在りのまま今起こっている出来事を語ろう
何だかノリだけで描いてたら何時もの如くUターンを開始する勢いで寄り道を始めた!!
そして会話のテンポが不思議空間に!!
こうしたらいいと思うアドバイスなどあれば教えていただけるとありがたい。
何にしろこんな拙い物でも読んでいただける人がいれば幸いです。
……さて、ゲームの内容と言うか設定と言うか、こんな流れだったはず。
ゲームならばこの状態、既に詰み、ここがゲームの世界なら既に詰んでいる。 しかし、今のこのゲームだったら既に詰んでいる世界が今の俺の現実だ。
本当にどうしたらいいのかね?
そして皆さん、リリィの母の名前を聞いてから今のこの考えにいたるまでに掛かった時間は3秒ほど、俺の思考加速能力すげー……と、冗談はさておき、どう答えたものか?
答え、母とは会わないように誘導する。
……まぁ、そうするのは当然なんだがそもそもこの場で出来る事は高が知れている、大抵は向こうから接触する流れになるのがほとんどなので、リリスに会わないようにするというのにはリリィに何とかしてもらうというより俺が妨害するしかない! 幸いリリィの母を俺の家の者が捜すという流れになっている。 この流れをうまく使いリリィとリリスの接触を妨害しつつ、リリィにはリリスに関心が向かないようにしよう。
ちなみにだが、リリィがリリスと接触するために動く流れもあるのだがこの流れになる場合リリィの状態が不良を通り越して精神が病でいる状態になるのでそうならないように注意しなければ。 病んでいる友人なんか見たくないぞ?
とりあえず時間稼ぎをしつつどうにか打開策を考えるしかない。
さて、黙り続けてもいけないので会話を続けようじゃないか……最早今この時から俺の戦いが始まった!
「リリス・アーク・カタストロフですか、覚えましたわ。 家の者に頼んでおきますので進展があったら報告いたしますわね。 ところでリリィ、この後の予定はありますの?」
「あっまず、これからバイトだった! アメル、私行くわ。 それとお母さんの件ありがとね」
「問題ありませんわ。 それではリリィごきげんよう」
リリィはそう言うと笑顔で手を振りながら分かれた。
俺も笑顔の仮面をつけて手を振って分かれた。
一連の流れが終わると何処からとも無くメイドっぽい人が……いや、この人メイドだっだ! が、俺のすぐ後ろに現れた。
「お嬢様、用事がお済でしたら馬車を呼びますがよろしいですか?」
このメイドさんの名前は、シルキーさん、アメルの侍女であり護衛でもある。
メイドさん事シルキーさんは、すごく有能である。
ちなみに、ゲームの中では常にアメルと一緒におり行動を共にするのだがゲーム中の彼女はモブと言うか……アメルに付属する背景というか……兎に角居るのに居ない扱いを受けていたキャラだった。 どういう状況かと言うと、アメルの登場する一枚絵には必ず居るのにゲーム中で「……」と言うような沈黙の台詞すらないと言う本編の会話には一切出ないという徹底振り。 そのくせアメル自身はよくシルキーに話を振る、しかしモノローグにすら出ず登場人物は誰一人シルキーの存在を認識していないと言う徹底振り……開発人よ……ゲーム中の彼女はどうしてああなった? まぁいいや、それよりも……
「シルキー、お願いがあるのだけどいいかしら?」
「どのようなものでしょうか?」
「リリィの周辺調査、後親族関係を調べてほしいの」
俺はシルキーにリリィの置かれている状況を調べてもらう事にした。 現状の何も分からないまま行動を開始するわけには行かない。
今はリリィの置かれている状況を把握しなければ、対策を立てようにも何ができるのか、何をしなければ行けないのかが全く分からん。
お願いをするとシルキーさんは早速行動を開始してくれた、頼もしいね?
さて、では俺は俺で何をしようかな? とりあえず今日はストーカーにでもなって見ますか。
おれ自身がリリィと言う少女を知らなさ過ぎる、と言うわけで仕事に行くとか言ってた不良娘のリリィをストーキングしますか。
俺は仕事(?)を始めたシルキーさんを置いて移動を開始した。
「お嬢様手配はすみ……あら、お嬢様どちらに?……ちょ、見失った!? お嬢様~~~~!!?」
シルキーさん……どうやらどこか抜けた人のようです。
ガンバレ!!
◇◆◇
オッス、俺アメル、今何処にいると思う?
答え、西城壁付近ににいます。 そしてあきらかにやばい人種の人たちに襲われてます!
さて、ここでこの都の作りを話そう。 中央の王族が住むお城を中心に外に広がるように作られている。 つまり中心にお城があり、その周りに貴族街、職人街、一般市民街、そして城壁となる。
お城の近くになればなるほど裕福と言うわけだ。 さらにひとつの街は括りとしては東西南北で四つのブロックに分けられ、さらに上層、中層、下層と力関係がわかるようになっている。 テオドール家は南区の中層の貴族である。 この方式は一般市民街でも同じであり四ブロックの三段階となっている……が実は一般市民街の西ブロック下層は無いのである。
その理由がまた酷い、昔から下層が無かったのではなく、13年前に消えたのである。
察しのいい人は気づくと思う、消えた原因作ったのは「リリス・アーク・カタストロフ」……つまりリリィのかあちゃん。
13年前、バカンスで来ていたリリスは酒に酔った勢いで自身の魔力を撒き散らし西ブロック一般市民街下層を汚染して言ったのである。
この汚染によって何が起こったのか、抗魔力を持たない人間は軒並み謎の奇病にかかり死んで逝ったのである。 死者は約二万人出る大惨事である。
そして魔力汚染とは恒久的なものではなくすぐに薄れていくのだが、余りにも悲惨すぎる現象に人が住める土地に戻ったとしても人々は忌避し西ブロック下層は無かった事にされたのである。
後はもう酷いものである、国が見捨てた土地には犯罪者や荒くれ者が集まり無法地帯街になっていく……この国の真っ黒い場所である。 人々からは「 be bygones」と呼ばれ「bb」とも呼ばれる。
で、なぜこんな話をするのかと言うと、ゲームではリリィが不良になるために手っ取り早くするためにはこのbbで仕事をするのが一番早いのである。 そして不良になってからは素行の悪さから通常の仕事がほぼ出来ずここでの仕事が主になり、さらにモラルが下がり素行が悪くなっていくと言う悪循環になるのである。
そして現在リリィは不良の状態であるのでここで仕事をしていると思い来て見たのだが……はい、俺が考え無しでした!! 何処で働いているのかも分からずにここに来て探すなんて無理だ!! 仮にも2万人が住めるほどの巨大な土地で何の情報も無く人一人を探すとか無理だっつーの!! 何故にここまで考えが廻らなかった俺!?
そして今の俺は場違いにも程がある、今の俺の体は貴族令嬢のものであり、護衛もつけずに一人でウロチョロしているのである……襲ってくれといっているようなものでした!!
つまり何が言いたいのかと言うと……
「誰か助けて~~~~~~~~~!!」
絶賛大ピンチ!! この状況を切り抜けるにはどうしたらいいと思う?
三択-一つだけ選びなさい
1.貴族令嬢アメルちゃんは突如起死回生のアイデアを思いつく。
2.シルキーが助けに来てくれる。
3.現実は非常である。 掴まり大変な目に合う。
……くっくそう。 普段なら選択肢2が何とかしてくれるんだろうが今はいない、向こうも探してくれているんだろうが今この時に都合よく見つけてくれるかと言うとそうなるとは思わない。
選択肢3にならないためには何とかして選択肢1を発動させねばならない!
何か思いつくんだ俺~~~~!! 現実は某漫画のような助からないぞ~~~~!!
兎に角必死に走って移動を続ける。 しかし土地勘も無い状態なので既に自分が何処に向かっているのかも分からない。 そして後ろからは今だに追ってくる……しかも段々声が増えてる!! やばい……やばいぞぉぉぉぉ!!?
「ゲホッ……行き止まり? も、無理……」
袋小路に迷い込んだ!! さらに体力の限界!! 15分間の全力疾走……むしろよく全力疾走で15分も持ってくれたなこの体、火事場の何とかと言うやつか? しかしそれも限界だ、起死回生のアイデアも浮かばないし、逃げる事もできなければ逃げ道もなし……やはり3だったのかチクショウメ!!
しょうがない覚悟を決めるか……まさか転生初日でしかも予想とは全く違う終わり方が待っていようとは……何時からこの世界はR18のバットエンドが含まれるようになったんだ?
そうしていたら突然手を引かれた。
そこには俺より少し年上のような少年がいた……どっから現れた!?
「こっちだ、助かりたいならこい」
少年はそう言うと壁の隅にあった鉄格子を外して通っていった、俺達位の体ならギリギリ通れる位の穴になっていた。
助かるなら付いて行くさぁ~……まさかの選択肢4.親切な人が助けてくれた、だとは……
少年は俺が穴を通り抜けると素早く鉄格子を戻しそして俺の手を引いてその場を離れていった。
実際は俺の体力が限界でぐったりしていたので少年に引きずられていく感じだったが……
「あの小娘何処行きやがった!!?」
壁の向こうからはゴロツキ共の声がする……あ、危なかったぁ、しかし何というご都合主義展開、しかし俺は助かったのだ!助かったのだ!! ……多分
そして少年は俺を南区一般市民街下層まで連れてきてくれたのだ。
その頃には幾分喋れるほどには回復しており、精神状態も落ち着いていたので普段通りにできるようになっていた。
「はぁ……はぁ……、助けていただきありがとうございます。 私の名前はアメルと言います。 何とお礼をいえばいいのか……」
「別にいい、ただ何でアメルみたいな子があんな街に一人でいるの、俺が助けなかったらどうなってたと思うのさ?」
いきなり呼び捨てかい……まぁ少年の忠告と言うか説教か? は御もっともな意見だな、俺もね、何で一人で行ったのかなぁっと思ってるわけだがな。
「想像したくない事になっていたのでしょうね、そしてあなたの言うことはもっともですわ。 今後はもっと注意して行動しなければいけないのでしょうね」
「今後と言うか、二度とあの街には近づかない方がいいと思うけどね。 そもそもアメルはあの町に何のようだったのさ?」
まぁ、見た目貴族令嬢が一人でbbのような無法地帯にいれば疑問にも思うよな……どうすっか、助けてもらったとはいえこの少年も無法地帯にいるような人間だ、下手に情報を流して後々厄介なことになったりしたら困るんだよな……そんな風に考えていると少年は聞くのを諦めたようだ。
「……まぁいいさ、俺には関係ない。 今後は無警戒にこんな所に足を運ばないことだな、毎回俺みたいなやつがいるとは思わないことだ」
「そうですね、以後注意しますわ。 そういえば、まだあなたの名前を聞いておりませんわ、よければあなたの名前を教えていただけないでしょうか?」
「そういえば言っていなかったな、俺の名前は『セノイ・アーク・カタストロフ』って言う、呼ぶときはセノイでいい」
あ……ありのまま今起こったことを話そう。
俺は自身のうかつな行動の所為で命の危機に瀕していた。
非常なる現実の前に消える定めかと思っていたが神の助けか俺は一命を取りとめバットエンドを回避したと思っていたんだ。
しかし、その神の助けは悪魔の誘惑だった……その神の助けは一瞬にして全てを滅ぼす核弾頭になりやがった。
何を言ってるのかわからねーと思うが、俺も何が起こったのかわからない。
大問題が立て続けに起こって俺は頭を抱え込みたい。
幻聴や幻覚、夢や幻ならどんなによかったことか……
俺が今最も恐れているものの片鱗が目の前にいやがるぜ!!
……少年の名前は『セノイ・アーク・カタストロフ』と言うのかぁ、どっかで聞いたことのある名前に似ているなぁ……あははぁ
どう考えてもこの名前って『リリス・アーク・カタストロフ』の関係者ですよね!? と言うかこいつ誰だよ!? ゲームじゃこんなやついねーぞ!!
「どうした? そんなに驚いた顔をして、何かあるのか?」
「え?…あ、いえ……ミドルネームがあると言う事は貴族の方だったのかと思いまして」
や……やばい、とっさとは言え誤魔化せたよな? とりあえず思い出してよかった、この国ではミドルネームは貴族以上が持っているというものを……
「ふむ、そうだったのか……これも何かの縁だ、聞きたいことがあるんだが、『リルリリィ・アーク・カタストロフ』と言う名の女の子を捜している。 知っているなら教えてほしい」
これはあれかな……核弾頭に確定しちゃった感じだな。 ちなみにだが『リルリリィ・アーク・カタストロフ』と言う名はか苛虐エンド時にリリィが名のることになる名で、リリスがリリィに付けた正式名称がこれである。
何にしろここでの対応間違えるとやばいよな、知らないと言うのは確定なんだが他の情報は引き出したいところ。 さて、どうするか……
「申し訳ありません、存じ上げませんわ。 名前から察するとご家族ですか?」
「妹なんだ、俺は妹を探しに来たんだ。 ……そして探してる途中で大勢に追われてるアメルを見つけたから助けた」
エマージェンシー!エマージェンシー!! いろいろやっべー!!何がやばいか分からんがやっばい!!
とりあえず分かる事は『セノイ・アーク・カタストロフ』、こいつをリリィに会わせる事は俺の破滅に繋がると言う事だ!! 何としてもこいつの接触は妨害せねば!!
だがどうやって妨害する? 少なくともセノイとリリィの状況を常に把握していなければ妨害なんぞ不可能だぞ? となると、とれる手段はこの話を聞いたのならセノイに協力する振りをして接触しないように双方を誘導するのが一番なのか? ……何か落とし穴がある気がするが一先ずはこれで行っておこう。 それにしても、見方によっちゃ俺の行動って悪役なんでない?
「そうでしたか、ならば助けていただいたお礼にセノイ様のお手伝いをさせてくださいませ。 何かしらの役に立てるはずですわ」
「え? ……危なっかしいからいらない」
「…………え?」
ぬおぉぉぉお!! 人の親切を踏みにじりやがってぇぇぇ!! ん? そこ、妨害だろとか言わない! 第三者視点ならきっと親切になるはず!!
「でも友達ならいいぞ、危なっかしいから面倒見てやるよ」
こっ、こっ、こっ、このクソガキャー!! 何故に上から目線じゃボケェ!! ……いや、落ち着け、少なくとも関係性が持てるのならセノイを監視する事も楽になるだろうし悪い話ではない筈だ……be cool! be cool!
「で、ではこれから私達は友人と言う事でいいですね。 これからよろしくお願いしますセノイ様」
「うん、こちらこそよろしく」
この後、シルキーに見つかりセノイには後日改めて御礼をする事になった。 ちなみにシルキーからは強烈な説教を食らった……いや、俺が悪いから何も言わんが主人に対して容赦ないね。 すごく怖かった。
◇◆◇◆
帰り道、孤児院の前を通ると……
「は~い、今日はここまでだよ」
「えー、もっと絵本読んでよリリィおねーちゃん」
……リリィを見つけた!!
思わず私は声を掛けてしまった。
「え!? ちょっ、リリィ!? こんなとこで何やってるの!!?」
「ん? アメルじゃん、そっちこそこんなとこまでどうしたのさ?」
「あ……えっと、散歩……かな?」
「何故に疑問系? まあいいや私は見ての通り孤児院でバイト中 「おねーちゃん」 あー、もう分かったちょっと待ってて、忙しいからもう行くね。 またね、アメル」
そう言うとリリィは子供達に引っ張られていった。
……普通にバイトしてんじゃん、『bb』での俺の苦労って何だったんだ? ……そこ!! 無駄とかいわない!!
ハァ、何かもう考えるのも疲れてきた……今日はもう家に帰って寝よう……