ガネス商人協会のパーティで
アレクとの突然の別れで驚きつつ
先日の盗賊団から救った商人達から
商人協会のパーティに誘われていた。
「先日はわが町の商人を救っていただきまして、なんと礼を言っていいのやら」
パーティであったガネス商人協会の会長から礼を受けるエミル達
「ですが、流石ファストタウンの若者ですな
生き残った商人の話によると光属性の大魔法を使ったとか」
「みんな驚くんですね~」
「それはそうですよ、それぞれの町で得意な魔術があるのは
有名ですが齢10歳の子供たちがそれほどの魔法を使えるのは
初めて聞きました。」
「そうなんですか~、他の町に行ったことがなかったので知らなかったです」
「そうですか、それより何かお礼に欲しいものなどがあればご用意いたしますが」
「なんでも良いのですか?」
「ガネスの商人協会は世界一です、なんでも構いませんよ」
商人協会の会長になんでも良いと言われて二人は悩む
10歳の子供は物の価値などわからないのだ
無論、会長もそれを承知でこの二人にそんな高価なものを
ねだられる事はないだろうと、たかをくくっている。
それに助けられたのに何も礼をしない協会だと噂がたつと
他の町にメンツがたたないのも理由の一つである。
「エミルはどう思う?」
「正直わからない・・・」
「そうだよね~じゃあ私に任せてもらっていい?」
「お願いする」
フローラには思いついたものがあるみたいだ
「会長さん!私たちは旅をしています。
ですが、町を移動するための馬車がありません
よければ、馬車と馬車使いさんをご用意できないでしょうか?」
予想通り、どうにでもなりそうな要求だったので了承をする会長
「ありがとうございます!!!3L馬車verCを手に入れるのが
夢だったんです!!!」
パーティ会場が凍りつく
会長も凍り付いている
エミルはきょとんとしている
フローラは目を輝かしている
「3LとかverCってどういう意味があるんだ?」
「3Lはひとつの馬車のサイズで最大級のサイズで高さと縦幅が
広いのが特徴で最大30人乗りなの!
まだ国が統一していない時代や魔王戦争時に戦車として使われていたのよ
そして戦争がなくなり、使用用途が変化しバージョンアップを重ねた結果
生まれたのがverCで、どこでもキャンプができるがコンセプトの
verCシリーズの中で3Lサイズとなると動く宿屋にもなるのよ」
「よくご存知で・・・そこまでご存知なら3LverCは
世界に1台しか無いのもご存知なのでは?」
「そうなのか?」
「うん!さっき言った通り動く宿屋の愛称の"エスカルゴン号"ってのが
存在していて世界中を旅してまわっているそうよ
あと、3LverCのデメリットとして作成費用がとてつもなく高い事と
3Lサイズの馬車を動かすには馬を大量に準備するか
代わりになる動物や機械が必要なんだ~」
「そこまで知識があるのでしたら、無理なのはわかるのではないでしょうか?」
会長は疲れた顔でフローラに説いた
「ガネスの商人協会は世界一なんですよね?」
その言葉を聞き会長は急に大声で笑い出した
「ガァーハッハッハ!お嬢さんにいっぱい食わされました!私の負けです!
いまガネス協会で準備出来るのは最高級で2MverCです。
3Lがよければノーマルタイプならありますよ」
「ありがとうございます!2MverCでお願いします!!」
会場から拍手が湧き上がる中でフローラと会長は握手を交わしていた。
エミルは幼馴染の意外な面をみて終始びっくりしていた。
その後、エミル達は宿屋に戻り一晩を明かした。
翌朝、宿屋の朝食を食べに食堂に向かうと
「あ!エミルンとフロっちがいるよ、お兄様!」
「眠い・・・」
「貴様ら!!」
勇者一行がそこにいた。