入学
入学式では、学園長曰く入学試験に合格した100人にプラスして在校生187人も出席するらしい。
「なんか在校生の数少ないような…」
僕が受けた入学試験では100人が合格することになっていたから、在校生はもっと多いと思っていた。そもそもこの学園は6学年だったはずだし絶対にもっと人数がいるはずなんだけど…
そんなことを考えていると、
『学園長の話、学園長お願いします。』
学園長が出てきた。
「皆さん改めて入学、おめでとうございます。俺は学園長の櫻井レイと申します。少し疑問に思ってる人も多いんじゃないでしょうか。なぜ、入学試験の合格できる人数が100人なのに在校生5学年で190人弱しかいないのか。それは至って簡単な事です。この学校はみなさん知ってのとおり実力が全てです。なのでこの場にいる新入生が全員上の学年に上がれるというわけではないのです。詳しくはクラスで担任から伝えられると思います。では、みなさん、卒業できるよう、頑張ってください。」
学園長の言葉に新入生はざわついていた。僕はとても焦った。僕は脱落した人の中から繰り上げで入学したから実力は当然他の人と比べると下だと思う。つまり、1年すら過ごせない可能性が高いということだ。
「これは、少しヤバいかも。」
無事入学式は終わり、書かれていたクラスに僕は向かった。向かっている途中で、誰かに話しかけられた。
「よっ、セナ。やっぱお前も合格してたか。知ってる奴がいなくて結構気まずかったからセナが合格しててよかった。お前ってクラスどっち?」
こいつは天篤陽。僕の幼馴染で親友だ。
「陽、久しぶり。クラスは2組だったよ。陽は?」
「久しぶりっつっても1週間とかだろ。クラスはセナと同じ2組だったぞ。」
これは学園生活が楽しくなりそうだ。
「そういえばセナって入学試験のとき組んでただろ。あのときあいつと組んでなかったら多分死んでたと思うぞ。あいつには感謝しとけ。」
陽にそう言われて僕は少し困惑した。
「どういうこと?四葉は僕を裏切って攻撃したんじゃないの?学園長はそう言ってたし。」
「ああ、そういうことか。多分だけど学園長とか学園の関係者は遠隔で見てたんじゃないか?遠隔で見る魔法って結構精度悪くてさ。細かい魔力の動きが見れないって言うか、まあ凄く細かい動きはね。だからお前に飛んできた攻撃が分からなかったんじゃない。まあ、その攻撃は魔力が見えずらすぎて周りにいた奴らも気づいてなかったけど。」
そういえばそうだった。こいつ、魔力の流れとかを見るのことについてはバケモノだった。
「でも攻撃って言っても見えなかったし魔力も感じなかったけど。」
「そりゃ風属性のしかも攻撃を隠すのに特化した魔法だったし、多分お前と組んでた四葉?ってやつもお前の強化魔法なかったら見えなかったんじゃないか?お前魔力の使い方大雑把だし、あのとき必要以上に強化してたし。」
なるほど、というか、僕の苦手のこともついでで言ってるあたり、やっぱ話すのも上手いなこいつ。
「なるほどね、次四葉に会ったときに感謝しないと。あと苦手なことはっきり言ってくれてありがとう。僕が何すればいいかなんとなくだけど分かった気がする。」
「おう、じゃあ行くか。」
そうだった。今僕らは教室に向かってるとこだった。
「うん。行こう。」