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村内ダンジョン始めました。

作者: ランドリ

 奥様方が井戸の近くで井戸端会議に花を咲かせている。


 そんなのどかな風景に突如として異物が現れた。


 井戸の縁に鋭い爪の生えた緑色の指がかけられるとヌッと緑の禿げ頭が黄色い目を光らせて上がってくる。


 代表的な魔物である小鬼だ。


「イヤァーーーーー!」

「アギャッ…………!」


 その事にパニックになった奥様方は手元にあった桶でその頭をぶっ叩いた。


 一撃でノックアウトされた小鬼は井戸の底へ真っ逆さまに落ちていく。


 顔を見合わせた奥様方は桶を放り投げて駆け出した。


 これは後で分かった事だが村の井戸がダンジョン化したのだ!


 井戸からひょっこり顔を出した小鬼を桶でぶん殴って叩き落したおしゃべり奥様によって、その事実は尾ひれ胸びれ付きで村中に広まった。


 村の自警団が井戸を囲むことで、とりあえずの対策としている。


 村長の家で村人たちが今後の事を話し合った結果、このダンジョンを宣伝して冒険者を呼び込み金を落として貰おうという話になった。


 謳い文句は「村内ダンジョン始めました」である。


 ダンジョンで村おこしだ。


 #####


 一ヵ月後、村の中は混沌とした状況になっていた。


 村人たちの目論見は半分成功して半分失敗といった所だろう。


 宣伝しても冒険者は全く来なかったのだ。


 代わりに来たのは……。


 村の近くを占領する箱馬車の大群と、その近くでわちゃわちゃしている冒険者風の恰好をした集団たち。


 お忍びの……忍んでいない貴族様方だ。


「うふふ、このムチで小鬼を叩いてうっぷん晴らしをしますわ!」

 皮鎧を着たご令嬢がムチを片手に危ない事を言っていたり。


「ほっほっほ、何だか若返った気分ですじゃ」

 鎧を着こんだご老公が鞘に入った剣を振り回し生き生きとしている。


 若人から老人までバラエティに富んだ集団は護衛の兵を引き連れ、思い思いの恰好で井戸に飲み込まれていく。


 村のダンジョンは貴族様方の娯楽として大人気になってしまった!


 執事らしき人が迷惑料として大金を寄付してくれたり、護衛の兵士が色々買ったりしてくれるので、そのお金で宿屋を建てたりして目的であった村おこしは成功している。


 村人たちの心労を代償にして、今日も村内ダンジョンは盛況だ。

村おこしは成功……?

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