」
「すみません…」
「…まあ、今はそんなことより。カナメ、これを全部飲め」
そう言ってガンダルは茶色い小瓶を要に手渡す。要は疑うこともせず一気に飲み干した。
そんな要を見つめながらガンダルは、(こいつ、マコトのことになるとほんと冷静さを失うよな。今ならいろんな薬を盛れるぞ)と不謹慎な事を考えていた。さすが腹黒である。
「では、行くか」
「おう!」
「はい!」
いつもは恋敵の三人が、かりそめの結束を図り、異世界へと旅立っていった。
◇◇◇◇◇◇
ダルストン公爵邸。
私がバラの花束を持って邸を訪れた際、彼女は可愛らしい小さな赤ん坊を腕に抱きながら出迎えてくれた。旦那さんである公爵は、仕事で不在だった。
子供の名前はアランという。アリシアによく似た金髪色白の、めちゃくちゃ可愛い赤ちゃんで、私はアランがむずがるまでしつこく頬ずりをした。アリシアに怒られたのは言うまでもない。
「まさかマコトに会えるとは思いませんでしたわ」
「うん、私もだよ」
「いつこちらに?」
「昨日の深夜らしいよ」
「らしいとは?」
「私、寝たまま召喚されたみたいで。朝目が覚めたらゼルのベッドの中で…」
「まあまあまあ!お兄様の!朝までご一緒でしたの!?」
アリシアが興奮している。
頬が紅潮して、目が血走っているようだ。私の可愛いアリシアが…なんだか怖い。
「う、うん。ずっと一緒に寝てたみたい。でも、いきりあんな…」
「あんな?」
「な、なんでもない!忘れてっ」
ゼルにキスされたことをまた思い出してしまった。今絶対、顔が真っ赤だと思う!いやだ~!
「そうですか…ついにお兄様と!」
「へ?」
「お兄様と一夜をお過ごしになり、結ばれたのですよね?」
「結ばれたって…違う違う!キスされただけ!」
「まあ!そうですかキスを!で、マコトはお兄様とキスしてどうでした?」
「どうって?」
「嫌いになりました?それとも…」
「べ、べつにっ、好きとか嫌いの問題じゃなくて!向こうが突然してきたからちょっとビックリしたというか?怖かったというか?そのっ、こういうことはお互いの気持ちがあってすることだと思うしっ…」
「そうですわねぇ。女性に対して強引なのが兄の悪いところですわ」
「…他の女性にもしてるってこと?」
「執着しているのはマコトにだけだと思いますけれど。本人に聞いてくださいまし」
「え?」
「俺はマコトにしかキスはしていないぞ。欲しいと思うのもマコトだけだ」
「!!」
ぎゃ―!まさかのご本人登場!
アリシアが「あとはお二人でお話しくださいませ」と言いながら部屋から出て行った。
またゼルと二人きりとか!
ここには救世主はいなかった。
「なんでいるの!?」
「先回りした。お前が逃げるから」
「逃げてないし!」
ゼルが私の方へ歩み寄ってくる。私はまたうるさく鳴り響く心臓を落ち着かせようと、胸に手を置く。
ドキドキどころかガンガンしてます!
「マコト、どうした!?胸が痛いのか?」
血相変えてゼルが駆け寄って来た。私の背中をやさしく摩りながら、心配そうに顔を覗き込んでくる。
ぐはっ!この状態でその美貌を向けないで!心臓がもたんっ!
「だ、大丈夫!ちょっと苦しいだけだから!」
「こっちにこい」
そう言ってゼルは、私をソファで横になるように座らせた。彼の膝枕付きで。
なに得ですか、これ?
ゼルは私の頭を撫でながら、綺麗な青い瞳で見下ろしてくる。私は恥ずかしすぎて目が合わせられない。
どうした私!こんな状態(膝枕)滅多にないぞ、堪能しろ!
「マコトに無理させたか」
「え?」
「何度もこちらの世界へ召喚したからな。体に負担がかかるのかもしれん」
「そうなの?今はただゼルに緊張してドキドキしてるだけだけどね」
「…」
「どうしたの?」
「俺と一緒にいるとドキドキするのか?」
「!」
「マコト…」
「べ、べつにっ!ゼルが気になるとか、キスの事思い出すとかじゃないから!勘違いしないでよね!」
ツンデレの誕生である。
情熱を帯び始めたゼルの瞳が艶めきながら見つめてくる。なんだか怖いような、もっと近くで見てみたいような…。ゼルの手が私の前髪をそっと横にかき分け、頬をやさしく撫で始める。
「愛している」
「!」
「俺はマコトだけが欲しい」
「ゼル…」
「俺を受け入れてくれ」
そう言って、ゼルの顔がさらに近付く。どんどん近付く。
ゼルの顔って本当に綺麗…睫毛もこんなに長かったんだ…青い瞳も素敵…あ、唇がもう少しで触れ合う…
と思ったところで、部屋に3人の乱入者があった。
私はゼルの膝枕で横たわり、ゼルがキスしようと私の顔に覆い被さった状態で、二人は硬直した。
「何してんだよ真琴!」
「マコト!?大丈夫ですか?」
「マコト!あ、ゼル様!?」
おまえらか!
ソファに座る2人が同時に内心で、そうツッコミを入れたことはいうまでもない。
「あらあらあら。みなさんお揃いでどうなさいましたの?」
呑気なアリシアの声が聞こえて、硬直していた体からいっきに力が抜ける。ゼルも私も、顔を見合わせて苦笑いした。
◇◇◇◇◇◇
バブロス国 建国祭当日。
今朝から王都はすごい賑わいをみせていた。ベイルさんが言っていた通り、あちらこちらに屋台が立ち並び、いろんなものが売られている。私は、兄とガンダルさんとセバスチャンの4人で見て回っていた。
昨日突如現れたこの三人の乱入者たちは、私を座標にしてこちらの世界に飛んできたらしい。あの後、ゼルを引き離して私を抱きしめる兄に、ものすごく怒られた。あれ?心配して来てくれたんじゃないの?と思ったけど、私はただ素直にごめんなさいとだけ言った。
ガンダルさんやセバスチャンは、私と一緒にいたのがゼルだと知って、なにかを諦めた感じでその場を見守っていた。
結局、ゼルとどうなったのかというと…
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「マコト。私の妃になってくれ」
「断固拒否します!」
「なぜ!?」
「こっちの世界に住みたくないから!…ゼルのことが好きだとしてもね」
「俺のことは好きなんだな?」
「うーん。たぶん?」
「なんだそのあやふやな返事は…」
「だって、こっちの世界に住まないってことは、お妃にはなれないってことでしょ。ゼルのこと好きになってもしょうがない気がするし…」
「俺はお前意外考えられない。お前はこちらの世界に住みたくない。ということなら、お前の部屋と俺の部屋に魔法で直結道をつくる」
「はい?」
「これなら、いつでも簡単に行き来できる。同じ世界に住まなくても結婚してお互いが通えばいい」
「いやいや、なに言っちゃってんの!?いずれ王になる人が、異世界通い婚とか!」
「それほどお前を愛しているってことだ」
「ぎゃー!恥ずかしいことさらっと言わないでよ!」
「早速、今から道を作るからな」
「あの~、まだ結婚もしてませんけど…というか結婚するとかそういうのはまだ…」
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そういうわけで、私の部屋にはゼルの部屋へつながる道ができた。後で聞いた話だけど、ガンダルさんの家にもこちらとつながる道があるらしい。
『二度あることは三度ある』とは思ったけど、一生とは思いもしなかったよ。
でも、異世界にずっと住むことにならなくてよかった。だって、イベントにも行けないし、趣味の物も買えないなんて、どんな拷問だよ。そんなのには耐えられない。
私はまだまだ、腐女子のままでいたいから。
通りの向こうで、パレードが始まったことを告げる管楽器の音がする。子供たちが通りの方へと駆けだしながら、何かを楽しそうに歌っている。
私も兄たちと一緒に、パレードを見ようと歩き出した。
◇◇◇◇◇◇
大団円?
パレードが終わった後、私達はお城で開かれる祝賀会に参加した。その席で、ゼルが私を妃にすると発表し、兄を激怒させた。
祝賀パーティーの後、早々私は兄に引っ張られながら元の世界へ戻ったのだが、自分の部屋に入るとゼルがいて、私を大いに驚かせた。
別れを惜しむ必要なかったじゃん。
両親にゼルの事や異世界の事を話し、部屋に道ができたことも正直に話したら、母は「まあ!金髪碧眼の彼氏なの?え?王子様なの?将来結婚する予定なのね!」と目をキラキラさせ、父は憮然とした顔で「勉強の妨げになるから、受験が終わるまで行き来するのはやめなさい」と言い、ゼルは「では、そのじゅけんというものが終わるまでは、マコトが寝る間だけ私がこちらにきます」と爆弾発言をかまし、父と兄は「一緒に寝る気か!道を塞ぐぞ!」と怒鳴っていた。
私の最近の悩みは、受験生だというのに全然勉強に集中できていないことだ。あと、最近ゼルの色気が一段と凄いことになっていて、顔を見るだけで悩殺されそうなこと。
受験まであと半年。私がもつかゼルがもつか。
受難はしばらく続きそうです。
END
お読みいただきありがとうございました。
書いているうちにだんだん、要がやばい!と思い始め、
どう着地させるか悩みました。
結局うまくまとめられませんでしたが…。
番外編があるとしたら、やっぱ要かなぁ。