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20 試験当日

 試験当日、教室は緊張感に満ちていた。生徒たちは各自の席に座り、心の中で不安や期待を抱えながら待機している。俺は、隣にいるかぐややイザベルと目を合わせ、緊張を和らげようと努めた。


「みんな準備はできてるか?」


 俺が声をかければ、イザベルは意気込む。


「もちろん! 今回は負けねぇぜ!」


 かぐやは少し不安そうに呟く。


「勝てる気がしないわ……」


 あれだけ自信満々に俺と勝負を仕掛けたというのに、みっともない。


「俺に勝負を挑んだ勢いはどこにいった?」


 俺は煽るように言う。


「あれは違うのよ!!! あのときは……冷静じゃなかっただけだわ」


 かぐやは鋭い視線を俺に向け、怒ったような口調で言ってくる。


 試験が始まり、問題用紙が配られる。

 最初の数問は簡単に解け、次第に難易度が上がっていく。しかし、俺はその難しい問題にもすらすらと答えていく。数式や公式が頭の中で組み合わさり、解法が自然に浮かんできた。


 これだ、と思いながらペンを走らせる。

 周囲を見ると、かぐやは悩みながら考え込んでいれば、イザベルも手を止めて考え込んでいる。しかし、俺は焦ることなく、次の問題へと進んでいく。


 特に、最後の問題が出たとき、周りの生徒たちが苦戦している様子が見えた。自分の解答用紙を見ながら、俺は自信満々に解法を導き出す。存外、この世界の勉強というものは生ぬるいものだな。


 全ての試験が終わると、周囲の生徒たちからため息が漏れる。


「難しかった…」


 そんな声が飛び交う中、俺は満足げに解答用紙を見つめていた。こんなに簡単では準備運動にもならない。


 周囲の生徒たちが解答を振り返りながら話し合っている中、俺はかぐやのところへ歩み寄った。


「どうだ、俺に勝てそうか?」


「難しいわよ……あなたに勝てない未来しか見えないわ」


 かぐやは少し暗い表情で答え、続けて言う。


「特に数学の最後の問題、全く分かんなかたわ」


「そうか。確かにあの中では難しい問題だったが、あれが解けぬのでは俺に到底、勝てぬぞ」


「あなたに勝負を挑んだ私が馬鹿だったわ……」


 かぐやは頭に手をやりながら言った。俺はかぐやの方へとゆっくりと近づき、彼女に顔を近づける。


「だが、お前がこの程度の問題を解けぬはずがない。試験中に何か別のことでも考えていたか?」


「ち、ち、違うわよ! そんなわけないじゃない……そう、別に変なことなんて、考えていないんだから、うん、そうだよ…ね?」


 かぐやは自分に言い聞かせるように言った。

 あれほどの集中力を持っていたのにも関わらず、考え事をするなど珍しいな。そんなに気になるものでもあったのか。


 くははは、と俺は笑う。


「何よ。いきなり、笑い出して……」


「お前が試験中に考えていたことが分かったぞ」


 かぐやはごくりと息を呑む。


「——髪ゴムを新調したのにも関わらず、俺が何も言わなかった。そして、それを不満に思っていたのだろう!」


 かぐやは呆れた表情をこちらに向けてくる。


「……全然、違うわ」


 ふむ、自信は結構あったのにな。そうではないとすると一体何を考えていたのやら。


「……というかよく気が付いたわね」


「前にも言ったが、俺は目が良くてな。どんな原料が使われているのかまで分かるぞ」


「それは目が良すぎると思うわ」


 結果発表の時間が近づくと、教室の空気は緊張感に満ちていた。生徒たちはそれぞれ不安そうに自分の解答用紙を見つめ、互いに小声で話し合っている。


 鐘が鳴り、それと同時に教師が入ってくる。

 テスト返しが始まり、教師が名前を呼び上げていく。周りの生徒たちの反応を見ながら、俺は自分の名前が呼ばれる瞬間を待つ。数人の名前が読み上げられ、点数が告げられるたびに教室がざわつく。歓声とため息が交互に響く中、緊張が高まっていく。


「次は…神崎さん」


 教師がかぐやの名前を呼べば、彼女は心配そうに顔を上げ、緊張した面持ちで立ち上がる。


「頑張れ」


 俺は小さな声でかぐやを励ます。


「あなたに言われても嫌味にしか聞こえないわ。それに結果は変わらないわ……」


 確かに今どうこうしたところで結果は変わるわけでもないか。


「九十七点」


 かぐやが結果を聞くと、安堵の表情が浮かぶ。ほっとしたように微笑み、周囲からも祝福の声が上がった。


「悪くない点数ではないか」


「あなたはどうせ満点でしょ」


「否定はしない」


「次は赤澤さん」


 教師は続けてイザベルの名前を呼ぶ。今回は出来が良かったのか、自信満々に教壇の前へと歩いていく。


「満点」


 告げられると、イザベルの顔には喜びが広がった。周りから拍手が起こり、彼は得意げに俺の方を見た。

 そして、俺の名前が呼ばれる。


「藤條さん。」


 教室が静まり返る中、教師が結果を読み上げる。


「満点」


 その瞬間、教室中に驚きと歓声が広がった。周囲の生徒たちが俺に向かって祝福の言葉をかけてくれる。


 テスト返しが終わり、俺はイザベルの方へと歩いていく。


「お前が満点を取るとは大したものだ」


「それは光栄だぜ」

遂に20話を書き終えました。

今回は少し少なめの文章量になってしまったのですが、次回からはまた3000字程度で書いていこうと思います。

あと8話くらいで第一章が終わりとなります。

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