勇者vs魔王?と言う名の喧嘩から
勇者クロノス達は驚いていた
「なんだ、この馬車は!!」
「おっき~い!」
ガネスの宿屋に送られてきた馬車はクロノス達が
いままで見た事もないような馬車だった。
ガネス商人協会からフローラ宛てに届いた馬車は
普段よく見る馬車の4倍以上の長さで高さが宿屋の2階ほどで
馬の数は6匹と馬使いが二人いる
そして何より馬車の中に部屋が2部屋もある
「なんでエミルン達にこんなの届いているの?」
「それはね、シャオ」
フローラは馬車についての経緯をシャオ達に伝えた。
「そっか~、いろいろあったんだね~」
「その程度、俺でも出来た・・・!!!」
「確かにクロノスは勇者になるぐらい強いもんね~」
「我の方が貴様より先に勇者になる機会が与えられたぞ!」
「貴様!」
クロノスとエミルは仲が悪い
普段、フローラの前では気味が悪いと言われるので
魔王口調をあまり使わないようにしているが
クロノスの前だとつい強がってしまう
「また始まったね~!フロっちはこの後どうする?」
「私は次の町に向かうために旅の準備とお買いものかな?」
「おぉ~!いいね~!私もいく~!!」
「うん!一緒に行こうか!ルーンはいいの?」
「兄様はこの時間苦手だから、きっと宿屋に戻ってるよ~」
「みんな、いつも通りだね」
こうして、喧嘩組・買い物組・宿屋の三組に分かれたファストタウン一行
その光景を遠くから観察する者たちがいた
「ダイゴ、どいつが勇者だと思う?」
「う~ん、まぁ男二人が怪しくね?」
「確かに、一人は服装が豪華でもう一人は光属性の残滓があるしな
よし、ジャック部隊の準備が出来たら攻めるぞ!」
「りょ~かい」
1時間後、エミルとクロノスはお互いの力を試すために町はずれの廃れた広場にいた
「ここならお互いの力を発揮できるな!我が力に怯えよ!」
「あぁ・・・いつでもこい!」
「シャイニングソード!」
エミルが呪文を唱えると空から剣の形をした光がクロノスに対し降っていく
「やはり魔法で来たか!あまいぞ!」
降ってきた光の剣を自らの剣で薙ぎ払い、そのままエミルへと切りかかる
「うぅ・・・そうしてきたか・・・」
クロノスの剣は光り輝いていた
エミルの行動を読み、魔法を相殺出来るように剣に光属性を付加していた
「ならばこれはどうだ!ダークアウト!」
周辺が暗闇に包まれる
だが、クロノスの剣だけが光っている
エミルは光属性を付加された物は暗闇の中でも
光り続ける特性を活かした作戦に出た
エミルは間合いを取り、呪文を唱える
「ダークフレイム!」
暗闇の中に闇属性と火属性の混合魔法を放つ
闇属性の特性で暗闇の中では視覚で感知することが出来ない
「くっ・・・めんどくさい奴め!これなら5分だろう・・・」
エミルに位置を気づかれないようにするために
クロノスは剣を置き、暗闇に同化してゆく
暗闇の中、お互いに無言で位置を探り合う
沈黙の中、ガツっと石が石がぶつかり弾く音が鳴り響く
その刹那にクロノスが呪文を唱え音の方向に放つ
「そこか!シャイニングブラスト!」
クロノスから目標へ一直線へ放たれた光の波動が直撃する
だが、手ごたえがない
「そこだな!!てりゃー!」
クロノスの背後からエミルが現れクロノスを剣で奇襲した
「勝負あったな・・・」
「くっ・・・」
先ほどの石の音は
視覚が奪われ、他の感覚
主に聴覚を重視して戦う状況になった戦いで
エミルは石を投げ音を発生させ、クロノスに光魔法を発生させ
位置を探ることが出来た。
今回の喧嘩はエミルの作戦勝ちであった。
「次は貴様の姑息な作戦などに負けん!」
「せいぜい、努力するが良い!」
「いちいち小賢しい!さっさと暗闇を解け!」
「ふふ、そうだな!勇者様は暗闇が怖いか」
「貴様!!」
と、やりとりをしつつ暗闇の呪文を解くと
なぜか、30人ほどの好戦的な人々に囲まれていた
「やっとお出ましか!」
「ジャック様、一人は怪我をしてますぜ!」
「おう!もっと痛めつけてやれ」
「その言葉をお待ちしていました!殺らせていただきます!」
「なんだあいつらは?」
「貴様の友ではないのか?顔が似ているぞ!」
「お前もいちいち小賢しいな!」
「ごちゃごちゃなんか言ってんじゃね~よ!
俺は魔王軍直属ジャック部隊隊長のジャックだ!貴様らを殺しに来た!」
「魔王軍か・・・」
「ふ、自称魔王が魔王に殺さるそうだな」
「俺が本物だ!」
ガネスの外れの広場で新たな戦いが始まろうとしていた