scp短編集 scp-249 どこだかドア③
えっ。竜一はドアへ目をやった。今明らかにこのドアから音がした。ガチャって。
(鍵が開いた……?向こうに誰かいるのか?)竜一は少し混乱した。5秒ほど固まった後、はっと我に
返り恐る恐るドアノブに手を伸ばす。このドアの向こうは一体どうなっているのか、その謎が今
明かされるんだ。竜一は錆ついたドアノブを回し勢いよく引いた。そして、ドアの向こうの光景を見た
竜一は20秒ほど固まった後、思わず呟いた。
「俺の部屋だ。」入ってきたドアを閉め狭い部屋を見渡す。脱ぎ散らかした服にさっきまで寝ていた
小さいベッド、間違いなく俺の部屋だ。意味が分からない。謎の白いドアをくぐったと思ったら、自分の部屋に帰っていた。玄関から。
「ありえない。」竜一は振り返り、玄関のドアを勢いよく開けた。そこにはいつもと変わらない風景が
広がっていた。竜一の部屋の真反対側、白いドアの方を見ると、大家さんがいた。
「おーい竜一君。やっぱり何も分からなかったよ。」
竜一は大家さんの方へ駆け出した。