強さの底が見えない
「72位か…」
正直言って僕の順位は予想よりも高かった。僕はてっきり90位くらいになると思っていたからだ。ただ、
「陽が3位って、やっぱすごいんだな。」
「なんか言ったか?」
僕が1人で話していると陽が話しかけてきた。しかも満面の笑みでこっちを見てた。
「びっくりした、順位のことでちょっといろいろ考えてた。」
「まあいろいろ考えることはあるよな。でも、入学試験で途中で脱落したお前が学年72位、クラス35位はちょっと意外だったけどな。」
陽は一体何を言ってるんだ?
「クラス順位って何?」
僕の質問に陽は、
「お前、学年順位しか見てないだろ。その隣にクラス順位があったんだよ。それのこと、35位ってのは。」
完全に見落としてた。そんなものがあったのか。
「その顔、知らなかったって顔だな。ちゃんと見とけ、この学園、順位結構大事だから。」
「そういえば、陽の順位が学年3位ってすごいね。まさかここまで僕と陽で差があったとは思わなかった。」
「いやぁ、でも油断できないんだよな。今3位だからって絶対退学しないとは限らないし。俺より上が2人いるからそいつらを追い抜かせるくらい努力してやる!セナも上位に食い込めるように頑張れよ!ま、追い抜かされる気はねぇけどな。」
「もちろん。いつか僕よりも上の順位の人全員追い越してみせる。もちろん陽のこともね。」
「楽しみにしてるぜ。お互い頑張ろう!」
「うん。」
そうして僕と陽は寮へ向かった。
「そういえば、セナは学年の上位5位以内のやつ俺以外で知ってるやついた?」
「いや、いなかったよ。そもそもこの学園に知り合いが少ないし。」
「なんかごめん…で、なんだけどさ!明日学年で“その上位5位以内の奴”対“その他”で模擬戦するらしいぜ。多分そこでお前絡まれると思うぞ。」
え、普通に嫌なんだけど。
「なんで?」
僕がそう聞くと、
「だってお前魔力量結構あるじゃん、それに、無属性とかいうまあまあ珍しい属性持ってんだし。」
結局嫌なんだけど
「っていうか、それ圧倒的にこっち側が有利じゃない?」
なんせ5人対95人なんだからいくら強いって言ったって5人側がほぼ確定で不利だと思うんだけど…
「そんなことないと思うぞ、だいたい9位くらいか、それくらいから急に実力が下がってる気がするんだ。だからだいたいトントンってとこだと思うぜ。そもそもこっちの圧勝で終わると思う。1位の強さの底が見えねぇ。はっきり言って俺も戦ったら1分持つかどうかレベルだな。ま、そういうことだ。」
なるほど、明確に強さに差があるってことか、ってか1位の人が陽に圧勝できるってどういうことだよ!しかも陽ですら手も足も出ないって…