第5話 魔王討伐①
今日がいよいよ出発の日!さすがに今日は寝坊しなかった私は、気持ちいい朝を迎えた。
「ふぁぁっ。おはよー。」
「はい。おはようございます。勇者様。」
メイドさん、来るのはやい…
「勇者様、いよいよ今日出発ですね。」
「うん。」
そういえばメイドさんともお別れかぁ。さみしくなるなぁ。
ただ、時間は迫っていたのですぐに着替えてご飯を食べて支度を終え、集合場所である西門というところに馬車で向かった。
〜〜〜〜〜
勇者たちと合流して何人かの護衛騎士と一緒に、馬車で出発した。
この国は内戦中で、魔族軍との前線地帯に行くには反乱をしたグループの占領地を通らねばならず、そこを通るときに襲われるかもしれないということだったが、皆そうそう襲われることはないだろうという雰囲気で、それは私たちの護衛をしてくれている騎士もそのような感じだった。だから最初のうちは緊張して静かにしていた私たちも喋り出した。
ゴキブリスピードスター、いや舞石正一が口火を切る。
「そういえば、昨日ステータス確認したら俺の称号にゴキブリスピードスターってのが増えてたんだが誰だそんなあだ名つけた奴?」
うっ。あだ名つけたの私です。すいません。
「さあな。まあいいだろ。それよりみろ、俺の上腕二頭筋を!」
いるだけで室内気温が5度上がる矢野理之神が言う。正直なところめんどくさい脳筋なだけだが。
そんなこんなで進んでいき、ついに昼ご飯というときに馬車が止まり、おりてご飯を食べると思ったらそうではないらしい。何やら外で戦闘が起きているらしい。
外では護衛していた騎士たちが剣を振り回し、黒装束のいかにもな敵と戦っている。
ただ、相手は40人ぐらい、こちらは10人ぐらいだ。どちらが有利かは明らかだろう。
これは負けるだろうと思って今すぐ逃げ出そうとしたが、周りは今にも戦闘に加わろうという雰囲気でびっくりした。あの脳筋に関してはすでに素手で殴りかかっている。アホか。
だがあの脳筋、筋力はものすごいようで、殴ったとたん相手が吹っ飛ばされている。文字通りに。
そのうち、あれよあれよと勇者パーティーの人によって40人ぐらいいた敵の面々は全員倒されてしまった。だがしかし。相手側の援軍が1000人ぐらいやってきたことにによって私たちの優位はあっという間に崩れ去った。
味方のぼろぼろになった騎士に
「逃げてください勇者様!ここは私たちが時を稼ぎまする。どうか、世界を救ってくだされ!」
なんていわれ、敵の援軍1000人につっこみ、大けがした脳筋をひきずりながら、私たちは逃亡した。
そして、北東に十日ほど追っ手を避け、深い森を通り、山を越えて、ついに魔族軍との前線地帯に到着した。そこでは、傷付いた兵士がろくな治療もされず道端に放置され、拠点となる城も爆撃があったのか半壊していて、城下町などほぼ一軒もまともな家が存在せず、テントで人々は生活しているような有様だった。死体は感染症の関係から処分しているのだろうが、それさえも怪しい衛生事情だ。
この街にはわたしたちを出迎えるほどの余裕もないのだろう。とりあえず拠点になっている城へと向かった。
そこで、今の全線地帯の現状について偉い人から話を聞くことになる。
「ここを見て分かったと思うが、この前線地帯は完全に崩壊している。もっとも余力があった拠点のここでさえ、ほぼ壊滅している。ほかの拠点などほぼ原形をとどめていない。全滅に近いだろう。ただ、国内は内戦で、魔族軍の脅威に対応できるだけの余力などありはしない。だからこそ、勇者にすべてを賭けるしかないのだ。我々は。ここに、凄腕の兵士を5人選抜した。総合戦闘能力も200はある、足手まといにしかならないかもしれないが、食料や衣服、武器等、必要なものはこいつらに持たせ、こいつらが荷運びをする手はずになっている。よろしく頼む。どうか、我が国を救ってくれ。」
ひい。重すぎる重すぎる...テーマが重すぎる。私には重すぎる...
ただ、勇者パーティーのひとりとして、これをやらねばならないことはわかっていた。
そして、勇者がやるということも。
「分かりました。明日には出発します。あまり迷惑をかけるの悪いですから。皆さんも準備を終わらせてい置いてください。」
明日出発~!って軽々しく決めないでほしい。こちとら十日も逃げ続けて疲れ切っているのに何を言っているのか。だが、そんなわつぃの思いなど関係なしに勇者は話を決めていってしまった。
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そして夜になり、私は皆が騒いでいるのを横目で見つつ、床で眠りについた。ベットが恋しい...
明日出発...行きたくないなぁ。
再開してすぐまた投稿が滞ってしまい、申し訳ございませんでした。
3、6、9といったように三の倍数日に投稿にしていきます。