入学試験2
僕と四葉は戦いながら作戦を立てていた。
「セナくんってどの属性の魔法使える?私は水、風、光属性を使えるんだけど。」
「火、水、闇、無属性を使えるよ。」
「ふむふむ…となると、守りを固めるのが難しそうだね。じゃあサポートってできる?」
そっか、土属性の魔法がどちらも使えないから相手の攻撃を防御する手段が相手の魔法を相殺するくらいしかないのか。普通戦いながらそんなこと考える余裕ないのに。すごいな。
「できるよ。援護だったりちょっとした身体強化くらいなら。」
「なるほど。じゃあサポートよろしく。私が近くにいる相手は倒すからセナくんは援護と近づいてきた相手を倒して。」
「分かった。」
僕は四葉の援護をしつつ向かってきた奴を倒しながら少し嫌な予感がしていた。
残りが150人くらいになったその時だった。背後から急に風魔法が飛んできた。なんで…僕の後ろでは、四葉が戦っていたはず……倒された?そしたら僕が使っている身体強化の魔法が解けるはずだ。じゃあ…一体なんで………
僕の嫌な予感は的中した。急な背後からの不意打ちに対応できるはずもなく、僕は気絶してしまった。
「……ここは?」
目が覚めると、僕は病室にいた。僕は、自分の体のことを心配するよりも先に悔しいという感情が込み上げてきた。今年を逃したら、もうこの学校には入学ができない。せっかく頑張ってきたことが全て水の泡となって消えていったような、そんな虚無感に襲われた。
「クソ……」
「目が覚めたみたいだね。」
そんな知らない人の声が聞こえてきた。
「あなたは?」
「俺か、俺はこの学園の学園長だ。」
なんで学園長というトップの人が僕に。そう思った僕は聞いてみることにした。
「なぜ、僕のところに、僕は脱落したんじゃ。」
そう聞くと学園長は僕に、
「確かにお前は脱落したぞ。ただ、最初に話したはずなんだけどな。脱落者からも10名、合格者を出す…と」
「え、じゃあ僕は」
「ああ、お前は合格だ。あの試験は魔法の練度や多彩性、どのような作戦を立てるかという点で見ている。お前はあの試験で他の受験者と協力し、効率よく立ち回っていた。しかも、珍しい無属性魔法を使っていた。それだけでも合格と言えるくらいなんだがお前は身体強化魔法を使いながら他の魔法を同時に発動していた。魔法を同時に発動するのは、結構難しいんだ。コツを掴めないと覚えるまでに何年、何十年とかかってしまう場合もある。今言ったこの3つの理由から、お前を合格にさせた。」
そんな細かいところまで見られていたのか。
「ただ…」
学園長はそう続けた。
「組む相手が悪かったな。あいつに裏切られてなかったら脱落せずに最後まで残っていただろう。」
「え…………。」
僕は驚きのあまり声が漏れてしまっていた。
「黒部四葉、あいつは最後にお前を裏切って、お前に攻撃を当てて気絶させていたぞ。」
「そう…ですか。」
意外だった。四葉は…とても裏切るような性格には見えなかった、
「まあそう気にする必要はない。お前も合格してるんだしな。」
学園長の言うとおりだ。けど…
「せめて理由くらいは聞いときたいです。」
「そうか…ま、気長に待て。あいつも合格したんだ。そのうち会えるさ。そろそろ入学式が始まる。立てるか?」
「はい、ありがとうございます。」
「俺はこの後少しやる事があるから。それにここにはお前の合格を伝えにきただけなんだ、そろそろお暇させてもらうよ。」
「ありがとうございました。」
僕は学園長に一礼して、入学式が行われる体育館へと向かった。