男女比 1:30 の世界ってただのディストピアですよね
そろそろ体調が戻ってきたので昨日は調子に乗って歌を歌ったら、夜に咳の発作がぶり返しました。
ちょっとくらいは歌いたいのに。
人工授精の記述がありますが筆者はくわしくありません。あしからず。
異世界転移をした。
ここの風景は私の住んでいた日本とそっくりだが‥
女が多すぎる。
と言うか男がいないな。渋谷のスクランブル交差点前なのに。
老若全員女。
大奥か。
スマホは普通に使える。
自宅がなかったらどうしようと不安にはなったが普通にあった。
部屋の散らかり具合も出かけた時と同じ。
とりあえずコンビニで晩御飯を買ったけど、ここにいるのも老若全部女性。
カレー弁当を完食した後、スマホで検索してみた。
「男 いない」
似たような質問がすでにある。
「男の人が少なくなったのはいつごろですか?」
よって回答もある。
「男性はおよそ八十年前から減少を始め、四十年前には半減。政府が人工授精促進法を出し女性初の総理大臣が誕生したのもこの頃である。原因は環境ホルモンが遺伝子に作用した結果と思われていたがウイルスも関係していることが後に判明。男性減少は以前は先進国の問題と捉えられていたが、現在は発展途上国にも影響が現れている」
あ、こりゃ異世界じゃん、と納得したのがこの時だった。
(私は別の世界の私になったのか?)
「平聖20年には男性は女性の30分の1に減少し、納税の義務は免除される代わりに精子提供の義務を課す『生殖基本法』通称精子バンク法が制定される」
お、元号も違う、とうなずきながら私は実家に電話をかけた。
「あら~ あんたからなんて珍しいわね。な~に」
「お母さん、うちってお父さんどうなってるの?」
歴史が違うと言うことは、
「お父さん? いないわよ。あんたも妹も精子バンクだもの」
やはり存在しなかった!
いるとウザイけどいないとさびしい。
ダメな娘だ私。
「いると思ったの? それよりあんた、まだ妊娠しないの? 子供は若いうちじゃないと生まれないんだから!」
おおっと、まだいい人いないの、をすっ飛ばしてまだ妊娠しないの攻撃になっているじゃありませんか!
「今は医学も発達して保育所の他に子育てサークルってのもあるんだし私の時代よりは楽なんだからね」
「うん考えておく」
私は通話を切った。
いままで結婚して他人と暮らすことに嫌悪感をいだいていたけど、一人で子供が産めるのなら産みたい。
子供は好きなのだ。
費用とか検索したら、保険適用だった。
(やってみるか)
三か月後、私のお腹には新しい命が宿っていた。
めっちゃ気持ちが悪くて働くどころか家事もできなくなったからヘルパーさんを頼む。
妊娠から乳幼児まで有効なエンジェル保険に加入していて良かった。
一人で産み育てるのが基本になったら、前の世界にない保険とかサービスが充実しているんだね。
それでも子育ては一人じゃ大変だから、同じ境遇の友人と同居して共同子育てした方がいいのだろうか。
「無事女の子が生まれるといいですね」
今はヘルパーさんとたわいない会話を楽しむ。
「男の子だと子種搾取されますしね」
この世界の男子は、思春期に入るとすぐ通院を義務づけられる。
人類の生存のために週一で精子を提供させられるのだ。
以前は月一だったらしいけど、高額で買い取る代わりに回数を増やされた。
学校とかでモテると言えばモテるが、まあそれなりにでしかない。
昔はモテモテだった時代もあったらしいが。
科学が発達し安定して子供が授かれるようになり、整った環境の元に生まれた女性からは性欲が減少していった。
もちろん、どうしても彼氏が欲しい人達はいるけど、トランスジェンダーがメインのホストクラブがあって本物の男より人気だ。
つまり男が少なくなった世界は、男を必要としない世界に変わってしまったのである!
この間妊婦検診で産婦人科に行ったとき見かけた男性はゲッソリしていた。
まわりもお気の毒ね~ としか見ていない。
‥ この世界の男性は生活を保障される代わりに尊厳を失っているのかもしれない。
私はそこまで異性に興味がなかったからこんな世界でもいいけど、男だったら危なかった。
そしてふと見たスマホに目が釘付けになる。
ネットニュースで「異世界から男性召喚に成功」の記事が出ていた。
‥ご愁傷様です。
これ逆の世界だったらさらに悲惨ですね。
産む機会にされるか、人工子宮が開発されて卵子提供するしかなくなる。




